テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
パラレル・ゲーマー
230
#工場長
パラレル・ゲーマー
2,396
パラレル・ゲーマー
661
臣桜
47,106
(朝風呂にも入りたいな。夜とはまた違った趣があるだろうし)
食べ終わったあと、ラウンジの雰囲気も堪能したし、部屋に戻る事にした。
ラウンジを出ると、品のいいお婆さんがこちらに向かって歩いてくるのを見た。
――と。
「危ないっ!」
すれ違う寸前にお婆さんがバランスを崩し、私はとっさに彼女を抱き留めた。
「大丈夫ですか?」
尋ねると、お婆さんは立ち直して弱々しく笑う。
「ごめんなさい。ありがとう。駄目ね、歳をとってくると目眩を起こしてしまったり、脚が弱くなったりで」
「いえいえ。朝食、きっと美味しいでしょうから、モリモリ食べて栄養をつけてください」
そう言うと、お婆さんはおかしそうに笑った。
「確かに、ここの朝食は美味しいわよ。私、連泊してるの」
「お墨付きで良かったです。私は今日チェックアウトなんですが、どうか奥さんも良い旅を」
微笑んで会釈すると、彼女も小さく頭を下げ、再びラウンジに向かった。
部屋に戻ると尊さんは洗面所にいて、顔を洗い終えたところだった。
「おー、早いな」
「おはようございます。んー……」
私は彼に抱きつき、首に両手を回すとチュッチュッとキスをする。
「お風呂入りました?」
「いや、まだ」
「じゃあ、ご飯までに時間があるから、ちょっと入りましょう」
「OK」
露天風呂で温まったあと、私たちは朝食会場に向かった。
昨日の『仙食庵』に行くと場所が違うみたいで、スタッフに『|喜庵《よろこびあん》』に案内された。
『仙食庵』ではバイキングをしているらしく、そちらもとても気になるけれど、私たちはスペシャルな朝食らしい。
「わぁ……」
案内されたのは木製のテーブルセットで、近くにはシルクロードの番組で出てきそうな楽器や、不思議な形の駒がセットされてあるチェス盤があった。
「ここのオーナーが、こういう物を集めるのが好きみたいだ」
「そうなんですね。不思議な物が沢山あって、博物館みたい」
周囲を気にしつつも、一番目がいくのは卓上だ。
左手前には伏せられたお茶碗、奥にはご飯が入った小さなお釜があり、一人用の小さな鉄鍋には湯豆腐もある。
さらに宝箱みたいな箱もあり、中に何があるのかめちゃくちゃ気になってしまった。
箱は貝細工のような繊細な模様で、ピンクと白の色使いで牡丹の花が描かれてあり、本当に綺麗だ。
「尊さん、お宝ボックス開けてもいいかな?」
「まだ加熱してないから、いいんじゃないか?」
言われて開けてみると、木の板の上に鮭の切り身とチンゲン菜、帆立があった。
「これ、どうやって加熱するんですか?」
尋ねると、尊さんはニヤッと笑った。
「あとからのお楽しみ」
「えー」
楽しみでニヤニヤしていると、スタッフが来て食前のフルーツ酢を出してくれた。
酸っぱ美味しいそれを飲んでから食べたのは、ガラスのボウルに入ったサラダ。
わさびのドレッシングが掛かっているらしく、底の方にはコーンも入っていて、甘くて美味しい。
そしてスタッフが例の宝箱に何かを入れて蓋を閉じ、中でもうもうと水蒸気が立ち始めた。
何を入れたか尋ねると、乾燥剤に水を掛けて発熱反応を起こし、それで中に入っている物を蒸しているというので、思わずうなってしまった。
そのあと湯豆腐やたっぷりのなめこと三つ葉が入ったお味噌汁、そして山菜のおこわを食べて幸せいっぱいになっているところ、物凄い物がきた。
「すっごーい! プルプル!」
運ばれてきたのは、とても大きくてプルプルな、できたての玉子焼きだ。
綺麗な色をしていて、ホカホカと湯気が立って、こんなに美味しそうな玉子焼きを見た事がない。
満腹になったあと、デザートに果物と温かい自家製プリンが出され、ホットコーヒーで締めとなり、私たちはお腹ポンポンになって部屋に戻ったのだった。
コメント
3件
こうゆう出会いは後で何かあるよね💕 美味しそうな朝ごはん🤤ご馳走様🙏でした😋
おばあさま、 お怪我がなくて良かった....😌 どなたなのか、とても気になります。 再会するのかな⁉️
おばあちゃま!お怪我なくてよかったね😊でも気になる存在だね。 朱里ちゃんサイコーの朝食だね!2人の食事のシーンもしゅき🥰