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こちらから尋ねる前に彼女の方から正体を明らかにしてくれた。
「私はムグルマアヤネ。葛城陸の元カノと言えば思い出すかな?」
「ムグルマさん? あ、ああっ!」
思い出したようだ。二人とも陸の元カノというのは分かったけど、二人が知り合いで、しかもムグルマアヤネが彼女に敵意むき出しである理由は分からない。
「その人は今彼? ということは陸とは別れたの?」
「別れました」
彼女が敬語を使っているということはアヤネは上級生なのだろう。見たことない人だから、たぶん他校の。
「どうして別れたの?」
「ほかの女とのセックスを見せつけられて……」
それはひどい! 陸と交際したことがトラウマになるのも当然だ。アヤネさんも彼女に同情したようだ。
「あいつ、悪魔だよね。私もあいつの部屋に行ったら、あいつがほかの女とセックスしててさ。それで別れた。被害者同士、仲良くしない?」
「そうですね……」
「あははははははは!」
唐突にアヤネさんが大声で笑い出した。もしかしてアヤネさんもメンヘラ? それも彼女に負けないくらいの。僕は身構えたが、僕の懸念はまったくの不正解だった。
「陸が私に見せつけたセックスの相手はあんただったじゃない? そのあんたがまた別の女とのセックスを見せつけられて陸と別れた? そういうのはね、因果応報って言うの。なんで私があんたと仲良くしなきゃいけないの? ざまあみろとしか思ってないよ」
彼女についてもう何を聞いても驚かない自信があったけど、僕の自信は砂上の楼閣にすぎず、楼閣は一瞬にして跡形もなく崩れ去った。そんな僕の内心を知ってか知らずか、アヤネさんは僕に話を振ってきた。