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人面犬がどうやって生まれてくるか、知っていますか?


ある日の放課後、友人の彩子が犬の写真を見せてきた。

「ねえ結、これ、見て」

「何これ?」

画像 「人面犬。昨日見つけたの」

でも、その写真に写っているのは犬の後ろ姿で、しかもぶれていたから、人面なのかどうかわかんなかった。それでも彩子は興奮して言った。

「ね、すごいでしょ!」

でもその写真に写っているのは、あたしにはやっぱりただの犬にしか見えなかった。

「でもさあ、これって犬じゃん」

「違うよ! ほらここ、人の顔になってるじゃない」

確かに人の顔みたいにも見えるけど……それにしてもどうしてこんな写真を持っているんだろ?

「これ、昨日あたしが見つけた人面犬なの! 急いで写真撮ろうとしたんだけど、 うまくいかなくて……」

それでブレちゃったのか……。

「うーん、やっぱこの写真じゃわかんないか。昨日の場所でまた見つけられるかなぁ。ね、結、もう一回写真撮りに行くの、ついてきてくれない?」

「えぇ~!? やだよぉ。どうせ面倒な場所なんでしょ?」

「お願いっ! 一人で行くの怖いんだもん!」

彩子に手をあわせて頼まれたら断れない。仕方なく、次の土曜日に一緒に写真を撮りに行く約束をした。


そして今日がその撮影の当日だ。彩子と待ち合わせをしたのは午後一時。場所は駅前だった。約束の時間よりも十分くらい早く着いてしまったから、しばらく待っていると彩子が現れた。

「ごめんね、遅くなって。待った?」

「ううん、そんなことないよ。それより、今日はどこへ行けばいいの?」

「そうねぇ、まずは私が人面犬を見た場所に案内するわ」

彩子はあたしの手を引っ張るようにして歩き出した。そして駅から少し離れたところにある小さな公園にやってきた。遊具もろくに無いような本当に小さな公園だけど、トイレだけはそれなりに大きいのがある。もっとも、薄暗くて汚いので、使ったことないけど。

「ここで見たんだよ。この公園の奥の方にあったトイレ。そこの裏手辺りだったと思うんだけど……」

彩子はきょろきょろしながら周りを見渡している。その時、急に空模様が怪しくなってきた。今にも雨が降り出しそうだ。するとすぐにポツリポツリと水滴が落ちてきたと思ったら、あっという間にザーッと降ってきた。

「きゃっ!」

突然の大雨にびっくりしたあたしたちは、とりあえず近くにあった公衆便所の中に入った。中はそれほど広くはないけれど、屋根がついているから濡れずに済むだろう。二人で並んで立っていると、彩子が言った。

「まさかいきなり降るなんて思わなかったね」

「ほんとだよねー。天気予報では晴れのち曇りって言ってたのに」

そう言いながらあたしはカバンの中からタオルを取り出して頭を拭いた。隣にいる彩子の髪からもぽたりぽたりと雫が落ちている。

「あーもう、びちょびちょ。ちょっと待ってね」

そう言うと彩子は自分の髪をゴシゴシし始めた。あたしもそれを見て自分の髪を乾かすことにした。それからしばらくの間は二人とも無言で身体を拭いていた。ふと横を見ると、彩子があたしのことをじっと見つめていた。その視線に気づいて、思わずドキッとする。

「ど、どうかした?」

「……結、ごめんね」

「え?」

一瞬何を言われたのかよくわからなかった。そのとき、突然トイレの個室の扉がいっせいに開いて、中から何人もの男が出てきた。あたしはその男達に腕や足を押さえつけられ、そのままトイレの床に押し倒されてしまった。

「痛っ! 何すん……んぐっ!!」

口の中に布を押し込まれて声が出なくなった。必死に抵抗するものの、複数人に押さえつけられていて身動きができない。

「結! あんたたち、誰よ!?」

彩子はあたしを助けようとしてくれてるみたいだ。でも、すぐに男達に目隠しされ、何も見えなくなった。それから手足を縛られ、どうやら彩子といっしょに車の中に入れられたらしい。車はどこかに向かって走り始めた。


しばらくして車が停まり、ドアが開く音が聞こえたかと思うと、今度は外へと連れ出されたようだ。目隠しされているから、どこにいるのかわからない。手を引かれるまま、階段らしきところを上っていく。すると、上の方から誰かの話し声が聞こえてきた。

「おい、こいつらはどうするんだ?」

「ああ、犬のところに置いておけ。あとで使うかもしれん」

「わかった。じゃあ準備しておくぜ」

「おう、頼むぞ」

そこで会話が終わったみたいで、話声は聞こえなくなった。

「さあて、お前らにはこれからいろいろやってもらうことがあるんだ。おとなしくしていろよ」

男の一人がそう言った。

「ほれ、まずはこの部屋に入れ。逃げようなんて考えるんじゃねえぞ?」

「むぅ……」

あたしは彩子とは別に、何かの部屋に閉じ込められた。部屋に入れられるとき、手足が自由になったので、目隠しを外すとそこは何もない殺風景な部屋で、小さな窓らしきところには黒くて厚いカーテンがかかっていた。他には部屋の隅っこにダンボール箱がいくつか置いてあるだけだ。

「まぁ、そのうち飯を持ってきてやるからよ。それまでは我慢しろよ?」

そう言って男は出ていった。

「……」

あたしは呆然としていた。どうしてこんなことになっちゃったんだろう。しばらくすると、遠くの方から悲鳴のような声が聞こえてきた。

「いやああっ!! 離してぇっ!」

「彩子!?」(続く)

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