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僕が君を意識したと同時に、君は既に彼を好きだった。
でも君が好きな彼は、僕が好きらしい。
君に貰ったネックレスは、三角の飾りが付いていて。まるで皮肉にも僕らの関係を表している様だった。
◻︎◻︎◻︎
嫌な予感がした。
事実に気づいたその日は、たまたま久しぶりに君の家で2人で飲んでいた。相変わらず酒が弱い君は、3本も缶を空け終わった頃にはべろべろだった。
「若井さん、飲み過ぎですよ〜!明日も昼からだけど仕事でしょ?」
ぐでぐでになっている若井は、突っ伏していたテーブルから顔を上げて唸った。
「だってぇ、聞いてよ涼ちゃん〜」
そういえば、今日の会は若井から誘ってくれたんだっけ。嬉しくなったのに、元貴つれなかったから飲み明かそう!と大量のお酒を用意してくれていたのを見て、やっぱり2番手かぁ、と思ってしまった。
「実はさー、相談があってね?」
ぽつりぽつりと語り出したそれは、嫌な予感がど真ん中で的中していた。
内容は元貴に好きな人が出来たようで。その惚気話がうざったいから控えさせたいというものだった。
でも、こんなのいくら鈍感でも分かりやす過ぎる。
これが愚痴に見立てた恋愛相談だということが。
1度そんな考えを持ってしまうと離れないもので、ずっと若井の話をうわの空で聞いてしまった。
「ってことなんだよ、聞いてる?」
はっとして若井の方に目を向けると、少し不安というか心配しているような表情だった。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてた。…飲みすぎたかな」
大丈夫?水飲む?と覗き込んでくれる顔がほんのり赤く可愛くて、思わずにやけそうになるのを堪える。
「大丈夫。それより、何の話だったっけ?」
「好きな人の特徴の話!写真は何故か見せてくれないんだよ〜。確か今ね…」
特徴は3つしか教えてくれないそうだ。
髪が結べるほどだが、長くは無い
身長は元貴より少し高い
歳も少し上
……といったところらしい。
少し違和感を覚えた。
「なんで回りくどいの?そんなに」
「さあ。多分俺も知ってる人だからバレたら恥ずかしいんじゃない?」
なるほど。元貴のことならありえる。僕には言わないということは僕の方が仲がいい人なのかな、でもそんな立場の人いたっけ、と2人で最近関わった人を思い浮かべてみたが、なかなかそれらしい人は居なかった。
「あ、思い出した」
誰か当てるのは諦めよう、となった直後だった。この瞬間から、何かが狂い始めた。
「その人金髪だって言ってたな」
まさかと思うが。じわじわと血の気が引いていく感覚に襲われた。
その瞬間、着信音が鳴り響く。
心臓が飛び跳ねた。急いでスマホを探す。画面に映る名前を見ると、またも五月蝿く心拍音が早まった。
「誰から?」
特に気にした様子もなく、のんびりと尋ねられた。が、言えるはずもなく仕事とだけ伝え離席する。
1つ息を吐き、覚悟を決めてボタンを押す。
「…も、もしもし?」
『あっ涼ちゃん!良かった、出てくれた〜。今日暇だよね?今からどっか飯行かない?』
ものすごく嫌な予感がした。
◻︎◻︎◻︎
全10話(予定)です!
ちなみに、涼ちゃんの髪型は長さがニューマル、髪色がハーモニーのライブの時のイメージです。
ということは…?
次も是非読んでいただけると嬉しいです。