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kaede🍁
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おその★
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#❤️💙
みら

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目黒は静かに寝室のドアを閉めた。
熱で眠ってしまった阿部を起こさないように、足音を忍ばせながらキッチンへ向かう。
冷蔵庫を開ける。
卵。
ヨーグルト。
スポーツドリンク。
思っていたよりは食材が入っていて、少しだけ安心した。
「……お米。」
戸棚を開けると、小さな米びつが見つかった。
「よかった。」
炊飯器を開け、お米を研ぐ。
水を少し多めに入れ、お粥モードに設定する。
ピッ。
静かな電子音が部屋へ響いた。
「これで起きた時には食べられるかな。」
目黒は小さく息をつく。
本当なら。
玄関まで送って帰るつもりだった。
それで終わりのはずだった。
でも。
玄関で倒れる阿部を見てしまった今、そんな選択肢は消えていた。
(今日は帰れない。)
勝手に家へ上がってしまったことは申し訳ない。
けれど、この状態で一人にはできない。
(明日、病院に連れて行こう。)
そう考えながらリビングへ戻る。
ふと、ソファの前のローテーブルへ目が留まった。
一冊の本。
落ち着いた色合いの、おしゃれな装丁だった。
小説だろうか。
片付けようと手に取る。
その時だった。
ページの間から、しおりがひらりと落ちた。
「あ……。」
反射的に開いてしまう。
そこには印刷された文字ではなく、手書きの文章が並んでいた。
(日記……。)
本の形をした日記帳だった。
目黒は慌てて閉じようとする。
「……ごめん。」
人の日記を見るなんて最低だ。
そう思った。
けれど。
開いたページの一番上に、自分の名前が見えた。
『今日はめめが――』
その四文字に、手が止まる。
見るつもりなんてなかった。
でも。
どうしても目が離せなかった。
ページを閉じることもできない。
震える指で、そっと読み進める。
『今日、新しく加入した三人と仕事だった。』
『目黒は本当によく笑う。』
『緊張してるのが分かるから、少しでも安心してくれたらいいな。』
目黒は思わず息を止めた。
加入したばかりの頃。
阿部も、自分たちのことを見ていてくれた。
さらにページをめくる。
『今日は目黒とご飯へ行った。』
『すごく楽しそうに話してくれて嬉しかった。』
『年下なのに気を遣わせちゃったかな。』
また別の日。
『目黒は今日も隣へ来た。』
『偶然かな。』
『それとも癖なのかな。』
その文章に、思わず苦笑する。
(偶然じゃないよ。)
(全部、わざとだった。)
ページをめくる手が止まらない。
どのページにも。
『目黒が。』
『今日も目黒が。』
『目黒と話した。』
『目黒が笑ってた。』
気付けば。
日記には、自分のことばかり書かれていた。
仕事で頑張っていたこと。
落ち込んでいた日のこと。
褒められて嬉しかったこと。
体調を崩して心配したこと。
どれも。
阿部はちゃんと見ていた。
そして。
少し先の日付。
目黒が告白する少し前のページで、指が止まる。
『最近、目黒がよく「好き」って言う。』
『きっと本気なんだと思う。』
『気付かないふりをしてる自分が、一番ずるい。』
その一文を読んだ瞬間。
視界がぼやけた。
『本当は嬉しい。』
『でも、応えちゃいけない。』
『男同士だから。』
『グループだから。』
『目黒の未来を壊したくない。』
『だから今日も、何も知らないふりをした。』
ぽたり。
ページへ涙が落ちる。
目黒は慌てて袖で拭った。
『本当は。』
『俺も、めめが好き。』
『でも、この気持ちは絶対に言えない。』
それ以上、読めなかった。
日記を閉じる。
胸が苦しい。
あの日。
「どうだろうね。」
そう誤魔化した理由が、全部ここに書いてあった。
嫌われていたわけじゃない。
迷惑だと思われていたわけでもない。
ずっと。
阿部も同じ気持ちを抱えたまま、一人で耐えていた。
目黒は両手で顔を覆う。
涙が止まらなかった。
「あべちゃん……。」
こんなにも好きでいてくれたのに。
こんなにも苦しませてしまっていたのに。
その時。
寝室の方から、小さく苦しそうな咳が聞こえた。
目黒は慌てて涙を拭き、そっと日記を元あった場所へ戻す。
見てしまったことは、きっと謝らなければいけない。
でも今は、それよりも。
熱で苦しんでいる阿部のそばにいたかった。
目黒は静かに寝室のドアを開け、もう一度、大切な人の隣へ戻っていった。
コメント
1件
うわあ…胸がぎゅっとなりました。日記を通じて阿部さんの本心が明らかになる展開、本当に丁寧に描かれていて引き込まれました。「どうだろうね」の裏にこんなに深い想いがあったなんて。目黒くんが涙を拭って日記を戻すところ、切なすぎます。でも、お粥を作って隣に戻る優しさが二人をつなぐ希望に見えました。続きが気になります!