地元駅を降りて、家路を歩く。
憧れの人と理想的なデートをしたのが、遥か昔のことのようだった。
感動したはずの映画も色褪せ、美味しかったはずのディナーも味を覚えていない。
(明日から、どんな顔して東郷先輩と会えばいいんだろう)
先輩は私が泣き止むまで待ち、改めてデートしようと笑顔で言い、途中の乗り換え駅まで送ってくれた。
それ以外の会話はなかったけれど、むしろそれが有り難かった。
「いつまで落ち込んでんの」
声に顔をあげると、マンション前の街灯の下に、高校生らしき男女がいた。
「わかってるけど、俺だって悔しくて……」
「ずっとそんな顔をしないの。アンタは部の中心なんだから、ツラくても笑顔でいなくちゃ」
「だけどよ」
「アタシが笑顔のアンタを見たいって言ってんの。アンタの笑顔はこっちまで元気になるし、だからみんな頼ってくるんでしょ」
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