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桜の花びらが振り続ける朝。
「拓ー!おっはよ!」
肩まで伸びた黒髪を揺らしながら、白い肌にピンクの頬をした女子生徒ー氷乃ーが前を歩く男子生徒の背中に飛び乗る。
「氷乃!それやめろってビビるから!…普通に危ねぇし」
ゆっくりと氷乃を下ろした男子生徒ー拓哉ーは低身長の氷乃を見下ろすように話しかける。
「いいじゃんっ!だってだって!今日から私たち高校生なんだよっ!」
花が咲いたように笑うその笑顔を拓哉は直視出来ずに目をそらす。
中学の時のように2人並んで道を歩く。
「拓と同じクラスがいいなぁ」
「は?!」
「だって拓頼りになるんだもんっ!中学の時だって勉強教えてくれたしっ!」
「もう高校生になったんだからお前の世話してる暇無いわ!」
「えー」
いつもと変わらない会話…。
でも
ートントン
誰かが氷乃の肩を叩く。
「これ、落し物ですよ」
氷乃は気づかないうちにハンカチを落としていた。
「すみません、ありがとうございます」
ハンカチを受け取り、顔を上げると優しい笑みを浮かべた男子生徒が立っていた。
「氷乃?行こうぜ?」
拓哉が氷乃の肩に手を置く。
「あっ、うん」
氷乃は頷いて、先程ハンカチを拾ってくれた男子生徒にお辞儀をして、拓哉の後を追った。
氷乃にとって、この日が初めて、だいすきな先輩と出会った日になるとは、まだ思ってもいなかった。
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「拓、な、何組だった?」
「氷乃こそ…何組だったんだよ。」
クラスが貼られている掲示板の前…2人は自分の名前を探すのに精一杯だった。
「私…3組」
「俺…3組」
「「えっ?!」」
「ほんとに拓3組?!同じ?!」
「まじ?!」
「やったぁ!良かった、ぼっち回避…!」
「氷乃、1年間よろしく」
拓哉は優しく微笑む。
少し長い前髪から覗く瞳は優しさで溢れていた。
「うん!よろしく!」
この日から、2人の高校生活は始まった。