ここは廃病院だった。
看板には「開籠病院」と書かれている。あかごびょういんと読むのだろう。
アナウンスを聞いた時に、自然と「赤子」だと思っていたので、ちょっと拍子抜けした気分だ。
入口付近に人はいない。
俺達は古めかしいガラス戸を押し上げて、病院内へと足を踏み入れた。
入ってすぐは受付の待合スペースだ。ボロボロになった合皮だかビニールだかのソファ。細いカウンターの上には「外来」と書かれた表示がある。
あちこちに文具やファイルなどが散乱しており、床にはあまり原因を考えたくないようなシミが広がっていた。
右にも左にも通路がある。
皆、どちらに行ったのだろうか。追いかけるべきか、別の場所を探すべきかも決めかねながら、俺は待合スペース右手にあった掲示板に近づいた。
「……1999年」
掲示物のいくつかには、そう書かれていた。この病院は1999年のまま時を止め************
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