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ある能力者の非日常

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ある能力者の非日常

1 - ある能力者の非日常

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2022年02月25日

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ひっっっまだなぁ…。あ、どうも。『蜜柑こと朱華』です。今俺はとてつもなく暇を持て余しております。何故かって?小説のネタも勉強するやる気もないし黒羊家(某黒羊サーバー)にも誰もいないしで、もう暇すぎて暇すぎて…。

「はぁぁぁちゃぁぁん!!!!」

…とか言ってたら来ましたね。『えびてんことみおさん。通称おみお。』

「はーちゃん聞いてぇ、また卓が修羅修羅してるよぉぉ…」

「俺に言われても…お前が悪いやんそれ」

「ぇぴえん」

「はねちゃー、おみおー、いるぅ?」

っと、そんな事話してたらまた来ましたな。『黒幕ことくろんさん。通称ろんろん。』

「ろんろぉぉん、また卓が修羅修羅してるのぉ」

「しゅらっしゅらっ♪」

「しゅらっしゅらっ!」

てぇてぇ…おっとすみません心臓が止まりかけましたが問題ありません。とりあえず邪魔しないよう俺は少し離れた所でニヤニヤしながら見るとしましょう…。

「てか、今日少なくね?」

あぁ確かに…過疎ってますな。

「まぁしばらくすれば集まるでしょ、何事もなけりゃいいけど…」

「大変だァァ!」

「…フラグ建築…?」

おみお、うるさいぞ。と言おうとしたのはいいが、そうだな…『リアル男なのにネットだと女だと勘違いされやすいという永遠の謎に包まれている人ことかすみさん。通称かすみん。』の焦りようからしてまぁ結構な事が起きたんでしょう。

「ひ、羊さんと双刃さんが…!」

あー何か嫌な予感。

「りょ、今向かう。行くよはーちゃ、ろんろん!…ってろんろんいない!?まぁいい、かすみさんもいくよ。」

「り」

「…はい」

━━━━━━━━━━━━━━━

「…何で邪魔するの?俺はただ遊んでるだけじゃん。」

「羊さんのそれは遊びじゃない、殺人です。」

「ちょっと意味がよく分かんないんだけど。遊んでるじゃん、ほらよく見てよこのおっさんの疲れきった顔。たまにはリラックスも必要だろ?」

「思いっきりブーメラン刺さってますが?」

「あぁぁあ、うるせぇうるせぇ!何しようと俺の勝手なんだよ!」

『あ、あれ』

場所はあまり知られていない古い公園のその先の空き地。そこから少し離れた物陰に隠れ、かすみんが指定した方向を見ると『黒羊家の主こと黒羊さん。通称相棒。』と、『みんなのまとめ役こと双刃さん。通称そうはさん(ふたばさん)。』が対峙していた。よく見ると相棒の身に付けている黒いジャンパーのフードは力なく下げられており、灰色の髪が生暖かい風に吹かれ、いかにもボス登場といった演出になっている。

一方双刃さんは、白シャツに緩めたネクタイがたなびき、右目にかかる前髪が邪魔なのか少し耳にかけている。

一見すると、どちらも普通の少年と学生という感じだがこの世には例外というものが存在する。

隠れる3人の後ろで空っぽのアルミ缶が風に吹かれからからと音を立てた。それを合図に目の前の2人は怒涛の勢いで攻撃を始めた。

先に攻撃を仕掛けたのは相棒。フードを外しているため攻撃力や身体能力が大幅にアップしている。手にはそこら辺に落ちていたであろう錆びたバール、そしてその目は必ず目の前の獲物を仕留めるという強い意志を持った凶暴な獣のような鋭さだった。

一方で双刃さんはどちらかと言えば遠隔操作型の能力、近接戦には少し不利だ。それに相棒と違い自らの手で攻撃をするという訳では無い。まだ相棒がフードを被っているならまだしも外していてはやられるのは時間の問題、援護するべきか…。

そんな事を考えている間も攻撃は止まらない。相棒がバールを振りかざし、それを見極め避けつつ反撃の隙を狙う双刃さん。

『やばい…どうしたものか…』

かすみんが震えた声で言う。正直ここにいる3人の能力も扱いが難しい。遠距離型が近距離攻撃につき、それを3人の遠距離型が援護するというのはかなり辛い。1度双刃さんを撤退させ4人で攻撃する手もあるが、相手は近距離特攻型、身体能力の上がっていない自分達は一瞬で詰められやられてしまうだろう。

なら、どうすれば…。

『私が時間を稼ぐからその間にはーちゃん詰めな、かすみんは2人の援護を。』

いつになく冷静なおみおの態度に若干のSAN値チェックが入るも、それ以外に策はない。頼んだ、と相槌を打つとおみおは目を閉じブツブツと呪文を唱え始めた。

唱え終えるまでに少し時間がかかる、それまで…。

そう考えていると、回避に疲れ一瞬体制を崩した双刃さんの隙を見て相棒が一気に詰め上げる。バールを頭上に掲げ、ゾッとする程不気味な笑みを浮かべる。

「じゃ、今まで楽しかったよ、双刃さん…。」

そう呟き、鈍く光るバールを振り下ろす。待って!その言葉が出かけた瞬間、風を切るような速度で2人の間に割り込み手持ちの小さな壁のようなものでバールを受け止める者がいた。かすみんだった。攻撃の勢いが強く少しよろけるもすぐに立て直す。それに驚き、相棒が距離をとる。

「か、かすみさん!」

「あ〜腕折れるかと思った。大丈夫?」

「まぁ、何とか…」

いつ間に入ったんだ…いつからスタンバってたんだ…そんな事を考えていると、ダルそうに相棒が声を上げる。

「はぁぁ、もうめんっどくさ!敵増えたじゃんだる〜。やっと誰にも見られず遊べると思ったの、に…」

そこまで言うと突然黙り込み、苦しそうに咳き込み腹を抱えだした。

「危ない危ない、かすみさんナイスだったよー。でももう少し安全にね。」

「それはまぁ、ごめん。双刃さんも…」

「いやぁ俺は…」

あ、何かてぇてぇしてる。出たくねぇ。

「どうして、どうしてみんな邪魔するんだよ!」

突然の叫び声に驚き、相棒を見る。

「俺はただ遊びたいだけなのに、やりたい事をやってるだけなのに、どうしてこうも邪魔な事しかしないんだ!なぁ相棒、見てるんだろう?相棒なら俺の気持ちも分かるよな?なぁ…。」

そう言い、赤黒く染った視線を向ける。不自然な程に取って付けたような笑みに驚くも、こういう時は平常心を忘れてはいけない。いけないと分かっていても全身の震えが止まらないのは能力の影響だろうか。

「…もういいよ、結局相棒もそうなんだな。俺の邪魔をして悔しがっているのを見て笑ってるんだろ、知ってるよ。」

だからもう付きまとわないで。それだけ言い放つと身に付けていたジャンパーを脱ぎ捨て、バールを握り直す。

「今から皆に最高の花火を見せてあげよう。安心して、花火の材料はもう集まっている…君達だよ。」

そう吐き捨てた瞬間、固まっていた3人の元へ一気に詰め寄る。

「深淵の渦っ!」

叫び、渦を出現させたのは双刃さんの能力だった。しかしステータスが大幅に上昇した相棒に能力1つで対抗するのは無理があった。渦がまるでガラスのように粉々に破壊され、双刃さんと相棒の距離がわずか1、2m程に迫り、先程のようにかすみんが入る隙もなかった。完全に助けられなくとも距離を話す方法はと考える。が、頭より先に手が動いていた。

「『落雷』!」

途端、耳をつんざくような轟音と共にどこからともなく2人の間に雷が落ちた。突然の落雷に驚き双方の距離が少し離れ、数秒程の沈黙が訪れる。はっと手元を見ると左手の小さなノートにつなぎ文字で汚く書かれた『落雷』という字と、右手にいつも持ち歩いている愛ペンがあった。おみおがこちらを振り返り、ぐっと親指を立ててくるも返す暇もなく相棒の攻撃は続く。

チラリと辺りを見渡し、こちらへ狙いを定め目にも止まらぬ早さで走り寄り、勢いよくバールを振り下ろす。

「『氷壁』!」

カチンという分厚い氷の壁が一瞬で生成される。相手が瞬間的に攻撃してくるのならば、こちらも瞬間的に防御すればいい話。しかし力強い攻撃は当たらずとも止まることは無い。

「『突風』、『炎柱』、『石壁』…」

次の防御を発動とした瞬間、右手にあの痛みが走り、文字を書く手が止まる。

「…っ!?」

バールの先が数十センチにも満たない所まで迫っていた。終わった…。そう悟ると、黒い水晶のような物体が飛んできた。その物体はみるみるうちにバールを吸い取り、飛んできた方向へ戻った。

「危ないなぁ、もうちょっとで死ぬ所だったよ?」

遠くで汗を浮かべながら言うかすみんに、目線だけでもとありがとうを伝えると相棒が次の攻撃に移ろうと体制を整える。

「…深淵の渦!」

一瞬の隙を狙い、地面に真っ黒な渦が出現する。反射的に避けるも不規則に出現する黒の水晶と渦に中々素早く反応出来ず体制を大きく崩してしまう。

「蜜柑さん!」

「わかってる…『圧迫』!」

痛みに耐えながら書くのはすこし辛かったが、2人の援護を得ながら自分だけ逃げるのは無礼にも程がある。書いた途端、空き地一帯の重力が重くなった。相棒は完全に地面に押さえ付けられているが、自分でも立っているのもしんどく、かがみ気味になるが耐えるしかない。

しかし、耐えた所で何がある?見渡せばいつの間にかここにいるのはおみおを抜いた4人だけだった。

あいつ…!

悔しさと怒りに駆られながら歯ぎしりをしていると、この重く苦しい空間に似合わない透き通った美声が響いた。

「炎龍」

その言葉と共に現れたのは、全長100メートルもある全身に炎を纏った龍だった。そいつは空き地を囲むように自分を使い大きな炎を出現させた。だが、この龍の使い手は自分だけでなく皆知っている。透明感があっておっとりしていて、それでいてしっかり者の…。

「くろんさん…」

双刃さんの言葉と共に相棒もかすみんも振り向く。

「おみおに呼ばれて、来ちゃった♪」

隣には酷く息切れをしたおみおがいた。

なるほど、ろんろんを呼ぶために隙を見て逃げ出したのか…。

納得していると、ろんろんが手を口に当て、てへっと言わんばかりに清々しい笑みを浮かべる。

「ひつじぃ、またこんな事してたの?」

「…うるせぇよ。お前には関係ねぇし、帰れっての…」

『圧迫』は無くなったものの、炎龍を後ろに付け、不敵に笑うろんろんに恐怖を覚えたのかその言葉は弱々しく何かに怯えているようだった。

「またそんな事言って〜、ジャンパー外しちゃってさ…はい、これ着なさいっ。」

「…やだ」

「やだじゃないよぉ、早く早く」

「やだって言って…」

黙ったかと思うと、操り人形の糸が切れたようにパタリと倒れ、そのまま眠ってしまった。

「うん、時間ピッタリ…みんなお疲れ様〜♪」

わーいというように手を叩きキラキラとした笑みを見せる。気づけば辺りの炎も炎龍は消え、小鳥の鳴き声と風に揺らめく木の葉の音が、古く人気のない空き地に響いていた。

「終わったぁぁ……」

かすみんの腑抜けた声に自分も双刃さんもぺたりと地面に座り込む。

「何だか長かったような短かったような…」

その通りだよ双刃さん…と言いたい所だが疲れ果てて息をするのも一苦労だった。おつつーとおみおに手を出され、ハイタッチを交わす。相棒が落ち着いたのはいいものの、ここからどうするか何も考えておらず、しばらく自然の声に耳を傾け策が出るまで雑談でもしようかという事になった。

━━━━━━━━━━━━━━━

…あ、どうも、蜜柑です。いや〜先日は大変でしたな。今はそれぞれ体に異常がないか、検査して家でゴロゴロしている状態なんですけどもね、まぁ俺は腱鞘炎が悪化したぐらいで済んだんですけども…。相変わらず卓が修羅修羅してたりハイになってる人がいたりと、結構みんな元気してます。相棒はというと…目が覚めて早々土下座させろやら慰謝料払わせろやらである意味忙しかったですね。まぁ全部断りましたけど。相棒が暴れるのは珍しくなかったんですけどまさかここまで来るとは、ちょっと予想外でした。

「はぁぁぁちゃぁぁ……」

「おうなんやまた修羅ってんのか」

「花丸大正解。」

「わぁいやったぁ。」

「やったぁ。」

相変わらず脳死で話しております。安心してください、いつもの事です。

「そいえば後4人は?」

「あ〜、何かろんろんとかすみんは消息不明で、ひーちゃんは滝修行とか何とかって言っててぇ、双刃さんはいろいろハイになってる」

何だ平常運転か。ここまで来たらもう気にしないですよ、はい。とりあえず落ち着いてきた頃ですし、もう少しのんびりしましょうかねぇ。

━━━━━━━━━━━━━━━

「…どぉ?そろそろ上手く行きそう?」

「あ〜、もう少し時間くれれば…」

「もう少しってどれぐらい〜?」

「後、数週間ほど…」

「ふふっ、りょーかーい♪次こそは上手くやってよぉ、かすみさん。」

「わかりました…くろんさん。」

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