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(映像:ニュース風)
「今、社会は“更生”をエンタメ化しました。
犯罪歴?経歴の一部です!
さぁ、新しいヒーローの誕生です!」
カメラ回転、派手な爆発。
タイトルロゴ:《更生戦隊☆院卒ヴァニタス》
巨大スクリーンで“更生フェス202X”の宣伝。
市民たちは明るく拍手しているが、どこか目が死んでいる。
ステージ中央にレッド登場。スーツ姿、笑顔100点。
レッド:「皆さーん、元気ですかぁーっ!?」
(観客:うおおお!)
レッド:「今日配るのは、新しい“エナジー”です!名前は――」
(ドラムロール)
レッド:「“卒業粒(そつぎょうつぶ)”!!」
観客どよめく。
ブルー(インカム越し):「名前のセンス、壊滅的だな。効果は?」
レッド:「“善行欲”を増幅させる。配るだけで街がいい人になる。」
ブルー:「副作用は?」
レッド:「善意中毒。」
ブルー:「つまり狂うな。」
レッド:「そう、幸福の形だよ!」
観客が熱狂的に受け取り始める。
(背景でマスコット「リハビリくん」ダンス)
ブルーがタブレットでデータを見ている。
グリーンは無言でプロテインを飲み干す。ピンクは鏡を見ながらメイク中。イエローは何か爆発物っぽいガジェットを磨いている。
ブルー:「“卒業粒”の配布ログ、スポンサー企業“リビルド社”に直結してる。金の流れが臭い。」
イエロー:「でもほら、光るよ? カプセルの中で“再教育ナノマシン”が踊ってる!」
(ガジェットが爆発)
イエロー:「……再教育、完了☆」
ピンク:「ねぇ、私たちって本当に更生したの?」
グリーン:(無言で肩をすくめる)
レッド(ステージから戻ってきて):「更生なんて、やり続けることが大事なんだよ。“やめられない”って意味でね。」
ブルー:「皮肉の教科書かお前は。」
“卒業粒”を受け取った市民たちが、突然全員でゴミ拾いを始める。
しかし誰も笑っていない。笑顔の形だけが貼りついている。
通行人A:「ほら、拾って!笑って!拾って!」
通行人B:「笑顔、忘れてるよ……笑顔を!」
異様な空気。
通りを歩くレッドとブルー。
ブルー:「あーあ、やっぱり脳内快楽物質過剰だな。笑顔が義務化してる。」
レッド:「完璧な社会じゃないか。誰も悪くない。」
ブルー:「つまり地獄だ。」
ヴァニタス全員が政府庁舎でインタビューを受ける。
記者が質問攻め。
記者:「今回のプロジェクト、倫理的に問題があるのでは?」
レッド:「問題があるから価値があるんです!」
ピンク(微笑みながら):「私たち、ちゃんと更生してますよ。“バレないように”ね。」
(会場がどっと笑う)
イエロー:「善意を人工的に増やす装置の開発も順調です!」
ブルー:「止めろ。倫理委員会が倒れる。」
グリーン:「倒れた倫理は鍛え直せばいい。」
(全員うなずく)
レッドがひとり、自販機前で煙をくゆらせている(煙は“水蒸気型カフェインスティック”設定)。
そこへブルーがやってくる。
ブルー:「お前の狙いは何だ?“卒業粒”で何を見た?」
レッド:「更生って言葉を、信じてるやつの顔。あれが一番笑えるんだよ。」
ブルー:「……本当に笑ってるのは、お前だけだろ。」
レッド:「あぁ。だからヒーローなんだ。」
レッド、笑顔で去る。
街頭モニターにはニュース速報。
“更生戦隊ヴァニタス、国民幸福度ランキング1位を記録”
ブルーは小さくつぶやく。
ブルー:「幸福って、麻酔とどこが違うんだろうな。」
ナレーションとともに、メンバーの日常が映る。
イエロー:ガジェット爆発で天井が吹き飛ぶ。
ピンク:街角で人々を「抱きしめリハビリ」。過剰な愛で気絶者続出。
グリーン:ジムで殴打用サンドバッグに哲学書を貼る。
ブルー:データ解析中に「幸福とは何か」を検索してタブ閉じる。
レッド:夜景を見下ろして笑う。「次の更生、始めようか。」
「彼らは今日も更生を続ける。
狂気か、希望か。
正義の味方、それとも――スポンサーの味方?」