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石畳の坂を登り、オスマン帝国の支配者だったスルタンの宮殿を通り過ぎると、アヤソフィアのドームが処々の建物の上に見えてきた。
「あれ、ヨーロッパの証拠。あの中に主イエス、聖母マリアのモザイクがある。ローマ皇帝のモザイクもあるよ」と青年は言った。それはビザンツ帝国が一千年以上も前に、教会として建てたものだった。今は四隅にイスラム寺院の、ミナレットと呼ばれる尖った塔が建っている。
青年は正面へ廻って入口の列に加わろうとしたが、旅人の表情はあまり乗り気そうではなかった。そこに、坂を降りてきた路面電車から、社会科見学の子供達がやって来て列を伸ばした。
「まあいい。コンスタンティノープルには、他にも山ほど見るところがある」