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「逃げた先で」
彼に聞かれた言葉が―――“あれからどう？”が、まるで投げ込まれた石のように、心の中に落ちたまま動かない。
紀坂（きさか）には、 日比野（ひびの）と神戸でデートをした帰りに「会いたい」と言われ、彼氏となにかあったか聞かれた。
あの時、彼氏と戻ろうと思っていることを伝え、関係は終わりになったはずなのに……紀坂が聞いているのはその後のことで、本来彼にはどうでもいいことのはずだ。
だから―――“あなたには関係ありません”と、心の中で呟いた。
だけど言葉にできなかったのは、この人に気持ちを楽にしてもらった事実があるからだ。
始まりはどうあれ、紀坂に安らぎをもらったし、考えさせられたこともあった。
それなのに、結局私は彼を、寂しい時だけ利用したことに変わりはない。
“あれから”―――紀坂と終わってから、表面上は日比野とうまくいっている。
でも日比野の浮気を疑う気持＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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