家を出ると電線に留まっている雀と目が合った
1羽1羽寒そうに身を寄せあっている
春とはいえど、まだ冬の寒さが残っている
降った雪も完全に解けたわけではなく、
道の端にちらほら解け残った雪がある
「きっと明日には解けているんだろうな、」
と、ぽつり独り言を零した
駅に着くと自分と同じ新しい制服に
身を包んだ人達がいた
友達と話している人、
誰かと待ち合わせをしている人、
皆、身を寄せあっている
自分以外は_____
惨めになるからと、その場を離れ
少し早歩きで電車に乗った
電車の中ではみんながスマホを見ている
起きたくもない時間に、行きたくもない場所で
やりたくもない事を_____
自分もその中の1人だ
校門を潜るとクラス表に群がる同級生が目に入る
その人達の隙間から自分の名前を見つける
第1学年 6組
1.赤葦 京治
自分の名前を見つけたらもうここに用は無い
俺は自分のクラスに行くために
靴箱で上履きに履き替えた
座席順は毎年恒例、1番前の窓際の席だ
苗字順なのでこの席になる事は多い
ここまで来ると逆に好きな席でもある
先生によく話しかけられるということだけが
この席の欠点だ
「でももう飽きたな、」
意味の無い独り言を呟きながら
クラス全員が揃うまでボーっとしていた
♡350〜
コメント
1件
語彙力すごい!想像出来る