02 日夏 玲
私はあの年、あの暑い夏、大切なものが両手からこぼれ落ちた。
こんなつもりじゃなかった。そんな後悔が冬となって私を襲った。
と言うのも、私が人生で1番の過ちを犯してしまったのは、中学二年の初夏だったはず。
私には幼馴染の親友、日夏 玲 という少女がいた。
私・冬月 実子は玲のことをレイって呼んで、すごく彼女のことを誇りに思っていた。
勉強もできて運動真剣も抜群。しまいには整った顔立ち。
小学生の頃から女優顔負けの美少女だった。
その上優しくて誰にでも心を開いて、顔の良さを鼻にかけず、そりゃぁモテてたよ。
対して私は勉強はそこそこ、運動はクラスの下から5番目ぐらいじゃない?
どちらかというとよくない方で、それでも顔立ちは良かった____なんてことはなかった。
人見知りでレイ以外には誰にも喋れない。
それでもレイは私のことを罵倒せず、ずっと友達でいてくれた。
そんなレイのことが私は大好きだった。