番外編 一郎
『っ….』
一郎さんは光の無い目で私を見つめながら
「何故逃げたんだ」
と聞いてくる。
怖かったから、と言えたら楽だろうが、こんな目を向けられて言える訳が無い。
私はただ怯えるしか無かった。
あともう少しで乙統女様がいる部屋だったというのに。足を挫いて捕まってしまうなんて。
悔しさと怖さで足が震えた。
「おい 聞いてるのか?」
『あ….』
どう逃げよう。その事で頭がいっぱいで一郎さんの話を聞いていなかった。
『ご、ごめんなさ…』
「….」
グイッ
『ひゃ…ちょ、..』
一郎さんは私の腕を引っ張ると門の方へ向かっていった。
やばい、このままじゃ….
『助けて、..(ボソッ)』
「…悪ぃがお前を助けるやつなんてここに居ない。」
『!』
聞こえてた、?小声で言ったはずなのに、
『…』
どうしよう、このままじゃ本当に逃げれなくなる、
中央区を出て駅まで連れていかれる。
その間一郎さんと私は一言も言葉を交わさなかった。
電車に乗れば誰かに助けて貰えるかも。そう思っていた。
だが電車に乗ると他の乗客は誰一人おらず、居るのは運転手、私、一郎さんの3人のみ。
…どうしよう。
電車の向かう先はイケブクロ。
きっと家に連れていかれるんだろう。
…どうにか逃げないと。
本当なら人混みに紛れて逃げようと思ったが人が誰一人以内ならできない。
『…!』
そうだ…!..
私はあることを思いついた。
次の駅でドアが空く。..その時に降りて逃げればいいんじゃないか…と。
我ながらに天才だと思ったが男性から逃げ切れるのだろうか。
逃げたところで帰る場がないなら意味が無いのではないか。
色んな疑問が頭を通過する。
どうすれば、…
「なぁ」
『は、はい!』
「…逃げねぇのか?」
..え、?
..逃げねぇのか?って..どうゆうこと、?
「…こうゆう時普通逃げるもんなんじゃねぇのかな..って思って..」
『…え、』
ど、どうゆうこと、?
逃げてもいいってこと、?..
私が混乱していると一郎さんは
「…でもお前が逃げる気なら俺は….ブツブツ..」
『え、?な、なんて..』
「..何でもねぇよ。」
?なんて言おうとしたんだろう。
プシュー..(ドアが開く音)
『!』
開いた、!
..っ..でもお金払わないと…
…どうしよう、
「なんだ、逃げねぇのか?」
っ….
一郎さんはニヤッと嫌な笑みを浮かべながら私にそう言った。
『っ…』
さっき、一郎さんはこうゆう時普通逃げるもんなんじゃねぇのかなって…って言ってたけど、あれは心配とかそうゆうのじゃなくて…
私がどう行動するか面白がってただけなんだ。
そう思った瞬間怖くなって腰が抜け、その場に座り込んだ。
「…どうした?」
わかっているくせに。
彼は私の怯え方を楽しそうに眺めながら私の髪を触った。
『っ..触らないで、!』
手を離そうと一郎さんの手を掴んだが逆に私の腕が掴まれてしまった。
左手は恐怖で動かず、右手は捕まっている。
この状況から逃げるなんて不可能だ。
..諦めろってこと、?嫌だ、…
「…もう終わりか?」
一郎さんは少しつまらなそうな顔をしたがすぐニヤッと嫌な笑みを浮かべ私にこう放った。
「じゃあこのまま家に連れてってもいいってことだな?」
『..え、』
何を言ってるんだ、元々連れてく気だったろ。
そう思ったがもしかしたら..と疑問も出てきた。
..もしかしたら、私があの時電車から逃げていたら彼は追わずに諦めていたかもしれない。..つまり私は今自分で自分を苦しめたという事だ。(語彙力無)
恐怖で声も手も足も出ない。ただ彼に従うことしかできなかった。
あれから数分。彼の家に連れていかれた。
二郎君と三郎君は私を見た瞬間嬉しそうな顔をしたがすぐ
あの時何故行ってしまったのか。
と聞いてきた。
答えれる訳もなく無言でいると彼らは
まぁいいや…と私をお風呂場に連れていった。
私が頭に?を浮かべていると一郎さんはお前、素足だったろ?..あとその無理に連れてきちまったし..とりあえず風呂入れよ…と言ってバスタオルを渡してくれた。
優しい?な…と思いながらお風呂に入り、夕食を共にする。
ここだけ見れば普通の家庭。
でも私は連れてこられた身だ。油断してはいけない。
でも何故か安心出来てしまう。
気づけば私は眠っていた。
目覚めると目の前は真っ暗で、目隠しをされていると気づくまでそう時間は要らなかった。
何故?と考えていると隣から
「(名前)、おはよう」
と一郎くんの声が聞こえた。
弟くんたちの声は聞こえない。
一郎君は私の考えていることを察したのか
「弟たちなら寝てる」
と言った。
『..あ、あの..これ..』
「あぁ、目隠しだよ。」
一郎君は私の問いに迷わず答えた。
『な、なんで…』
私がそう聞くと一郎さんは
と言った。
え?..どうゆうこと、?
俺以外見ないようにするため、??
『どうゆうことですか、』
「今言った通りだ。お前が俺以外見なくなるまでそれは外さねぇ。」
っ…つまり、私は運が悪ければ一生このまま、?
いやだ、そんなの…
どうにかして逃げないと、
「…逃げようとか思ってねぇよな?」
『っ..』
考えがバレてる、?..なんで、?
一郎さんは私の足に手を当てるとこう言った。
「..もしお前が逃げようもんなら俺は
お前のこの脚….」
『..え、?』
一郎さんは言いかけると私の足を少し強く握り、
「..もう歩けねぇようにするかも..な?」
『っ…え、う..嘘ですよね、?』
そうだ、こんなの嘘に決まって..
「嘘じゃねぇよ。」
『え、?』
一郎さんの顔は見えないけど声が真剣だ。
つまり、本当に私はこの足を手放すことになるかもしれない。そんなのごめんだ。
『っ…見ません、..一郎..さん以外見ません、!..だから..だから、!』
「…ふっ…よく言えました。」
一郎さんは私がそう言うと満足気に私の額に キ ス を落とし、目隠しを外してくれた。
『っ…』
目隠しが外れ、目に光が刺し少し眩しく感じた。
一郎さんの方を見ると
背筋が凍るような 少し不気味、?な笑みを浮かべながら私を見つめていた。
..これからも私はこの笑みを向けられながら生きてゆくのだろうか。
そう考えるだけで 目に涙が溜まった。
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主
投稿遅くなってすいませんでした!!m(*_ _)mm(*_ _)m
なかなか内容が決まらず遅くなりましたほんとにすいません。
今回は一郎に捕まったら..という話だったんですか長くなりました。
一郎ヤンデレだったら怖い..()
次の次?くらいで左馬刻編出そうと思います!その後他のキャラ全員登場させて他キャラに捕まった編出そうと思ってます!
あとここまでこの物語を読んでくださりありがとうございます!!嬉しすぎて出血しました!(?)
今後もこの物語をよろしくお願いします!
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