テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
車は静かに走り続ける。
街灯の光が、一定のリズムで車内を照らしては消えていく。
〇〇は完全に眠っている。
北斗の肩に頭を預けたまま、規則的な呼吸を繰り返している。
少しだけ揺れる体。
無防備なまま。
北斗は前を見たまま動かない。
廉は窓の外を見ている。
しばらく、誰も何も言わない時間が続く。
エンジン音だけが小さく響く。
その中で、北斗がふと口を開く。
北斗「…まだ?」
低い声。
短く。
廉が少しだけ視線を動かす。
廉「なにが」
北斗「気にしてんの」
はっきり言う。
遠回しじゃなく。
そのまま。
廉は一瞬だけ黙る。
外を見たまま。
すぐには答えない。
数秒の間。
北斗は何も言わない。
ただ待つ。
廉が小さく息を吐く。
廉「…まあな」
短く返す。
廉「別れてから、時間は経ったけど」
少しだけ言葉を選ぶ。
廉「全部スッキリ、ってわけでもない」
正直に。
北斗は表情を変えない。
北斗「ふーん」
それだけ。
廉が少しだけ笑う。
廉「なんやねんその反応」
北斗「別に」
視線は前のまま。
北斗「まだ引きずってんのかと思っただけ」
廉が少しだけ眉を動かす。
廉「引きずってるように見える?」
北斗「見える時もある」
はっきり言う。
廉は少しだけ黙る。
そのまま〇〇の方を一瞬だけ見る。
眠ったまま。
何も知らない顔。
廉「…そっちこそ」
静かに返す。
北斗がわずかに視線を動かす。
廉「なんも思ってへんわけないやろ」
北斗は答えない。
数秒。
沈黙。
車はそのまま走る。
廉が小さく笑う。
廉「わかりやすいで」
北斗「は?」
廉「さっきからずっと」
少しだけ顎で示す。
〇〇の方。
廉「離してへんやん」
北斗は一瞬だけ、肩にある重みを意識する。
〇〇の頭。
自分の肩に預けられている感触。
北斗「…寝てるだけだろ」
低く言う。
廉「せやな」
あっさり返す。
でも、少しだけ間を置いて。
廉「それだけで済ませるには、ちょっと優しすぎるけどな」
北斗は何も言わない。
視線は前のまま。
でも、ほんの少しだけ指先に力が入る。
〇〇が揺れないように、軽く支える。
廉はそれを見て、何も言わない。
また外を見る。
街灯の光が流れていく。
廉「…まあ」
ぽつりと。
廉「俺も人のこと言えへんけど」
北斗は反応しない。
廉「完全に終わったとは、思ってへん」
小さく言う。
その言葉は、独り言みたいに落ちる。
北斗の視線が一瞬だけ動く。
でもすぐ戻る。
北斗「そう」
それだけ。
短く。
それ以上は聞かない。
車内はまた静かになる。
〇〇の寝息だけが、小さく聞こえる。
同じ場所にいるのに。
同じ人を見ているのに。
二人の距離は、はっきりと違っていた。
車は静かに走り続ける。
街灯の光が、一定のリズムで流れていく。
〇〇は北斗の肩に頭を預けたまま、完全に眠っている。
小さく揺れる呼吸。
力の抜けた体。
廉は窓の外を見ている。
北斗は前を向いたまま。
お互い、何も言わない時間が続く。
その時。
〇〇が小さく動く。
〇〇「ん…」
かすれた声。
北斗がわずかに視線を落とす。
〇〇「ほくと…」
名前を呼ぶ。
ぼんやりしたまま。
北斗「…なに」
低く返す。
〇〇は目を閉じたまま。
言葉を探すように、少し間をあける。
〇〇「れんのことさ…」
ぽつりと。
空気が変わる。
廉の視線が、ほんの一瞬だけ動く。
北斗は何も言わない。
ただ、続きを待つ。
〇〇「別れてから…結構経ったじゃん」
ゆっくり。
〇〇「もう大丈夫って思ってたのにさ」
少しだけ眉を寄せる。
〇〇「なんか…たまに、変な感じになる」
言葉がうまくまとまっていない。
それでも、止まらない。
〇〇「前向いてるし、ちゃんと仕事もしてるし…」
〇〇「戻りたいとかじゃないのに」
小さく息を吐く。
〇〇「どっかに…残ってる感じがして」
静かに。
〇〇「なんなんだろうね、これ」
タクシーの中に、その声だけが残る。
廉は何も言わない。
窓の外を見たまま。
北斗は一瞬だけ目を閉じる。
北斗「…そりゃそうだろ」
低く、短く。
〇〇「んー…」
納得してるのか、してないのか。
曖昧な返事。
〇〇「ちゃんと終わったはずなんだけどなぁ…」
少しだけ、北斗の方に体を寄せる。
〇〇「難しいね、恋愛って」
ぽつり。
北斗は視線を前に戻す。
北斗「お前が考えすぎなだけだろ」
いつも通りの、少し冷たい言い方。
〇〇「えー、そう?」
少しだけ笑う気配。
でも目は開けない。
〇〇「北斗ってそういうのなさそうだもんね」
北斗「…あるわ」
小さく返す。
〇〇「え、うそ」
少しだけ驚いた声。
でもすぐに、また力が抜ける。
〇〇「意外…」
そのまま、また沈んでいく。
会話が途切れる。
静けさが戻る。
北斗は横目で〇〇を見る。
無防備に寄りかかる姿。
何も知らない顔。
さっきの言葉も、きっと覚えていない。
北斗「…言う相手、間違えてんだよ」
小さく、誰にも聞こえないくらいの声。
廉はそれを聞いていないふりをする。
でも、ほんの少しだけ視線が揺れる。
タクシーはそのまま、夜の街を進んでいく。
タクシーはゆっくり減速していく。
見慣れた道。
〇〇の家の前。
運転手「到着です」
北斗「…ああ」
先にドアが開く。
外の冷たい空気が流れ込む。
北斗は軽く〇〇の肩を叩く。
北斗「おい、着いたぞ」
〇〇「ん…」
反応はあるけど、起きない。
北斗「起きろって」
少し強めに揺らす。
〇〇はゆっくり目を開ける。
ぼんやりした視線。
〇〇「…あ」
状況を理解するまで数秒。
〇〇「ついた?」
北斗「とっくに」
〇〇「そっか…」
そのまままた目を閉じそうになる。
北斗「寝るな」
〇〇「むり…」
完全に力が抜ける。
北斗はため息をつく。
北斗「降りるぞ」
〇〇「んー…」
体を起こそうとするけど、ふらつく。
そのまま崩れるように北斗に寄りかかる。
北斗「危な…」
腕を掴んで支える。
廉は反対側から様子を見ている。
廉「大丈夫か?」
〇〇「だいじょーぶ…」
全然大丈夫じゃない声。
北斗「大丈夫じゃねえだろ」
そのまま肩を貸す。
ゆっくり車から降りる。
夜の静けさ。
〇〇の足取りは不安定で、ほとんど北斗に体重を預けている。
廉も外に出て、ドアを閉める。
一瞬、3人で立つ。
沈黙。
廉「…ほな、頼むわ」
北斗を見る。
北斗「…ああ」
短く返す。
廉は少しだけ〇〇を見てから、背を向ける。
そのまま別方向へ歩いていく。
残るのは2人。
〇〇「れん…?」
小さく呟く。
でも追う気はない。
そのまままた北斗にもたれる。
北斗「行くぞ」
玄関までの短い距離。
それすら長く感じる。
〇〇「ねえ」
不意に声。
北斗「なに」
〇〇「さっきの話」
歩きながら。
〇〇「忘れていいからね」
軽い口調。
北斗「は?」
〇〇「なんか…恥ずかしいし」
北斗は足を止める。
〇〇もつられて止まる。
〇〇「?」
北斗「忘れるわけねえだろ」
低く言う。
〇〇「えー、なんで」
少し笑う。
北斗「言っといてそれかよ」
〇〇「だってさぁ…」
言いかけて、言葉が止まる。
少しだけ真面目な顔になる。
〇〇「…ちゃんと前向いてるよ、私」
北斗は少しだけ目を細める。
北斗「知ってる」
〇〇「だから大丈夫」
そう言って、また歩き出す。
玄関の前。
北斗が鍵を取り出させる。
〇〇はポケットを探るけど、うまくいかない。
北斗「貸せ」
手を取って、鍵を取り出す。
そのままドアを開ける。
〇〇「ありがと…」
ふらっと中に入る。
北斗は一歩外に残る。
そこで終わるはずだった。
その瞬間。
〇〇が振り返る。
そして。
いきなり。
ぎゅっと抱きつく。
北斗「は?」
完全に予想外。
〇〇はそのまま顔を埋める。
〇〇「ねえ…」
少し甘えた声。
〇〇「もう帰るの?」
北斗の体が一瞬固まる。
心臓が跳ねる。
でも顔には出さない。
北斗「…帰るだろ」
あくまでいつも通り。
〇〇「えー…」
力が少し強くなる。
離れない。
北斗「離せって」
〇〇「やだ」
即答。
北斗は息を吐く。
北斗「酔ってるだけだろ」
〇〇「そうだけど」
〇〇「でも今はこれがいい」
意味もなく正直。
北斗は少しだけ目を閉じる。
数秒。
静かな時間。
北斗はゆっくり腕を動かす。
抱き返すことはしない。
でも無理に離すこともしない。
北斗「…ほんとめんどくせえな」
小さく言う。
〇〇「うん」
素直に返す。
北斗「明日覚えてねえだろ」
〇〇「たぶんね」
あっさり。
北斗は苦笑する。
北斗「最悪」
〇〇「ごめん」
でも離れない。
北斗は少しだけ〇〇の肩を押す。
北斗「ほら、もう入れ」
〇〇「やだ」
北斗「いい加減にしろ」
〇〇「じゃあもうちょっとだけ」
子供みたいに言う。
北斗は何も言わない。
そのまま数秒。
やがて。
〇〇の力がゆっくり抜ける。
眠気が勝つ。
北斗はそっと体を支える。
北斗「…ほんと危なっかしい」
小さく呟く。
そのまま玄関の中へ一歩踏み込む。
〇〇をゆっくり座らせる。
北斗「ちゃんと鍵閉めろよ」
〇〇「ん…」
もう半分寝てる。
北斗は立ち上がる。
一度だけ振り返る。
無防備なままの〇〇。
北斗「…」
何も言わず、外に出る。
ドアを閉める。
夜の空気。
静けさ。
北斗は少しだけ空を見上げる。
北斗「…ふざけんな」
小さく吐き出す。
それでも。
どこか、少しだけ。
嬉しそうな顔だった。
ーーーーーー
とある夜。
仕事終わり。
〇〇は家のソファに倒れ込む。
「はぁ…疲れた」
スマホを適当にいじっていた時。
着信。
樹。
〇〇「珍し」
そのまま通話に出る。
〇〇「もしもし?」
樹「おつかれ」
〇〇「おつかれ〜、どうしたの?」
樹「いや、なんとなく」
軽いテンション。
〇〇「絶対なんかあるでしょ」
樹「まあ、ちょっとな」
少しだけ笑う。
樹「北斗のことで」
〇〇「え、なにそれ」
もう笑い始める。
〇〇「またなんかやらかした?」
樹「いや、そういうんじゃないけど」
樹「最近さ、わかりやすいなって思って」
〇〇「なにが?」
樹「いや、なんでも」
一回ぼかす。
〇〇「気になるんだけど」
樹「別に大したことじゃない」
少し含みを持たせる言い方。
〇〇「てか北斗さ」
樹「うん?」
〇〇「ほんと顔に出るよね」
〇〇「この前もさ、ちょっといじったらすぐ反応するし」
笑いながら言う。
樹「だろ」
樹「わかりやすいんだよ」
〇〇「単純っていうか」
樹「まあな」
〇〇はソファに寝転がる。
〇〇「でもさ」
樹「ん?」
〇〇「一緒にいて楽なんだよね」
さらっと言う。
樹が少しだけ黙る。
樹「…それ、本人に言ったことある?」
〇〇「ないよ」
即答。
〇〇「なんで言うの」
樹「いや、別に」
少しだけ笑う。
樹「でもさ」
〇〇「なに?」
樹「気づいてないなら、そのままでいいんじゃね」
〇〇「え?」
樹「いや、なんでもない」
すぐに流す。
〇〇「てかほんとなんなの今日」
〇〇「ずっと北斗の話じゃん」
樹「たまたま」
〇〇「絶対うそ」
樹「半分本当」
2人で軽く笑う。
〇〇「まあいいや」
〇〇「今度またみんなで飲もうよ」
樹「いいね」
樹「呼んどくわ」
〇〇「うん」
自然に返す。
少しの沈黙。
樹「…あいつ、喜ぶと思うよ」
ぽつりと。
〇〇「なにが?」
樹「いや、なんでもない」
〇〇は特に気にせず笑う。
〇〇「じゃあおやすみ」
樹「おやすみ」
通話が切れる。
〇〇はスマホを置いて、天井を見る。
ふと、北斗の顔が浮かぶ。
でもすぐに消す。
「…なんでだろ」
それ以上は考えない。
その頃。
樹はスマホを見ながら小さく笑う。
樹「ほんと、わかってねえな」
その一言だけ残して、画面を閉じた。
ーーーーーーーーー
🌙
同じ夜。
北斗は家で一人。
ソファに座って、スマホをぼんやり見ている。
特に何をするでもなく、時間だけが過ぎていく。
着信。
樹。
北斗「…なに」
出る。
樹「おつかれ」
北斗「おつかれ」
樹「今大丈夫?」
北斗「まあ」
少しの間。
樹「今日さ」
北斗「なに」
樹「〇〇と話したんだけど」
北斗の動きが止まる。
北斗「…へえ」
あえて興味なさそうに返す。
樹「お前の話になった」
北斗「なんでだよ」
樹「なんとなく」
軽く笑う。
北斗「余計なこと言ってねえだろうな」
樹「言ってねえよ」
樹「てか言えねえだろ」
北斗は小さく息を吐く。
樹「でさ」
北斗「なに」
樹「〇〇、お前のこと」
少し間を置く。
樹「一緒にいて楽って言ってた」
北斗の視線が止まる。
北斗「…そう」
短く返す。
樹「それだけ」
わざと軽く言う。
北斗「それだけならわざわざ言うなよ」
樹「いや、大事だろ」
北斗は何も言わない。
樹「しかもさ」
北斗「…なに」
樹「めっちゃ普通に言ってた」
北斗「は?」
樹「なんも考えてない顔で」
樹「当たり前みたいに」
北斗は一瞬黙る。
北斗「…あいつらしいな」
小さく呟く。
樹「で、どうすんの」
北斗「なにが」
樹「そのままでいくのかって話」
北斗は少しだけ天井を見る。
北斗「別に」
北斗「今のままでいい」
樹「ほんとかよ」
北斗「いいんだよ」
少しだけ強く言う。
樹は少し黙る。
樹「でもさ」
北斗「なに」
樹「それ、いつまで持つ?」
北斗は答えない。
樹「〇〇、普通に誰とでも距離近いぞ」
樹「悪気なく」
北斗の指が少しだけ動く。
樹「今日もさ」
樹「見てて思ったけど」
樹「たぶんお前じゃなくても、ああいうことする」
北斗の目が少しだけ細くなる。
北斗「…知ってる」
低く返す。
樹「それでもいいのかって話」
沈黙。
北斗「…」
しばらくして。
北斗「よくねえけど」
小さく言う。
樹が少しだけ笑う。
樹「だよな」
北斗「でも」
少し間。
北斗「まだいい」
樹「まだ、ね」
北斗はそれ以上何も言わない。
樹「まあいいや」
樹「今度飲むだろ」
北斗「…ああ」
樹「その時、ちゃんと見とけよ」
北斗「なにを」
樹「自分がどうなるか」
通話が切れる。
北斗はスマホを置く。
静かな部屋。
「一緒にいて楽」
その言葉だけが残る。
北斗「…ほんと」
小さく呟く。
北斗「ずるいな」
誰にも聞こえない声で。
ーーーーーーーーー
飲む日の当日。
夜。SixTONES6人と〇〇と風磨。
店の個室。
大きめのテーブルに、8人分の席。
席の配置。
奥のソファ側に
左から きょも、〇〇、北斗、高地。
向かいの椅子側に
左から ジェシー、慎太郎、樹、風磨。
ちょうど〇〇の正面が慎太郎、
斜め前に樹、
真正面寄りにジェシー。
北斗は〇〇の隣。
扉が開いて、全員集合。
ジェシー「よっしゃ、全員そろったな!」
慎太郎「久しぶりにこのメンツじゃん」
樹「人数ちょうどいいな」
きょも「なんか安心するわ、この感じ」
高地「落ち着くね」
風磨「いや絶対うるさくなるでしょ」
〇〇「もううるさいもん」
笑いが起きる。
樹「じゃあ、とりあえず乾杯するか」
ジェシー「いいね!」
全員グラスを持つ。
〇〇「じゃあ、乾杯!」
「乾杯!」
グラスが軽くぶつかる音。
飲み始めてすぐ、いつもの空気。
慎太郎「〇〇、この前より元気じゃん」
〇〇「でしょ、今日はいける」
樹「ほんとかよ」
〇〇「ほんとほんと」
ジェシー「じゃあ今日は潰れるまでいくな」
〇〇「それはやめて」
横で北斗は静かに飲んでる。
でも会話はちゃんと聞いてる。
風磨「最近どうなの、仕事」
〇〇「普通に忙しい」
きょも「ずっと忙しそうだもんね」
高地「体調大丈夫?」
〇〇「大丈夫だよ」
慎太郎「でもさ」
〇〇「なに?」
慎太郎「この前の話、やばかったよな」
〇〇「ちょっと待って、それやめて」
即止める。
樹「いやでもあれは面白かった」
ジェシー「伝説だよあれ」
〇〇「やめてって!」
北斗はグラスを持ったまま、少しだけ目を逸らす。
風磨「何の話?」
樹「いや、〇〇がさ—」
〇〇「言うな!」
テーブルが一気に盛り上がる。
その流れのまま、会話はどんどん広がる。
仕事の話、最近のこと、くだらない話。
笑い声が止まらない。
気づけば。
〇〇は少し前のめりになって笑っている。
隣の北斗との距離も、自然と近い。
肩が軽く触れそうな距離。
北斗は一瞬だけそれを意識する。
でも何も言わない。
樹はその様子をちらっと見る。
何も言わず、少しだけ笑う。
慎太郎「次、恋バナいく?」
〇〇「いいね!」
風磨「やっぱそれ好きだよな」
〇〇「好き」
ジェシー「じゃあ〇〇からな」
〇〇「え、なんで」
樹「いいから言えって」
きょも「聞きたい」
高地「気になるね」
慎太郎「はい決定〜」
〇〇は少し考えてから、ふっと笑う。
〇〇「じゃあ…最近ちょっとキュンとした話」
ジェシー「きた!」
樹「誰だよ」
〇〇「いや名前は出さないけど」
〇〇「この前さ、撮影でちょっとバタバタしてて」
〇〇「普通にミスったの」
〇〇「そしたら、何も言わずにフォローしてくれて」
慎太郎「お〜優しい」
きょも「いいね」
〇〇「で、終わった後に」
〇〇「“大丈夫?”ってだけ言ってくれて」
高地「シンプルだね」
樹「でもそれがいいんだよな」
〇〇「そう、なんか」
〇〇「余計なこと言わない感じ」
〇〇「それでちょっと…あ、いいなって思った」
ジェシー「それキュンだな」
慎太郎「完全にやられてるじゃん」
風磨「で?好きになりそうなの?」
〇〇「いや、そこまではいかない」
即答。
樹「早いな否定」
〇〇「だって違うもん」
きょも「でも印象には残ってるんでしょ?」
〇〇「うん、それは残ってる」
〇〇はグラスを持ちながら少し笑う。
〇〇「あとさ」
ジェシー「まだあんの?」
〇〇「もう一個だけ」
〇〇「帰り遅くなった時に」
〇〇「“ちゃんと帰れた?”ってLINEきてて」
慎太郎「うわ、それずるい」
樹「地味に効くやつ」
〇〇「で、“帰れたよ”って返したら」
〇〇「“よかった”ってだけ」
きょも「シンプルだなあ」
高地「でも優しさ感じるね」
〇〇「そう、それがちょっと」
〇〇「…いいなって思った」
少しだけ照れたように笑う。
その空気の中。
北斗はグラスを持ったまま、静かに聞いている。
誰の話かはわからない。
でも。
樹が一瞬だけ北斗を見る。
ジェシー「それもう好きじゃん」
〇〇「違うって」
慎太郎「いや怪しいな」
風磨「わかりやす」
〇〇「ほんとに違う!」
笑いながら否定する。
そのまま前のめりになって笑う〇〇。
隣の北斗との距離が少し近くなる。
でも〇〇は気づかない。
北斗は視線を落としたまま。
さっきの話を、頭の中で繰り返してる。
“何も言わずにフォロー”
“ちゃんと帰れた?”
北斗「……」
小さく息を吐く。
それが誰かなんて聞けない。
聞く理由もない。
でも。
北斗はグラスに口をつける。
少しだけ強めに。
樹はその様子を見て、何も言わずに笑う。
〇〇はただ楽しそうに笑っているだけ。
何も気づかないまま。
慎太郎「それで終わり?」
〇〇「いや、まだあるよ」
ジェシー「まだあんの!?」
樹「止まんねえな」
〇〇は楽しそうにグラスを持ち直す。
〇〇「てかさ、恋バナって楽しくない?」
風磨「出た」
きょも「好きだよねほんと」
〇〇「好き!」
即答。
〇〇「じゃあ理想のタイプいっていい?」
樹「もう止まらないじゃん」
慎太郎「いけいけ」
〇〇は少し考えるふりをして。
〇〇「まずね、明るい人」
ジェシー「はいはい」
〇〇「で、ちょっとバカっぽい人」
慎太郎「俺じゃん」
〇〇「違う!」
即否定。
笑いが起きる。
〇〇「あと、子供好きな人」
高地「いいね、優しそう」
きょも「家庭的だね」
〇〇「で、一緒にいて楽な人」
さらっと言う。
北斗の手が一瞬止まる。
〇〇「無理しなくていい人」
〇〇「気使わない人」
樹がまた北斗を見る。
ジェシー「それ大事だよな」
慎太郎「気使うと疲れるしな」
〇〇「あとね」
まだ続く。
〇〇「ちゃんと見てくれる人」
風磨「どういうこと?」
〇〇「なんか、ちゃんと気づいてくれる人」
〇〇「変化とか」
高地「細かいね」
きょも「でもわかる」
〇〇「あと、さりげない優しさある人」
樹「さっきの話と一緒だな」
〇〇「そう!」
〇〇は楽しそうに笑う。
完全にスイッチ入ってる。
慎太郎「逆に嫌なタイプは?」
〇〇「えー?」
〇〇「気分屋すぎる人は無理」
ジェシー「おお」
〇〇「あと冷たすぎる人」
一瞬だけ。
北斗の表情が動く。
〇〇「でもさ」
〇〇「ちょっと不器用な人はいい」
樹「それ完全に—」
言いかけて止まる。
〇〇「なんかさ」
〇〇「そういう人の方が本音ちゃんとしてそうじゃん」
きょも「確かにね」
高地「わかるかも」
〇〇は笑いながら前のめりになる。
そのまま、自然に北斗の腕に少し触れる。
でも本人は全く気づいてない。
北斗は一瞬だけ動きを止める。
〇〇「あとね!」
まだ止まらない。
ジェシー「まだあるの!?」
慎太郎「どんだけ出てくるんだよ」
〇〇「最後!」
〇〇「ちゃんと大事にしてくれる人」
〇〇「それだけ」
少しだけ真面目なトーン。
場が一瞬だけ静かになる。
樹がふっと笑う。
樹「シンプルだな」
〇〇「シンプルが一番いいの!」
また笑う〇〇。
その横で。
北斗は何も言わない。
さっきの全部。
頭の中で繋がっていく。
“楽”
“気使わない”
“不器用”
北斗「……」
小さく息を吐く。
樹はそれを横目で見て、少しだけ口角を上げる。
慎太郎「じゃあ次、誰いく?」
ジェシー「北斗いけよ」
北斗「…は?」
急に振られる。
〇〇も何も考えずに。
〇〇「北斗いこう」
北斗は一瞬だけ〇〇を見る。
何も知らない顔。
北斗「……別に」
そっけなく返す。
樹「逃げんなよ」
慎太郎「ほらほら」
〇〇「聞きたい!」
無邪気に言う。
北斗は少しだけ目を逸らして。
北斗「…うるさいやつは無理」
〇〇「え、ひどくない?」
即反応。
笑いが起きる。
でもその中で。
北斗だけが少し違う温度でそこにいた。
慎太郎「うるさいやつ無理って言っといて、その隣に誰いるか見てみ?」
〇〇「ちょっと、それどういう意味?」
ジェシー「いやいや、今一番うるさいの〇〇だから」
〇〇「え、待って否定できないの悔しい」
樹「自覚あんのかよ」
きょも「でも楽しそうだからいいじゃん」
高地「場が明るくなるしね」
風磨「確かに、それはある」
〇〇「でしょ!」
すぐに乗る。
北斗は小さくため息をつく。
北斗「…はいはい」
〇〇「なにその“はいはい”」
北斗「別に」
〇〇「絶対なんか思ってるじゃん」
北斗「思ってねえよ」
樹「いや思ってる顔だろ」
慎太郎「顔に出てるって」
〇〇「あー出てる出てる」
北斗「うるさい」
即答。
笑いが起きる。
〇〇は楽しそうに笑って、そのままグラスに口をつける。
〇〇「じゃあさ、北斗の理想ちゃんと聞いてないんだけど」
北斗「言わなくていいだろ」
ジェシー「いや言えよ」
樹「ここまで来たら逃げられない」
きょも「気になるし」
高地「確かに」
風磨「言えって」
〇〇「ほら」
全員に囲まれる形。
北斗は少し黙る。
北斗「…普通でいい」
慎太郎「一番ずるい答え」
ジェシー「それ逃げ」
樹「具体的に」
北斗「…」
少し考える。
北斗「ちゃんとしてるやつ」
〇〇「ちゃんとってなに」
北斗「ちゃんと」
〇〇「雑すぎる」
笑う。
北斗「あと」
少し間。
北斗「無理しないやつ」
〇〇「へえ」
何気なく聞いてる。
北斗「…一緒にいて疲れないやつ」
その言葉に。
樹が一瞬だけ反応する。
〇〇は普通に頷く。
〇〇「それ大事だよね」
何も気づかない。
北斗はそれ以上言わない。
慎太郎「なんか似てね?」
ジェシー「さっきの〇〇と」
樹「だな」
〇〇「え、そう?」
風磨「ほぼ一緒じゃん」
〇〇「ほんと?」
きょも「無意識で一致してるの面白いね」
高地「すごい偶然」
北斗はグラスに口をつける。
何も言わない。
〇〇はただ笑ってるだけ。
〇〇「じゃあさ、次みんなも言ってよ」
慎太郎「俺いく?」
ジェシー「いけいけ」
話題はそのまま広がっていく。
誰かが話して、誰かが突っ込んで、また笑う。
〇〇はずっと楽しそうに笑ってる。
時々前のめりになって、隣の北斗に軽く当たる。
でも気づかない。
北斗はそのたびに少しだけ止まる。
何も言わずに。
樹はその様子を横目で見て、グラスを傾ける。
樹「…まじで気づいてねえんだな」
小さく呟く。
その声は、誰にも届かない。
慎太郎「じゃあ次、俺いくわ」
ジェシー「待ってました」
樹「どうせしょうもないだろ」
慎太郎「うるせえな」
〇〇「聞きたい!」
慎太郎「俺はな〜」
そのまま話し出す慎太郎に、みんながツッコんで、また笑いが起きる。
空気はずっと軽くて、楽しいまま。
〇〇はグラスを持ちながら、少し体を預けるように座る。
そのまま、無意識に北斗の肩に軽く触れる。
北斗は一瞬だけ止まる。
でも何も言わない。
ジェシー「でさ、それでどうなったの?」
慎太郎「いやだからさ—」
会話はどんどん盛り上がっていく。
樹「〇〇、飲みすぎじゃね?」
〇〇「全然大丈夫」
風磨「そのセリフ危ないやつな」
〇〇「ほんとに平気だって」
笑いながら答える。
きょも「顔ちょっと赤いよ」
〇〇「まじ?」
高地「うん、ちょっとね」
〇〇は自分の頬に手を当てる。
〇〇「恥ずかしい笑」
ジェシー「いや今さらだろ」
慎太郎「さっきからずっとテンション高いし」
北斗は横で静かに見てる。
その表情はいつも通り。
でも目だけが少し違う。
〇〇「ねえ次誰?」
樹「じゃあジェシー」
ジェシー「俺か!」
ジェシーが話し始める。
また笑い。
またツッコミ。
また騒がしくなる。
その中で。
〇〇はまた少し前に体を傾ける。
そのまま北斗の腕に軽く触れる。
今度は少し長く。
北斗の指がわずかに動く。
でも、何も言わない。
樹はそれを見て、グラスを傾ける。
風磨「てかさ」
〇〇「なに?」
風磨「さっきのキュンのやつ、誰なの結局」
〇〇「言わないって言ったじゃん」
慎太郎「気になるって」
ジェシー「ここまで来たら言えよ」
〇〇「絶対言わない」
笑いながら拒否。
樹「じゃあヒント」
〇〇「えー」
樹「同業?」
〇〇は少しだけ考える。
そして。
〇〇「まあ…うん」
一瞬だけ。
空気が変わる。
北斗の動きが止まる。
慎太郎「おお〜」
ジェシー「いるじゃんそれ」
風磨「誰だよ」
〇〇「だから言わないって」
きょも「最近一緒に仕事してた人?」
〇〇「それも秘密」
高地「ガード固いね」
〇〇は楽しそうに笑ってる。
ただの恋バナのテンション。
でも。
北斗だけが違う。
グラスに口をつける。
少し強めに。
樹は横でそれを見て、何も言わない。
〇〇はまた笑いながら話し始める。
〇〇「てかさ、恋バナってさ—」
止まらない。
その隣で。
北斗はただ静かに座ってる。
何も言わずに。
でも内側は。
少しずつ、削られていく。
〇〇「逆にさ」
きょも「うん?」
〇〇「なんでみんなそんな冷静なの?」
高地「冷静っていうか、聞いてる側だからね」
ジェシー「俺らも普通に楽しんでるよ」
慎太郎「ただお前が飛ばしすぎ」
〇〇「いいじゃんたまには」
そのまま笑う。
風磨「じゃあさ」
〇〇「なに?」
風磨「その“いいなって思った人”と、どうなりたいの?」
一瞬だけ。
〇〇の動きが止まる。
〇〇「えー…」
少し考える。
〇〇「どうだろ」
〇〇「別に、付き合いたいとかじゃないかも」
樹が軽く目を細める。
〇〇「ただ」
〇〇「もうちょっと話してみたいなって思うくらい」
きょも「いい距離感だね」
高地「大人だなあ」
慎太郎「でもそれってさ」
慎太郎「気づいたら好きになるやつじゃん」
〇〇「えー」
笑いながら否定する。
〇〇「ならないよ」
樹「いやなるって」
ジェシー「そのパターン多いよ」
風磨「だいたいそう」
〇〇「ならないってば」
また笑う。
そのまま体を少し後ろに預ける。
北斗の肩に軽く当たる。
北斗は一瞬だけ目を閉じる。
〇〇「てかさ」
まだ続く。
〇〇「好きってさ、どういうタイミングでなるの?」
空気が少しだけ変わる。
きょも「難しい質問きたね」
高地「人によるよね」
慎太郎「俺はわかりやすいよ」
ジェシー「すぐじゃん」
樹「〇〇は?」
〇〇は少し考える。
〇〇「…気づいたら、かな」
その言葉。
北斗の視線が少しだけ上がる。
〇〇「一緒にいる時間増えて」
〇〇「楽で」
〇〇「なんか当たり前になってきたら」
〇〇「その時かも」
静かに言う。
樹がまた北斗を見る。
北斗は何も言わない。
ただ。
その言葉が、刺さる。
ジェシー「じゃあもうなる寸前じゃん」
〇〇「だからならないって」
慎太郎「怪しいな〜」
風磨「時間の問題だろ」
〇〇「違うってば!」
笑いながら否定する。
樹はグラスを置いて、小さく息を吐く。
樹「…これ、やばいな」
小さく呟く。
楽しい空気のまま。
会話は続いていく。
でもその中で。
北斗だけが。
少しずつ、限界に近づいていた。
next→♡
1,141