テラーノベル
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■読まれる前の注意書き
・本作は「カントリーヒューマンズ(CountryHumans)」の二次創作(ファンフィクション)です。
・実際の歴史、国家、政治団体、宗教、および実在の人物とは一切関係ありません。
・かつて対立していた国々が、現代風の平和な世界線でひとつ屋根の下、あるいはご近所さんとして仲良く「ほのぼのとした日常」を送っているパラレルワールドを舞台にしています。
・キャラクターの口調や性格に独自の解釈(マイルド化)が含まれます。
・以上の点をご理解いただける方のみ、お進みください。
■第5話
題名:縁側の夕涼みと、未来への乾杯
ジャンル:日常・エモーショナルほのぼの
真夏の太陽がようやく西の空へと傾き、過ごしやすい涼しい風が吹き始めた、ある日の夕暮れ。
日帝の屋敷の広い縁側には、四人の姿があった。
「うわあ、見てよ! 空がすっごく綺麗なオレンジ色だよ!」
イタ王が縁側から身を乗り出し、茜色に染まる空を指差した。彼の浴衣姿は少し着崩れていたが、本人は全く気にする様子もなく、手にしたうちわをパタパタと仰いでいる。
「本当に綺麗ですね。夏のこの時間は、一日のうちで最も贅沢なひとときかもしれません」
藍色の浴衣を綺麗に着こなした日帝が、静かに湯呑みを傾ける。彼の隣では、これまた規格外の特大サイズの浴衣を着たソ連が、縁側に豪快に寝転がっていた。
「日本の夏は湿気が多くて敵わんが……こうして風が吹くと、悪くない。何より、この『ラムネ』という飲み物は面白いな」
ソ連がガラス瓶を振ると、中のビー玉がチリンと涼しげな音を立てる。彼はまるで子供のように、その音を楽しんでいた。
「静かにしろ、ソ連。ビー玉の音がうるさい。せっかくの涼が台無しだ」
縁側の端で、黒を基調としたシックな浴衣を律儀に着こなしたナチが、不機嫌そうに言った。しかし、彼の手元にあるグラスには、しっかりと氷とラムネが注がれている。
「ナチ、お前こそそんな端っこにいないで、こっちに来いよ! ほら、日帝が作ってくれたスイカもあるんだから!」
イタ王が、大きなガラス皿に盛られた真っ赤なスイカをナチの前に差し出した。ナチは少し躊躇ったが、イタ王の真っ直ぐな瞳に負け、一切れを手に取る。
シャクリ、と小気味良い音が響く。
「……甘いな。水分が多くて、火照った身体が冷やされるようだ。評価する」
「ふふ、ありがとうございます」
四人は並んで縁側に座り、スイカを食べ、ラムネを飲む。
遠くからは、チチチ……とヒグラシの鳴き声が聞こえてくる。空のオレンジ色は、次第に深い紫、そして群青色へと移り変わっていく。
かつて、彼らはそれぞれ異なる思想を持ち、異なる正義のために戦っていた。世界を血と炎で染め上げ、お互いを消し去ろうとしたことさえあった。
それが今、こうして日本の片田舎の縁側で、同じ夕焼けを見つめている。
「……なあ」
ソ連が、天井を見上げたまま、ぽつりと呟いた。
「私たちは、随分と遠いところまで来たものだな」
その言葉の意図を、その場にいる全員が瞬時に理解した。過去の重み、犯した過ち、失ったもの。それらは決して消えることはない。
しかし、ナチは静かにグラスを置き、遠い夜空を見つめながら言った。
「過去を振り返ることに、合理性はない。重要なのは、今この場所が……悪くない、ということだ」
「うん! 僕は今の生活が大好きだよ。みんなと一緒にご飯を食べて、笑っていられるのが、一番幸 せなんだ!」
イタ王が満面の笑みで二人の言葉を繋ぐ。
日帝は、三人の顔を一人一人見つめ、それから優しく微笑んだ。
「ええ。過去は変えられませんが、これから紡ぐ日常は、いくらでも温かいものにできます。私は、皆さんと過ごすこの何気ない毎日を、これからも守っていきたいと思っておりますよ」
ソ連がむっくりと起き上がり、手元のラムネ瓶を掲げた。
「よし、では。我が同志たちと、この退屈で、愛すべき平和な日々に――乾杯だ」
ナチがフンと鼻を鳴らしながらグラスを合わせる。イタ王が元気よく瓶をぶつけ、日帝が穏やかに湯呑みを添えた。
チリン、カラン。
ビー玉と氷の涼しげな音が、夜の帳が下りる静かな庭に響き渡る。
夜空には、ぽつり、ぽつりと一番星が輝き始めていた。彼らの進む未来を、優しく照らすかのように。
コメント
4件
わぁ♡♡♡されててコメント出来なかった😭ええ夜空の表現方法とかラムネが出てきたりスイカが出たり、夏を感じる!
第5話、読み終えたわ〜!縁側でスイカにラムネ、しかもかつての敵同士が並んで夕涼みしてる光景がもうじんわり沁みた。特にソ連の「遠いところまで来たな」って一言が、過去の重みと今の穏やかさの両方を感じさせてグッときた。最後の乾杯、ビー玉のチリンって音が夏の夜にぴったりで、めちゃくちゃ好きなシーン。この平和な空気をずっと続けてほしいなって思えたよ。執筆お疲れさま!