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第14章
神を名乗る国家
第91話:国教宣言
王都中央議会。
静まり返る中、
融合管理局長カシムが演壇に立った。
「我が国は本日をもって、
新たな秩序を定める」
一枚の文書が掲げられる。
《融合調和法・改訂案》
「融合とは、
国家が管理し、
国家のために用いられる力である」
そして――
「野山健を巡る混乱は、
無秩序な信仰が生んだ悲劇だ」
「よって、
国家は“正しき神”を定める」
ざわめき。
「国家が……
神を?」
第92話:選ばれた象徴
選ばれたのは、
“人間”ではなかった。
完全管理下の融合存在。
感情を排除され、
意志を持たない――
《聖機構体・アルケイオン》
「奇跡を演出し、
救済を数値で配分する」
「これこそ、
暴走しない神だ」
健は、吐き捨てる。
「……最低だ」
第93話:聖戦布告
同時刻、
国中に布告が流れる。
「偽りの救世主に与する者は、
国家への反逆者である」
「野山健およびその協力者を、
異端指定とする」
言葉は、
銃より早く人を殺す。
リュシアが剣を握る。
「完全に、
潰しに来たわね」
第94話:守られる側の決意
避難地。
健は、人々を見る。
「俺と一緒にいれば、
危険だ」
「……それでもいい」
答えたのは、
かつて信仰を捨てた者たちだった。
「神はいらない」
「でも、
あんたが逃げるなら、
それは違う」
健は、拳を握る。
「……守るよ」
「今度こそ、
逃げない」
第95話:神と国家の違い
エリナが言う。
「国家の神は、
責任を取らない」
「でも、
あなたは取ろうとする」
「それが、
決定的な違いよ」
健は、静かに笑った。
「じゃあ俺は、
最悪の神だな」
「ええ」
「だからこそ、
人間でいられる」
第96話:聖機構体、起動
王都地下。
巨大な融合炉が唸る。
「アルケイオン、
起動」
無機質な声。
空に、
人工の光輪が浮かぶ。
人々は、跪いた。
「……始まった」
第97話:初撃
聖機構体の“奇跡”は、
精密だった。
反政府勢力の拠点が、
選択的に消滅する。
巻き添えは、
許容範囲。
「これが、
正しき救済だ」
健は、歯を食いしばる。
「救済を、
計算するな」
第98話:宣戦
健は、通信に割り込んだ。
全域へ。
「聞け」
「俺は、
国家の敵でいい」
「でも、
神を兵器にするなら――」
一拍。
「俺が、
止める」
沈黙の後、
世界が、動いた。
第99話:正義の衝突点
国家神アルケイオン。
人間・健。
二つの正義が、
同時に動き出す。
ノクスが、
観測層で呟く。
「……美しい」
「人は、
神を作り、
神に抗う」
均衡値が、
急落する。
第100話:戦争の名前
歴史書は、
この瞬間に名を与える。
《神格管理戦争》
それは、
善と悪ではない。
正義と正義が、
互いを否定する戦争。
健は、前を見る。
「終わらせよう」
人として。
第14章・了
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