颯真といる時、福は変な心持ちになる。
むず痒いようなくすぐったいような、ほかほかと温かいようで、冷たくて吐きそうな心持ちになる。
可愛い、なんて、好き、だなんて、今までたくさん聞いてきた。
体だけの男も、よく福の容姿を褒めた。体だけの女も、よく福を好きと言った。
だから熱が込み上げて、また会いたくなるのだと言う。
その言葉を福はそうですか、で毎回かわせるのに、颯真の可愛い、好き、だけはうまくかわせず、受け止めてしまった。
心臓がバクバクしている。
心臓がまるで頭にあるみたいだ。
どうだろう。
ちゃんといつもの福でいられるだろうか。
もしかしたら、変にニヤけてしまっているかもしれない。
颯真が後ろで良かった。
もし、前にいたら、きっとまた可愛いだなんて愛おしそうな目で福を見つめることだろうから。
……もし、葛西の好意が福に向いたら、葛西は福に可愛いと、好きと言ってくれるだろうか。
熱の帯びた優しくやわらかな目で福を見つめてくれるだろうか。
ぎゅっと大きな手で抱きしめてくれるだろうか。
もし、そうだったらどれだけ嬉しいことだろう。
でも、現実はそうではない。
葛西にとって福は弟のような存在に相違ないからだ。
なら、妄想くらいいいだろう。
葛西の目元によく似た颯真に、葛西の影を投影させても。
コメント
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通知きて飛んじゃいました!!最近風邪で苦しかったんですけど羊右様の作品見たらもう全部どうでも良くなるので羊右様の作品最強ですね!!!!! 最初「え!?え!!?(歓喜)」ってなりましたけど、やっぱり福は創真の事を葛西の代わりとして見て無いってのが伝わってきて、上げて落とされた感じです!やっぱり羊右様の作品が今まで読んできた中で1番楽しいです💞