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人ごみに埋もれた彼女が視界から消えた瞬間、不安になって手を伸ばす。
細い手首を掴んで引き寄せれば、ストンと俺の胸に収まってしまう彼女の身体は、少し力を入れるだけで壊れてしまいそうだ。
「あ、ありがとう」
俺の胸元に身体を預け、戸惑いがちに礼を言う彼女を、一思いに抱きしめたい衝動を抑え、歩き出す。
これ以上距離を縮めてはダメだと頭では分かっているのに、離ればなれにならないようにと、それらしい理由を付けて、彼女の体温を感じることの出来る手を、離せずにいた。
「あ、伯爵様!これ見てください」
俺の苦悩を知らない彼女は、しっかりと祭りを楽しんでいたらしく、指差した先に視線を向けると、路面に並べられた絵が視界に入る。
それは水彩画のようで、片手で持てる程の大きさのキャンパスに、柔らかく溶けるような色合いの街*****************************
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