「手がかり、だと?」
「いや、正確なことは分からないんだが、少し気になることがあってな」
「それが本当なら、かなりのお手柄ですよ」
「頼むぜ!?本当になーんにも分かんないんだからよ」
「さっさと教えろ」
沢山の質問攻めにあったソ連は不快そうな表情を浮かべ、口を開いた。
「落ち着けお前ら、まだ不確定要素だらけなんだ。あまり期待するな」
「珍しく弱気だね?何かあったの?」
「…それはまあ、追々説明する。」
ソ連は説明するのに乗り気ではないようで、まるで後悔しているかのように苦い顔をした。
国際連盟は灰皿の上にタバコの先を擦り付けて火を消した。じゅ、と音がした。
「俺だって頭の中が整理出来てないんだ。話せるだけ話すようにするがな」
ソ連が話した内容はこうだ。
進んでいる間、商人の押し売りにあったらしい。断ったがどうしてもしつこく、無償でやるとすら言い出した。しまいには品物を押し付けて去ってしまったのだ。
その品物はペンのインクだった。しかしインクにしては珍妙な色をしており、本当に使えるのかすら疑問だった。
気味悪がって捨てると、容器のガラス片が飛び散って手に傷をつけた。手元を見ると、僅かに残ったインクが、血と混ざり合って黒く染まっていた。
「その封筒の宛名、」
「まさか、そんなことが」
ソ連の話を聞いて、日帝が封筒の1つを手に取った。すると日帝は一瞬固まって、次は納得するように頷いた。
「独特の鉄臭さ、間違いない」
「ひゃ〜っ!怖すぎるんねぇっ!」
「随分と悪趣味なものだ」
「うわっ!ゾッとしたぜ!」
「それにしても何故、ヒントを与えるような真似をしたのでしょうか。商人の姿かたちは?」
「気持ち悪い、何がしたいの?」
血で文字を書くという恐ろしさと同時に新たな疑問がうまれた。
ならば何故、それをこちらに教えたのだろう
「あー、やっぱそうなるよな。俺もドン引きだし。商人の姿はフードを被っていたからよく見えなかったが、背丈はイタ王や国際連合くらいだったと思うぞ」
「まあ、そう簡単に顔を見せてはくれないだろうな」
「目的が全く分からないんね」
「私達全員に強い感情を持つ誰か、存在するのでしょうか?」
犯人は何故、こちらにヒントを与えたのか。正体がバレたくなければ、こんなことはしないはずだ。
「周囲の目撃情報をあらってみます。今日はここで一旦解散しましょう」
国際連合がそう言った。それは正しい判断だったと言えるだろう。誰1人として、此処に留まりたくなかったから。
封筒と写真については、国際連合と国際連盟が預かっておくこととなった。
それから数時間、イタ王は1人でぶらぶらと歩いていた。普段は役に立てていないから、皆が困っているからこそ、とりあえず行動しようと思ったのだ。
しかし、実際の彼の心は、晴れているとはとても言えない状態だった。
イタ王とて闇雲に歩き回っている訳では無い。ソ連が行った道のりを、注意深く辿っているのだ。そうしてかれこれ1時間弱、イタ王が諦めかけたとき、はためく布が目に入った。
フード付きのマントの布だ。
「待って!」
思わず、声が出た。フードの者はビクリとし、その場で固まった。振り返るべきか、悩んでいるようにも見えた。
普段の彼なら躊躇しただろうが、今は違かった。イタ王はフードを思い切り剥ぎ取った。
そこには、彼に瓜二つ、否
イタ王そのものがいた。
彼は呆気にとられて、腹部に銃口が当てられているのに気づくのが遅れた。
銃声が、響いた。
意識を失う前に、はらりと地に落ちる封筒が見えた。
『イタリア王国宛て』
コメント
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まじ今回も神すぎる...✨️ イタ王ぉぉぉぉッッ