「………」
事務所の周りを歩いて探す…
車で帰った可能性もなくは無いが…何だか嫌な予感がして、向井は周辺を探し回った
「?」
不意に、渡辺の声が聞こえた気がして…辺りを見回す
「俺に………な!」
今度は、ちゃん聞こえて…向井は声にした方に走り始めた
「おら!立てよ!」
見覚えのある男が、座り込んでいる渡辺の腕を掴んで叫んでいる
「お前、何で…」
向井は、その姿に驚いた
「俺に触るな!」
渡辺の顔は顔面蒼白で…涙を流して抵抗している
「しょっぴー!お前、何しとんねん!」
向井が男の腕を掴んで、渡辺から引き剥がそうと力を入れる
「お前…あの時のガキか…」
少し前の事を覚えていた男は、忌々しそうにそう言った
「邪魔するな!」
男が殴りかかって来て、それをかわす…
「おら、お前も…立てよ!」
渡辺の身体を強引に引き寄せ、押し倒す…
「嫌だ!誰か、助けてよ!」
子供の頃に戻ったかの様に、渡辺は来るはずの無かった助けを呼んだ…
「!」
不意に、男の顔に何かが当たる
それが、向井の拳だと気付いた時にはもう遅い…
「しょっぴーには、指一本触らせん…」
渡辺を庇う様に間に立ち、近付けない様に睨みを利かせる
「お前…」
男は、苛ついた顔をしてそう吐き捨て…路地に向かってこう叫んだ
「誰か!助けて!俺は、アイツに殴られた!」
男は、大きな声で叫びながら…路地へ向かって走り出した
「………」
向井は自分のスマホを取り出し、一心に何かを打ち始める…
そして、それが終わるとスマホをしまい…自ら歩いて路地に出た
「アイツだ!アイツが俺を殴ったんだ!」
向井の方を指差して、男はそう叫び続ける…
やがて2人を囲む様に人集りが出来、2人の姿が見えなくなった…
「翔太!」
ちょうどその頃、向井に呼ばれた岩本と宮舘が路地裏に入り…蹲っている渡辺の姿を見付け保護をした
「………」
その声を聞き、安心した様な顔をした向井の側に…騒ぎを聞きつけた一台のパトカーが到着した
騒ぎの中心にいた2人の男に事情聴取を開始しすると
喚いていた男は向井を指して【アイツが俺を殴った】と主張した…
向井はそれに反論する事なく、静かに時が過ぎるのを待っている
「………」
警察のおかげで、人集りが散らされ…
2人に助け出された渡辺の無事な姿が目に写る
「ご同行願います」
向井の手首に、鈍く光る二つの輪がはめられて…
2人は別々に歩き出した
コメント
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うへぇ、また明日まで読めないのか😂😂続きが気になりすぎます…😭😭😭しかも、こういうケースだとトラウマ抱えてるから恋愛描くのむずいですよねぇ。