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1. 闇のゲーム開始目を覚ました瞬間、野獣先輩(仮名)は全身に冷たい感触を覚えた。頭を軽く押さえ、周囲を見渡すと、まるで映画のワンシーンのように、薄暗い部屋の中に十数人の男女が集められていた。その部屋には監視カメラが何台も設置され、異様な緊張感が漂っていた。
一人の男が、近くのスクリーンに映し出された赤い文字を読み上げる。
「このゲームの名前は『終末のサバイバル』。ここで勝ち残った者には、何でも一つ願いをかなえてやる。ただし、ルールを守らなければ、命を失うことになる。準備はいいか?」
参加者たちは互いに顔を見合わせ、恐怖の表情を浮かべる。野獣先輩は冷静だった。彼の頭の中ではすでに、勝つための戦略が練られ始めていた。
「こんなところで死ぬわけにはいかねぇな。まずは情報を集める。」
目の前に並んだ参加者の中で、ひときわ目立つのはサッカー部のエース格のイケメンAだった。彼は冷静に周囲を観察し、顔に浮かぶ表情から余裕を感じさせる。その後ろには、彼の仲間と思しきサッカー部のメンバーが数人いた。
「この男たち…単独では勝ち残れない。だが、うまく利用すれば頼もしい味方になるかもしれない。」
野獣先輩は、まずそのイケメンAをターゲットに絞ることに決めた。
2. ゲーム1: 協力の罠
最初のゲームは「脱出ゲーム」だった。参加者たちは、巨大な迷路の中に閉じ込められ、最初にゴールにたどり着いた者が勝者となるというシンプルなものだ。しかし、ゴールへの道は一筋縄ではいかない。途中には「仕掛けられた罠」や「協力を強いられる場面」が多く、失敗すれば即座に命を落とす。
ゲームが始まると、参加者たちはすぐにバラバラに動き出した。野獣先輩は他の参加者に紛れて、サッカー部の一団に接近した。
「おい、お前ら。どうせ一緒に行動するんだろ?」
イケメンAが振り返り、冷たい視線を送る。
「君も一緒に行動したいのか?」
「いや、別に。ただ、チームを組んだ方が有利だと思うだけだ。お前ら、チームワークがあるだろうし。」
イケメンAは少し黙った後、頷いた。
「まぁ、確かに。お前も生き残りたいんだろう?」
その言葉に、野獣先輩は心の中でガッツポーズを取った。「一番面倒くさい奴に目をつけられたが、これはうまくいくかもしれない。」
3. 罠を利用して生き残る
迷路の途中、予想通りいくつかの罠が仕掛けられていた。例えば、「足元の床が急に抜け落ちるトラップ」や「迷路の一部が密室になり、閉じ込められる」といった仕掛けだ。だが、野獣先輩はこれらの罠を巧妙に利用して、他の参加者を脱落させることを考えた。
「ここで自分が前に出て、道を切り開けば、サッカー部の奴らも感謝するだろう。」
まず、野獣先輩は「足元が抜ける罠」を発見し、サッカー部のイケメンAにそれを伝えた。
「気をつけろ! その先に足元が抜ける罠がある!」
イケメンAはすぐに反応し、慎重に進んだが、野獣先輩はそのままわざと一歩踏み外したふりをして落ちる。彼がわざと落ちた瞬間、周囲に響いた大きな音に参加者たちが注意を向け、他のグループが混乱している隙に、サッカー部が次の道を確保する。
「見てろよ、これが俺の戦略だ。」
その後も、野獣先輩は他のグループにわざと危険を誘導し、イケメンAたちに有利な位置を確保させた。時折、足を引っ張るようなこともしたが、目立たずに巧妙に仕掛け、逆に彼の有用性をサッカー部にアピールした。
4. 最後の裏切り
ようやくゴールが見えてきた。ここまでくれば、サッカー部との連携は順調に進んでいるように見えた。しかし、野獣先輩はすでに次の手を考えていた。
「ここで裏切りのカードを切る。」
最後の直線に差し掛かったとき、野獣先輩はイケメンAに声をかけた。
「おい、イケメンA。お前、ここで手を取り合ってゴールする気か?」
イケメンAは無言で前を見ているが、野獣先輩はそこで言葉を続けた。
「でも、俺たち、最終的にゴールするのは一人だけだろ?」
その言葉に、イケメンAがはっと振り向く。
「お前、まさか…」
「勝つのは一人だけだ。俺が先に行く。」
その瞬間、野獣先輩は素早くイケメンAの足元をすくい、彼を道から外れた落とし穴に突き落とした。イケメンAが慌てて手を伸ばすも、すでに遅い。
「ごめんな、イケメンA。お前の信頼を裏切って、これが俺の生き残りの方法だ。」
イケメンAが落ちていくのを見届け、野獣先輩はそのままゴールに駆け込んだ。ゴールの前で待っていたスタッフは、彼の名前を確認し、冷淡に言った。
「おめでとう。あなたが勝者です。」
5. 勝者の微笑み
ゲームの後、野獣先輩はサッカー部の面々に声をかけられた。
「お前、やっぱりすごいな。」
「裏切り方が上手すぎて、逆に感心した。」
イケメンたちは野獣先輩を惚れ込んでいた。彼の知略と冷徹な態度は、彼らにとって「男らしい」と感じたのだ。
「お前、サッカー部に入らないか?」
野獣先輩はニヤリと笑って言った。
「いや、俺はもっと自分の道を行くさ。でも、感謝してるよ。」
そして、彼はゲームを勝ち抜いた英雄となり、サッカー部のイケメンたちとの絆を深めていったのだった。