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◆プロローグ◆
蒸し暑さが残る夕暮れ時、マンションの1室には香ばしい匂いが漂っていた。
キッチンに立つ俺がフライパンを振る音、
スマホをいじりながら寝るすいの寝息が混じり合う。
俺らは、気づいた時から一緒にいた幼馴染。
母親同士が仲良かったらしい?
去年、中3の時にすいが告白してきてそのままOK、同棲してる今に至る。
この生活は、まるで呼吸をするように自然で、当たり前のものだった。
「すいー、飯できたぞ」
「んぁ…おはよぅ、ちあき」
「今寝たら寝れなくなるぞー?」
俺が作る飯は、すいの大好物…らしい。
千秋のご飯!と机に飛びつく様子はまるで犬の様だ。かわいい。
食事中も会話が途切れない。学校の話や友達の話、他愛もない将来の夢。俺は笑顔ですいの話を聞き、時折、すいの口元に着いた米粒を拭き取る。
すいはそれに気づかず、俺の手のひらに頬を擦り寄せる。そんな無防備な仕草に、俺の心は複雑な謎の感情を募らせていた。
「ねえ千秋、新しいゲームでたからやろ〜!」
「はいはい、ちょっと待ってね」
こんな可愛い笑顔を見れるのは俺の、俺だけの特権。
絶対誰にも渡さない、俺の宝物。