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【求めてたもの】

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【求めてたもの】

1 - 「求めてたもの」

♥

3,753

2024年04月14日

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sxfnー「求めてたもの」


メイン………🎼❤️×🎼💚


注意書き

※学パロ

※いじめ、自殺などの要素あり

※人外要素あり

※腐注意

※ご本人様とは関係ありません


それではどうぞ!






























〈❤️side〉

❤️「はぁ〜………だっrrrrrrる……まじで…」


俺は学校の階段を1段1段降りていく、その音が踊り場に響いて俺の耳にズキッと刺さるように返ってきた…とても苛ついてる俺の心境を表してるみたいだ。


現在俺は授業をサボっている。

理由は、周りの声が鬱陶しくて静かな場所に行きたかったから……俺は高校3年生、もうすぐ卒業だ。正直なことを言うとあまり高校には思い入れがない分とても卒業が嬉しい。

でも、色々な体験ができた3年間ではあったし……そういうことでは、貴重な年だっただろう。だからこそ……俺は残りの数少ない生活を楽しく自分なりに過ごしていきたいんだ。

それなのに………周りの家族やら先生やら友達やらが口を挟む。俺の意見を弾く。……本当に何も聞いてくれない


〝いいですか?暇なつくん?…あなたは優秀なんですから…ここに行きましょう!〟


〝……えっ!?もったいないじゃん!ここに行こここに!!…お金もあるって言ってたから1人暮らしとかもできるし!ついでに…俺もここだし!〟


〝なつ?…あなたはとても恵まれた子なんだから…自分の長所を活かせるところに行きなさい〟


❤️〝……俺は、そんなことよりも……〟


『何を言ってるの??』


俺はこんな奴らと居たのか?こんな人の意見も聞かない自己中心的な奴と……もしかして、今まで俺はこいつらの操り人形だったのか?……敷かれたレールを走ってたのか?だとしたらまじで気持ち悪い。

それどころか…今までの送っていた日常全てが無に感じてしまった。内側から否定されていく。それともそう感じる俺が鋭敏なだけだろうか?

こんな奴らに囲まれているのが嫌になり逃げてきて…現在に至るって感じ。


❤️「たく……もう1人がいい…誰も関わってほしくない……」


こんなことなら、学校にすら行かなければよかった。


?「〜♬〜〜♪…」

❤️「ん?……鼻歌?……(…綺麗な歌だな)」


1人で学校を歩いていると、何処からか鼻歌が聞こえてきた。その鼻歌はとても綺麗で上手、俺の暗い気持ちも少し晴れたような気がする。


❤️「……これ何処から聞こえるんだ?……テクテク…」


❤️「!……(この鼻歌…立入禁止エリアの向こうから聞こえる………)」


❤️「……まぁいいや…(立入禁止エリアをくぐる)テクテク」


まるで、足が惹かれていくように進んでいく。その先に何が待っているのか分からないけど…何故か気になるんだ。


❤️「!!……ここが……立入禁止エリア?…」


立入禁止エリアの先はとても綺麗な花畑があった。色々な種類の花があり、中には見たこともない珍しい花すら咲いている。この立入禁止エリアは校舎裏だ、太陽すら通らないところなのに………。

校舎裏の立入禁止エリアにはこんな場所があったのか…


❤️「…テクテク……?、何だ…この花冠……」


花畑の真ん中に落ちていたのはとても輪っかが太い花冠。1つ1つ丁寧で多分手作りなんだろう………


❤️「…こんなエリアに…なんで花冠がまだあんの?……ザッ……被ってみよっかな?」

?「…………誰?君…」

❤️「!!」


俺は後ろから声が聞こえて、焦って振り返った。そして…視界に写ったのはとんでもない光景だった。

そこには男が1人いた。緑髪の一部に黒メッシュがかかってて、俺よりも身長が高い…でも、そいつは下半身が半透明になっていて…膝下からは透けている状態だった。

間違いない…こいつは幽霊だと直感で感じた。


❤️「ははははははッッッッドテン…ゆゆ、幽霊さんよぉ…お、俺は…おいしくないよぉ〜??」

?「ちょ、!?大丈夫?そんなキョドって…驚かせちゃったのかな?ごめんね……」

❤️「………ゆ、幽霊…なんだよ、な?」

?「う、うん……まぁ……ここに居る幽霊だね……君はなんでここに?」

❤️「……授業サボってたら、鼻歌が聞こえて…ここに来た…だけ」

?「ww……サボってるって堂々と言われると面白いなぁ……鼻歌は、多分俺がその花冠を作ってたときに歌ってたやつだね。」

❤️「そ、そうなんだな……」


最初めっちゃ焦ったけど……こいつ身長の割にめっちゃふわふわしてんな。しかも無害そう、焦って損したわ。


❤️「てかこれ、お前の?」

?「う、うん……作ったの」

❤️「いい花冠だぜこれ…」

?「ありがとニコ…(被る)…えへへ」

❤️「……可愛い」

?「でしょ!?この花冠自信作だから!」

❤️「(あーいやそういうことじゃない)」


何かこいつ……可愛いな。花に無邪気というか…なんというか……癒し?さっきの嫌な感情が飛ぶわ


?「もう1個作ろう………折角なら君に合う花冠を!」

❤️「えっ?俺??」

?「うん!好きな花とか…好きな色とかあれば組み込むよ?」

❤️「いやおまかせでいいよ」

?「分かった、ちょっと待っててね」


そう言うと幽霊は慣れた手付きで作っていく。こんな早く作れるのかっていうぐらい早い、まじで何回も作ってんだな。


❤️「ていうか……幽霊って花触れるんだな」

?「…それは、ここが俺の特別な場所だから」

❤️「…というと?」

?「…この花畑は、俺のパワースポットなんだよね」

❤️「パワースポット?」

?「まぁ、簡単に言うと………俺みたいな地縛霊が精神を安定して過ごせる場所…幽霊、特に地縛霊は何かの思いで成仏できてない分、精神が安定してないと悪霊になってしまうんだよね。」

❤️「………てことは、ここはお前にとっての精神が安定する特別な場所ってことか」

?「うん……まぁ俺は夜になれば学校中歩き回れるけど…それでもここが1番なんだよね」

❤️「ほぉーん……」

?「そんなパワースポットだから……俺は花畑のものだけ触れると思う」

❤️「……地縛霊、か」

?「怖い?俺が…」

❤️「いや怖くねぇよ……ただ、お前も何かの思いでとどまってるんだな」

?「………生前の記憶なんてあんまり覚えてないから、何の思いでとどまっているのかすら分からないんだけどねw…ほらできたよ!」


暗い話しを打ち破るように笑顔で花冠を見せてきた。赤色の花がふんだんに使われて、緑の茎にとても合っている。


❤️「ガシッッ…(被る)…俺の頭のサイズにピッタリだな」

?「さっきの花冠被ろうとしてたなら、そのくらいのサイズ作ればいいかなって!」

❤️「ほぉすご…ありがと…スッ…!!!」


この幽霊の肩を軽く叩こうとすると、身体が透けて空振ってしまった。


?「…だから言ったでしょ?花畑のものしか触れないってさ…透けるんだよ」

❤️「………」


2人だけで過ごしたこの時間はとても有意義なものだ。だからこそ、こいつが幽霊ってことを忘れてしまうぐらい楽しかったんだろうな。

幽霊と人間の境界線が全てを歪ませてきてるのか……


?「……そろそろ授業終わるんじゃないかな。戻ったら?心配しちゃうよ。」

❤️「……戻る前に最後、お前の名前教えてくれ」

?「名前?……俺は……」


💚「すちだよ」

❤️「俺は……暇72と書いて暇なつ」

💚「暇ななじゅうに………???」

❤️「分かりにくいなら、何か好きな呼び方でいいよ」

💚「分かった…ならひまちゃん!」

❤️「ん、……なぁすち」

💚「ん?」

❤️「……俺、何か分かんないけど…お前のこと気に入ったから…これからもここに来ていいか?」

💚「!!………逆にいいの?」

❤️「俺が行きたいって言ってんのに、駄目なわけねぇだろ」

💚「ここ、本当につまらないよ?」

❤️「すちはつまらなくないから大丈夫」

💚「……なら………来てほしい……な」

❤️「!…おっしゃ、ならまたここに来るわ!!!」

💚「…うん、俺も嬉しい!」

❤️「あ、あと………(赤い花冠を取る)」

💚「?…取っちゃうの?」

❤️「実は試したいことがあってな……ホイ」


そう言うって俺はすちの頭に赤い花冠を力強く押し付ける。すちは俺の上からの力に押されて少し屈む。


💚「ッッむぅ……ひまちゃん何をして…」

❤️「はは、やっぱり予想通りだったな…」

💚「…?…ひまちゃん」

❤️「すち?疑問持たねぇのか?」

💚「疑問?」

❤️「……幽霊は実態がないのに何で人間である俺からの力を感じたんだろうな」

💚「!!!!!!」

❤️「…おそらく、すちにとってパワースポットである花を通じれば…俺らも触れるんだな」


簡単な話だ。幽霊と人間の境界線が問題なら…その間を中和すればいい。…中和できるものは多分この花が1番適任だろうな。パワースポットだから。


❤️「どう?触られた感覚??」

💚「………分かんないや」

❤️「そっか、まぁそれは慣れればいいだけだから!んじゃまた来るわ!!タッタッタッタッ」

💚「………ひまちゃん………あれ、何だろうこの感覚。………」


💚「………この感情は?」













そっから俺は……暇があれば花畑に行って、すちと会うようにした。

すちは朝や昼だとよく晴れた日しか現れない。ただの晴れや曇り、雨などで現れないのは、多分、花畑は校舎裏だから濃い影が必要なんだろうな。

だから、会えなくて寂しいときがたくさんあったけど…それでも会えたときは心の底から喜んだ。


本当にすちは可愛い。少しからかえばすぐに照れて、プイッと顔をそらす。花冠ができたら触れれること理由に俺に被せてくれる、だからお返しに俺からの不器用花冠をあげたら大喜びしてくれた。

すちは楽しそうに俺の話を聞いてくれる。どんな愚痴も嫌な顔1つせず真剣に受け止めてくれる。

それがとても嬉しかった。俺が欲してたものだ……他の奴らなんかいらない。すち1人で十分だ。だってすちが俺を癒して満たしてくれるから。

あー……すちが同級生だったらどれほど学校が楽しくなるのかな。100倍じゃ物足りねぇな。

でも……地縛霊であることは変わらない。いつか別れのときが来る。………けど、それまでは……さ?




お前を好きでいて………いいだろ?













〈💚side〉

💚「今日も……来てくれるかなぁ?」


俺はすち。何年前かは分からないけど…気づいたらこの学校にいた地縛霊だ。

地縛霊なこともあり…陽の光を浴びれないことや、花畑以外だと長時間いれなかったりなど不便な点が多い。しかも、何故か未練があって成仏できないらしい。

俺の未練は何なんだろうな…正直生前の記憶なんて本当になくて…多分一生ここにいるんだろうなって思ってる。

別に嫌じゃないさ…でも花畑1人は寂しいと感じていたんだ。


でも!最近毎日がとっても楽しいの!それは………


❤️「テクテクテクテク…すちぃ〜」

💚「!!ひまちゃん…テクテク…学校お疲れ様!」

❤️「ありがと、ちょっと遅れて悪いな」

💚「んん、来てくれるだけで嬉しいから!」

❤️「!……そっかニコ」


この人が会いに来てくれるから!!

この人はひまちゃん!最近知り合ったこの学校の生徒さん!とても優しいけど、いじってきたりして意地悪な性格をしている。

彼は俺と違って人間であり、あまり活動できない俺のためにわざわざこの場所に足を運んできてくれる。


❤️「なぁ…今日あった話し……していいか?」

💚「うん!全然いいよ」

❤️「まじで……あのクソじじぃがさぁ!!」

💚「クソじじぃ……前に言ってたあの先生」

❤️「そうそいつ…まじで、めんどい!!」

💚「何があったの?」

❤️「あいつさぁ〜………」

💚「うんうん」


❤️「……はぁ……言ったらスッキリしたわ…ありがと」

💚「役に立てたならよかった。」

❤️「あ、あとさぁ……ほい(スマホで写真を見せる)」

💚「!!…か、可愛い✨✨」

❤️「これピケモンのレジブリザードっていうやつ。すち好きそうだなって思って……」

💚「…この子めっちゃ可愛い✨」

❤️「まぁ空想のキャラクターだからいないんだけどなぁ」

💚「見れるだけで嬉しい……うわぁ✨✨」

❤️「w……めっちゃはしゃいでる」

💚「そりゃはしゃいじゃうよ…俺にとっては全てが初めてだからね」

❤️「そうかwww」

💚「……そういえば、ひまちゃんもうすぐ卒業だね」

❤️「……………うん」

💚「いやぁ寂しくなっちゃうなぁ、でもひまちゃんはこれから新たな道へ歩まないとだしね」

❤️「………卒業したくないなぁボソッ」

💚「ん?どうしたの?」

❤️「いや、何もないよ……」

💚「…この時期になると、桜が咲く時期だよね」

❤️「そうだな……ここの学校の桜、めっちゃ綺麗」

💚「……俺見たことないんだよね…」

❤️「そうなん?」

💚「うん…校舎裏だから桜が見えないし、それどころか花びらすら来ないから」

❤️「……分かった!」

💚「…?」

❤️「卒業の日になったら…動画撮ってくるから一緒に見ようぜ!」

💚「!!………いいの?」

❤️「おう、まぁ実物は見れないけどな」

💚「……すっごく嬉しい、ありがとうニコ」

❤️「……ん///」


ひまちゃんのする話しは本当に全て楽しかった。

俺にはもったいないぐらいたくさん話してくれて、知らない世界を見せてくれた。毎日が色付いてった。

優しい君に甘えて俺は何度もお願いをしたけど…全て叶えてきてくれた。

もちろんそれ以外も楽しかったよ!花冠を作ったらね、ひまちゃんはいつも笑顔を見せてくれる。…1回ひまちゃんが俺に花冠を作ってきてくれたことがあって、とっても嬉しかった。


それにね、隣に座って一緒に過ごしていると、変な感情になる。分からないけどすっごく温かくて、きっと悪いものではないと思う……この正体は何なんだろうな。

でも………冷たかった身体が今温かいのは、コレのおかげなんだろうな。


あぁ……永遠に君といたいなぁ………





❤️「……………すち?」

💚「!!!…あ、ぁどうしたの?」

❤️「こっちのセリフ…ボーっとしてた大丈夫?」

💚「あ、いや!……何でもないよ!!」

❤️「……そっか…何かあったら言えよ?」

💚「うん!……………」


……何を思ってるんだろう。

ただの地縛霊ごときがこんなこと思ってさ。人間と幽霊は…全然違うんだから。

こんなこと願ったら駄目なんだよ。


💚「そんなことよりもひまちゃん。俺、もっとひまちゃんの話しを聞きた((」






生意気何だよ!この野郎が!!


💚「……え?」

❤️「…ッッ……すち、あんなの聞かなくていいよ」

💚「……ねぇ、この声何?」

❤️「………よく起こってるんだよ…いじめが」

💚「…!…いじ、……め?」

❤️「この時期はストレスが溜まりやすい奴が多いからな、弱い奴を見つけていじめることが多々ある。」

💚「………いじ…め、いじめ……ッッ」

❤️「それ以外にも…留年や浪人も増えるせいで、逆恨みしていじめるやつもいるんだよ……」

💚「………ハァ、ハァ……」






お前まじで消えてしまえ!!


存在がいらない


💚「ハァ…ハァ………ガハッ」

❤️「……すち?」


ははっ!綺麗な痣!!


調子のんなよ!まじで!!


💚「ハァハァ…バタッッ…ヒューヒュー」

❤️「お、おい!!すち!!💦」


何………これ………苦しッッ頭が……痛い……割れそう

何かを……思いだッッしそ、……いや…これ、きらッッい、……。


助け………ひま……ちゃッッ………___


❤️「すち!!!!!」

























〈❤️side〉

あの日からすちは花畑に現れなくなった。

快晴の日も花畑にはいなくて、すちがずっと大事に取っておいてくれた俺が作った花冠だけが置かれていた。

すちに会いたくて、花畑に何度も行った。

そこで愚痴の話しや最近あった出来事、前にすちが興味をもったものなどを写真付きで話したりした………でも、すちは現れなかった。ずっっと1人だった。


❤️「……なぁ……お前がいないと、また毎日が嫌になるんだよ。ポロポロ」


頬を伝う涙はしばらく勢いが止まらなかった。

…………何が駄目だったの?

なにか1つでも違ったら、きっとこんな結末はなかったんだろうな。そのたった1つの行為すら俺は気付けずに、失ってしまったんだ。


ああ……心が壊れていく感覚がする。

満たしてたものが抜けていく、癒やしてた精神が乱れていく、楽しかった毎日がつまらないものへと変わる。…俺はここまで依存してたんだな。

すちの存在が支えになってたことを、何今さら自覚してんだよッッ!……何で今なんだよッッ!!!


❤️「ギュ…………会いたい…」


花冠をもつと不思議とすちとの思い出が蘇る。そのせいなのだろうか……

壊れた心から漏れ出す「会いたい」という我儘……

気持ちが染まる。足が動く。感情より先に本能へ………。







❤️「テクテクテクテク…ガチャ……屋上、初めてきたな」


時刻は夜。俺は学校の屋上まで来ていた。

月明かりが屋上全体を照らしている、もちろん俺も照らされていて、できている真っ黒な影を見ているともっと気持ちが沈む……


❤️「テクテク…テクテク…ガシャン」


屋上は思ってたよりも響いて俺の足音1つ1つが波紋のように広がる。そして、フェンスを跨いで足を止める…この下は、すちと過ごしたあの花畑が広がっている。

今俺の前には何の障害物もない。このまま前に身体を倒せば自由落下するだろうな。

………今の俺はそれを望んでいるからなのか不思議と恐怖はなかった。…他の人からしたら幽霊のために命を捧げる行為はあたおかなんだろう。でも、それほど今の俺は限界なんだよ。


❤️「きっと……俺も幽霊になれば、また会えるよな………そうだよな」


❤️「………今、そっち行くから…待ってろ」


これで……俺はまた………


「ひまちゃん!!!!」


❤️「!!…チラッ」


💚「危ないよ!!…こっち……来て?…」

❤️「……すち、だよ…な?……」

💚「うん……俺はすちだよ!」

❤️「ッッ…タッタッタッタッ!馬鹿!!心配したんだぞ!」

💚「ごめんね…ひまちゃん……心配かけて…」

❤️「本当に……そうだよッッ」

💚「ッッ…(そんな辛そうな顔して)……本当にごめん…」

❤️「いいよ……これからはまた居れるんだからな」

💚「……居れる………か」

❤️「すち?」

💚「…ひまちゃん」

❤️「ん?」

💚「……”俺達がこうやって話せるのも、もう最後なの”」


❤️「…………は?何言って……」

💚「…俺、実は倒れてから生前の記憶を思い出したんだ。」

❤️「!……そう……なのか?」

💚「うん……それで、分かったの…俺の生前が…」


その言葉の後に、すちの服がどんどん変わっていく。いつもの黒いパーカーから……制服へと変わっていく。


❤️「その……制服って……」

💚「………この制服は、ここの高校の3年生の制服だよ…」

❤️「何ですちが……その制服を着てるんだ?」

💚「………それは、俺の生前はここの高校の3年生だったから」

❤️「………!」

💚「……ねぇひまちゃん…聞いてくれる?」


俺の思い出した…生前の記憶を……。



〈💚side〉

俺はいつの年かこの高校へ転入してきた。

その時は俺も3年生、進路を決める大事な年に転入はとても怖かったけど…温かく向かえてくれて少し安心した。


生前💚「ガラガラ………」

生徒a「おっ?君見ないけど…転入生?」

生前💚「あ…うん、転入して…きて」

生徒b「へぇ〜!名前は?」

生前💚「えっと……すち」

生徒c「すちかぁ…いい名前、よろしくね!!」

生前💚「!……よろしくニコ」


クラスのみんなも俺に温かくてすごく居心地が良かった。そして…学校生活ではみんな俺と対等に接してくれて、嬉しかった。

テストとかでもね、みんな俺に頼ってきてくれて…自然と笑顔が漏れ出すくらい楽しかった。


でも……そんな楽しい日常は長くは続かなかった。



生前💚「テクテク…おいしょ、これを事務室に……」

?「ガシッッ!」

生前💚「うぇ!?…(連れてかれる!?)」


?「バン!!」

生前💚「ウグッ……(壁にぶつけられる)…痛い」

?「ナイスー」

?「ガシッッ」

生前💚「ビクッ……」

?「転入生ごときが……調子のんなよドコッ」

生前💚「ッッあ…や、やめ…」

?「終わるわけねぇだろ…ボコッ!!!」

?「リンチだよぉ〜んw」


俺はある日同級生の男たちに目をつけられた。理由は…何かわからないけど、多分調子のんなって言ってたから…転入生の俺が馴染めてるのが気に食わなかったんだと思う。

そこから……知らない部屋に連れてかれて、暴力を受けた。

……何でこんないじめを受けているのか分からない。だって、この人たちの存在すら転入してきたばかりなんだから知らないんだよ?なのに……勝手に恨まれて…本当に理不尽極まりない。

でも、明日になれば全てまた元通りになると思ってた。


生前💚「ガラガラ…おはよみんな」

生徒a「……あ、なぁお前〜昨日見た?あのアニメ」

生徒b「あー見たまじ面白かったよなぁ」

生前💚「えっ?……お、おはッッ!!((」

生徒c「お前らそこでたむろんな!wこっち来いよ!」

生徒a「すまんすまん…w」

生徒b「そっちで話すかw……テクテク…」

生前💚「……み、…んな?」

先生「……ガラガラ」

生前💚「あ、先生!!おはようございます!…実は……」

先生「おいwもうチャイム近いぞ!席につけ!!」

生徒たち『は〜い!!!』

生前💚「…………(何で?……なに、これ?)」

先生「……おい、早く座れ」

生前💚「あ、……………はい……チョコン」


けど違った。逆だった。全てが崩れてしまった。

温かった先生も生徒も揃って俺を除け者にした。どっかから聞こえた話だけど…みんな圧力をかけられて、無視というか関わること自体をやめさせるような動きを強制されてたらしい。


?「バキッ!!」

生前💚「ッッ!?がぁッッ!!…ポロポロ」

?「あーごめん、w」

生前💚「今…わざ、と…ポロポロ」

?「あ?…ガシッッ」

生前💚「ウグッ…あ”…」

?「俺が悪いのか?違うだろ?トロいお前が全て悪いだろ?…な?バン!!(地面に叩きつけられる)」

生前💚「!?ゲホッゴホッ!!カヒューハァッ…ポロポロ」

『……クスクスクスクス』

生前💚「…………ッッタッタッタッタッ」


生前💚「……タッタッタッタッ……もう、いや……ポロポロ」


本当に何もかもが嫌だった。逃げ出したい……こんな事になってしまった学校から逃げたかった。


生前💚「…ガン、あ!バタッ(躓き倒れる)」


生前💚「………あれ?花畑…」


そこで出会ったのが、この花畑だった。


生前💚「きれいな花たち……とっても静かで良い場所だな。」


綺麗な花畑は少しだけ俺の心を癒やした。しかもこの場所は校舎裏なだけあって、誰も来ない……俺はそれを利用していじめられかけたときにいつもここに逃げてきた。

だから結構ここに入り浸ることが多かった。その時は暇だったから1人で色々なことをして…すごく楽しかった。

少なくとも学校生活よりかは楽しかったし、嫌な記憶も忘れちゃいそうになるぐらい熱中できた。


でも神様は意地悪だ、俺の楽しい日常をすぐに奪うんだから。


?「……やっと見つけた」

生前💚「!?…何でここが」

?「ガシッッ(拘束)」

生前💚「やだッッ離して…!!!」

?「うっせぇぞ!!ドカッ!!」

生前💚「……!…ゲホッ」

?「どんだけお預けしたと思ってんだ?」

?「俺らはストレス溜まりまくってんの」

?「逃げんなよぉ〜まぁ逃げれないだろうけどなw」

生前💚「嫌………嫌だッッ……もうポロポロ…助けて…」

?「まだわかんねぇのか?w」


…お前にもう味方は居ないんだよ


生前💚「!!…………」


…そうか、そうだったのか。俺はみんなしょうがなく助けてないと思ってたけど…違うんだ。

みんな俺を見捨てたんだ。都合の良いいじめっ子隠れ蓑があることをいいことに、後方から嘲笑って、助ける意識よりも…可哀想って心よりも…俺を見て笑ってたい心が勝ってしまって、俺との友情を簡単に切り捨てたんだ。

あぁ……そうだったんだ。


だ〜れも俺のことを思ってくれる人なんて居なかったんだね。


そう思った後は…なんの痛みも感じなくなってしまって数時間リンチにされた。

あいつらが去っても、身体は動かなくて…手1本動かない。………


それのぼやけた視点には…たった1輪のマリーゴールドが咲いていた。



生前💚「……………あぁ……こんな世の中に………生きる意味なんて………ないよな………」


生前💚「………そうだよね」


血が滴る自分の身体を無理やり起こして、屋上まで歩く。夜でとっても暗い学校は…俺の大量の血痕すら暗闇に消えてった。

屋上のドアを開けると、風が一気に俺に押しかけてきて…まるで、俺を助けようとしているみたいだった。でも……そんなので止まるほど俺は生ぬるい判断はしないからさ。もちろん足は止まらなかった。…………

フェンスを跨ぐ。下に映る花畑はとてもちっさくて儚く感じてしまう。


生前💚「……フラフラ…ッッもう、そろそろ…だね」


立ってるこの足も、もうそろそろ限界みたいだね。フェンスの向こうに戻ることも無理そう。…まぁ…元から覚悟は決まってるけど……


生前💚「………これが最後か……ッッ」


……あぁ…もし1人でも俺を助けようと思ってくれてたなら、きっとこの結末は変わってたのに。

………結局絶望に染まってしまったんだな。


生前💚「……さようなら、この世界…」


次は………愛される人がいいな…。


グシャッッ!!!!!!!………………



💚「…………これが俺が思い出したことだよ…」

❤️「ッッ………そんな、……ことがッッ」

💚「……俺はこの学校でいじめられて、最終的に追い詰められて、自害を選んだ。…とっても苦しかったよ……でもひまちゃんは、いじめなんか一切受けてないみたいで安心した。」

❤️「俺のことはどうでもいい!……今は、すちが心配だ………そんな記憶を思い出したら…ッッ」

💚「うん……頭が割れそうなほど痛かったよ。それに………精神がどんどん安定しなくなってるんだ」

❤️「安定………しない?」

💚「この記憶を思い出してから、憎悪が増して……精神が安定しないの……」

❤️「!!」

💚「……このまま安定しなかったら悪霊になっちゃう………」

❤️「………ど、どうすれば良いんだよ…それ」

💚「…………悪霊になる前に成仏、しかないね」

❤️「!!」

💚「でもただの成仏じゃない。完全な成仏。」

❤️「…完全な成仏って……なに?」

💚「地縛霊は未練さえをなくせば普通に成仏できるんだけどね……俺みたいになっちゃうと…もう魂ごと完全に消すしかないんだ。」

❤️「!!それってッッ!!」

💚「うん…消滅、ただの無に帰るだけ。輪廻転生すら起こらない…虚無だよ。」

❤️「………嘘…だろ?」

💚「嘘じゃない……もうこれしかないんだよ。悪霊になったら何をするのか分からない……もしかしたらひまちゃんに迷惑をかけるかもしれない…それは嫌なんだ。」

❤️「ッッ……」

💚「……だから、さ…今日俺はこの場所から消える。もうかなり俺は危ないから………」

❤️「……………」


まだ、現状把握できてなさそうだね…。

でも…こうやって話せる最後の瞬間を無駄にはしたくない。もう、残された時間も少ないしね。


💚「……最後は、いつもと違って……俺が話していいかな?ひまちゃん………」

❤️「………いいよ、好きなだけ話してッッ……」

💚「………ありがとう」


君は最後まで俺の我儘を聞いてくれるんだね……君の本当に優しいなぁ〜


💚「まずは…俺なんかに時間を割いてくれてありがとう。幽霊とかいう存在でも、ひまちゃんは楽しそうに俺と過ごしてくれて…それが嬉しかった。」


💚「ひまちゃんの話しは本当に楽しみで………内容とかももちろんなんだけど…それ以上にひまちゃんが楽しそうにしてくれるのが俺も見てて笑顔になれた」


💚「……本当は消えてしまうことが怖いの。怖くて怖くて仕方ないの……でも…不思議と2人で過ごした記憶を思い出すと、震えが止まるんだ。心が温かいんだ。」


💚「…それほど2人で過ごした日々が、俺にとって大切な思い出ってことなんだろうね。だから、……本当にありがとう、俺に勇気をくれてありがとう。おかげでこの決断ができたよ。」

❤️「……俺は………いなくなってほしくないよ…ッッ」

💚「……ひまちゃん」

❤️「まだ……話したい。まだ……隣にいたい。まだ………まだまだたくさん……ッッ」

💚「ひまちゃん!!」

❤️「!!」


君がそこまで俺を思ってくれたことは嬉しい。でも…それじゃいけない。ひまちゃんはもう前を向かなきゃ!



💚「実はね……俺、ひまちゃんが羨ましかったんだ」


💚「ひまちゃんは…周りの人たちが鬱陶しいって言ってたけど、逆にそれは凄く愛されている証拠で………俺はそんなの1ミリも受けてなかったからちょっと羨ましかった。」


💚「ひまちゃんの心境は生前の俺に似ている……逃げ出したい、関わりたくない、…毎日が嫌で嫌でしょうがない。」


💚「でも…根本的に何かが違う。それは………周りの人から向けられてる感情。」


💚「ひまちゃんは…たくさんの人に包まれて友情やら愛情が溢れている。対して俺は………あぁ言ってて悲しくなるなぁw」


💚「……んん” …ともかく!…俺が言いたいのは……」


もう、ここで言いたいことは言え…ひまちゃんは受け止めてくれるから………。


💚「ひまちゃん?」

❤️「………グスッ…なに?」

💚「俺はこれからいなくなるけど……それでも、ひまちゃんは…楽しい毎日が続くと思う。だから幸せになってほしい。だって……周りには助けてくれる人がいるでしょ?俺と違ってさ……」

❤️「………ッッ…馬鹿……俺の心を満たしてくれるのはお前だけなんだよ!逝かないでくれよ!!ポロポロ」


心を満たす…………か。


💚「……大丈夫、大丈夫だよ………ひまちゃんは俺なんかいらない。」


確かに心は身体と違ってそう簡単には強くならない。俺も弱かったから。でも君の心は強くなる。そう確信している………だって、恵まれているから。俺と違うから。



💚「……だからさ……」


💚「もう4のうなんて思わないで…俺と同じ結末を向かえないで……ポロポロ」

❤️「…何で…お前が泣いて…ポロポロ」

💚「……ひまちゃんは、生きて…幸せになってほしい。それが俺の…最後の願い。俺も生前叶えれなかった願いポロポロ」


💚「……ひまちゃんが、俺の思いを受け継いでよ。それが1番報われるから」

❤️「……うぅ…俺がッッ幸せ”になったら、まじで…喜べよ…ッッ!!ポロポロ」

💚「……はいはいw……」

❤️「……グスッ……うん”…ゴシゴシ……フゥ、うん…」

💚「ニコ…」


あぁ良かった。…これでひまちゃんは前に向ける。


💚「あ、そういえば…ガサゴソ…はい!」


俺はそう言って懐から赤薔薇を1つの取り出した。


❤️「これ……」

💚「実は前に花畑で1輪だけ咲いててね……ひまちゃんに花冠にしてあげたかったけど、無理そうだから…このままでごめんね……」

❤️「……いいのか?こんな……綺麗なもの」

💚「うん!……ひまちゃんにすごく似合ってるよ」

❤️「そっか………赤薔薇……」

💚「………ひとまず…言いたいことは全部言えた」

❤️「そっか……なら…今度はこっちが喋っていいか?」


ひまちゃんは俺の目を一直線に見つめてきた。鋭い視線にドキッとしたけど、どんどん優しいふにゃりとした視線に変わっていく。


❤️「……すち、俺は本当に助けられた。お前が思ってる以上に。出会った時から今まで、すちの存在は本当に大きかった。」


❤️「だからこそ寂しいし悲しい。………でもすちはこんな状況でも俺を考えてくれてさ……本当に情けないよ。俺は…」


❤️「俺達が出会ったのは完全な偶然だ。でも、そんな偶然がここまで大きくなって、もはや必然だったんじゃないかと思わせてくれるほど、お前との出会いは俺を変えた……」


❤️「俺はもう新たな舞台へ羽ばたく…けどな!」


そっからひまちゃんは力強く俺に言い放った。


❤️「俺はこれから絶対にすちのこと忘れないからな!」

💚「!!」

❤️「……そして、幸せになったときに…問いかけてやるよ。しっかり叶えたぞってなw」

💚「ポロポロ……何でそこまで……俺のことを…思って……グスッ」

❤️「何で……か、それは簡単なことだ…すち」


そういうとひまちゃんは、俺の渡した赤薔薇から1枚花弁を千切って俺の唇に被せた。


❤️「俺が……お前のことを愛しているからだよ」


そう言いひまちゃんは花弁越しにキスをした。赤い花弁を挟んで俺たちの唇は触れ合う。……とても恥ずかしく、時間がゆっくり感じる。でも不思議と嫌な思いは1つもせず、嬉しい感情が出てきた。それと同時に心がとても温かくなった。


❤️「………んっ………はは、めっちゃ照れてんじゃん」

💚「だ、だって…///うぅ…」

❤️「wwwwww…かーわい」

💚「い、いじわる………//」

❤️「……俺はもともとこういう性格だろ?」

💚「……そうでした!///……でも、」

❤️「……?」

💚「……嫌じゃなかったし…心が温かくなった」


前からの得体のしれない何か………ずっと正体が分からないままで……今回もそうだった。でも………今までで1番温かくなった。…本当になんだろうな…。


❤️「…………当たり前だろ?」

💚「えっ?」

❤️「……俺がすちを温めてあげたんだからさ」

💚「温めた?………」

❤️「…そう、眼には見えない。」


俺からの愛情でな!!


💚「!!!!」


その言葉を聞いてとても納得をしてしまった。そりゃ正体なんて知らないはずだ…俺は愛情なんてものどっかから忘れてしまったんだから。

あぁ………この落ち着く感覚は、全部ひまちゃんのおかげだったんだね。


💚「……あぁ………これだ…ひまちゃん、今、俺……」


世界で1番幸せ!!!!






❤️「!!………すち…お前…身体が透けて…」

💚「えっ?」


そう言われて身体を見ると、身体が光を放ちつつ少しずつ透けている。


❤️「なぁ……もう……終わりなのか………?」

💚「…………………違う」

❤️「えっ?」

💚「この成仏の仕方は……俺が想定してたのと違う……これは本来の地縛霊の成仏の仕方、思い残すことがなくなった霊が…天へ帰る成仏だよ。」

❤️「………じゃあ」

💚「俺は………魂が消えない。」

❤️「!!…でも………何が……未練で、いつ……」

💚「………ひまちゃんのおかげだ」

❤️「えっ?」

💚「きっと俺の未練は……誰かに愛してもらうこと、誰かに必要とされること。つまり……愛だったんだよ。」

❤️「……そういうことかよ」

💚「あぁ……本当に…ひまちゃんには助けられてるね」

❤️「それはこっちのセリフだっつーの」

💚「ははっ…じゃあ2人で支えてるってことにしよ」

❤️「ん、ならいい」

💚「ふふ…」

❤️「………本当に成仏するんだよな?」

💚「うん、でも………大丈夫…」


💚「絶対に見守っておくから!!近くで!!」

❤️「!!……ずっと隣にいろよ?」

💚「当たり前だよ!どんなときもいるから!」

❤️「ん、……その言葉が聞けて安心した。」

💚「……君と出会えて本当に良かった!ひまちゃんは…俺の大切な人だよ!!」

❤️「……俺も…ありがとう。…これからの人生見ててくれよ。」

💚「うん!!ずっと一緒!!!!」


そう言った頃には俺の身体も大分光を放ち、透けてきていた。


💚「……ひまちゃん?」

❤️「ん?」

💚「……俺も、ひまちゃんのこと大好きだよ!!」

❤️「!!!……あぁ…俺もだ」


最後は…不器用な伝え方になっちゃったけど……ひまちゃんに伝わったよね


💚「………じゃあね、ひまちゃん。本当にありがとう。ニコ」

❤️「……じゃあな、すちニコ」


あぁ……これが俺が求めてたもの “幸せ”なんだね

最高の贈り物をありがとう。………___



〈❤️side〉

大きな光がなくなって、屋上にはまた静寂が戻る。…そこには赤薔薇が1つ残っていた。


❤️「………すち、成仏できたよな…」


❤️「スゥ~……もう、ッッいいかな……」


❤️「ないッッ、ても……さッッポロポロ」


そこから俺はたくさん泣いた…でも、寂しくはなかったな。

だってすちは誓ってくれたから。

ずっと隣に居るってさ


卒業式の日…………

今日俺はこの学校を卒業する。なんだかんが本当に良い3年間だった。特に3年生の後半。

進路についてはしっかり周りの人と話して、自分の行きたい道を行くことにした。みんなしっかり話し合えばちゃんと聞いてくれて、ちょっと見直した。

そして……卒業式が終わって、俺は今桜の木の前に居る。


❤️「……満開の桜…いつ見ても綺麗だな…まぁ最後になるけど…」


そうつぶやいて俺はスマホで動画を回してた。動画にも綺麗な桜が写っているけど、やっぱりリアルのものには勝てないな。


❤️「………すちに見せる約束、破っちゃったな。」


❤️「けど……動画よりも、今ここで見る方が何千倍も綺麗だろ?すち?」


…………返事はいつまで経っても聞こえては来ない。でも、すちが喜んでる姿、はしゃいでる姿はとても身近に感じた。



❤️「チャラン……この赤薔薇ネックレス、俺にはもったいないほど素敵なものだな。」


俺があのあと、すちとキスをするときに使った赤薔薇の花弁は、押し花にしてネックレスを作った。これなら……忘れることも絶対にない我ながらいいアイデア。これはヘアピンに継ぐ俺の宝物だ。

こんなことをして、気持ち悪いとかおかしいとか思うやつも少なからずいるだろうな

でも俺にとっては何もおかしくない。大切な人との思い出を形に残してるだけだ。それが、赤薔薇なだけ………


❤️「まぁ……尖ってる方が俺達らしいしな。」


❤️「……一応花畑にも向かってみるか……テクテク…テクテク」



❤️「ザザッ……何も変わってないな…」


ただ…ちょっと花たちが元気なさそう、きっとすちがいないからなんだろうな。


❤️「…!…あれ………」


花畑の真ん中には花冠が置いてあった。でも、俺が最初に花畑に来たときとは違って、花冠が2つあった。赤色の冠と不格好な冠。


❤️「………花冠……こいつが俺を導いてくれたんだよな……バサッ」


被ってみると、サイズはやっぱり俺にぴったりだ。………あー懐かしい…こうやってた時に…後ろから……


❤️「(振り向く)………まぁいないよなw」


そう半笑い気味でつぶやくと……不思議にも俺はこんな声が聞こえた。



💚「もう俺は後ろにはいないよ…横だからね…!」

❤️「!!……ははっそうだったな………花畑……元気でな」


………歩いていく足は気づけば校門を出ていた。

これからは完全に自分なりの道へ進むだろう。きっと、辛いことはたくさんある。泣くこともある。

そんなとき…背中を預け合ったり、どんなときも慰めてくれるような…そんな仲間と出会えたら良いな……。

そして、見守っててくれ…………。
















































___数年後___

❤️「……あー配信…何しよ……」

💜「また悩んでんのかよw」

❤️「配信って………そんなアイデア沸かないだろ」

💜「沸かないなら雑談でいいだろ」

❤️「…………確かに、それあり」

💜「そうですかw」

❤️「ん…………じゃあ準備するかぁ〜」


現在俺は歌い手グループに所属して、同じ熱量を持った仲間たちと日々を共にしている。

ま〜じで、辛かった。正直めっちゃ病んでたけどそれを乗り越えてここまでこれている。俺のグループは最速で成長中の最強グループだ。


❤️「えっと……これでいいかポチッ…」


メンバーは俺含め5人。全員個性豊かで尖ってて陰キャで厨二病でイキってるクソガキグループだけど……俺はここが心地良い。


今は大分活動が落ち着いてきて、配信とか動画メインにしている。

で、今日は配信〜………やるのダルいけど、開始すれば楽しい(と錯覚しているかもしれない)。


❤️「えっと………適当にマシュマロ返すか……」


❤️「ーーーーーーー、はい次…えっと?」


❤️「【なつくん活動の中で1回も「好き」や「愛してる」を聞いたこと無いです……なので、ファンサで聞かせてください!】………か…」


❤️「残念だけどお前らに聞かせる価値なんかねぇよww」


❤️「ま、聞きたいならお前らが俺の1番を取りにくるんだな。はい次………」


❤️「……もうこんな時間か、終わるわ、じゃあなポチッ」


❤️「ふぅ…………グン」


椅子を少し倒すと、キランッ……と少しネックレスが輝いた気がする。

………「好き」なんて言葉、活動で一言も発したことないし……きっとこれからも発しないな。


だって………


❤️「俺はずっとお前のことを1番に愛し続けるから……」


そうだろ?………すち?


生暖かい風が吹き、カーテンを揺らす。

その風がこちらまで来て、俺の髪をユラユラと靡かせる……。

同時にネックレスも大きく動く。そして、気の所為かもしれないけど…

赤薔薇の花弁も少し揺れていた気がした。


_END_

Thank you for watching!!!


マリーゴールドー「絶望」

赤薔薇ー「愛情」「あなたを愛しています」

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コメント

22

ユーザー

感動しすぎて枕めっちゃぬれました。 1番好きです!

ユーザー

凄く切なくて心にグッときました。 神作品を書いてくれてありがとうございました。めちゃくちゃ泣きました(⁠ ⁠;⁠∀⁠;⁠)

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