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「 __ にぃちゃん、なぁにいちゃん、!! 」
声をかけられてはっ、と我に返る。
僕今何を…
…そうだ、ミナトと遊んでたんだっけ。
「 っえ、なに、ごめん、 どうしたの、ミナト 」
「 さっきからぼぉっとしてる、けど、どぉしたん、? 」
「 僕そんなぼーってしてる? 」
「 してるよぉ、」
「 そっか、ごめんね 」
そう言って、そのふわふわした毛並みの、小さい頭を優しく撫でた。
ああ、似てるな。ミナトと、湊。
なんだか、すっごい似てる。
「 …おにぃちゃん、かわっちゃったねぇ、 」
そう悲しそうにボソリと呟く湊。
本人は多分聞こえないように言ってくれたのだと思うが、僕の耳には鮮明に聞こえた。
何に対しての、” かわった “ なのか、僕には到底分からないだろう。
もし、湊が前飼っていた飼い猫の転生体、だったのなら…
「 …ごめん、ミナト、ちょっと一人にさせて、 」
「 ん、うん、わかった、? 」
あぁ、やっぱダメだ。僕って。
違う、違うはずなのに。
ミナトのことを思い出して、会いたくなって、でももう会えない、となれば涙が出てくる。
どう気を逸らしても、淡い期待を抱いてしまう。
堪え切れず、目をわざとらしく隠しながら足早に自室へと向かった。
「 あ、危なっ…あれ、ハル、??ミナトと遊んでたんじゃないの?てかどうしたの、 」
途中、トウヤとぶつかるが、謝る余裕もない。早く行ってしまおう。と、何も言わず、その場から離れようとしたが、” ちょっと待ってよ、 “ なんて言われながら手を掴まれてしまった。
「 …トウヤ兄さんには関係ないでしょ、 」
「 関係ない訳ないじゃん。兄弟でしょ、僕ら。 」
顔を合わす事も出来ず、ずっと顔を俯かせていた。
「 …またミナトのこと? 」
ずっとだんまりしていた僕に痺れを切らしたのか、そう聞いてきた。そうだ。正しく、ミナトのこと。図星を突かれていたい。心臓がぎゅぅ、と締められるような感覚だ。
「 そぅ、だよ、…っ分かってる!!!早く忘れた方が良いって、でも…でも… 」
感情が先走り、手を思いっきり振り払い、一歩後ずさっては、身体をもちさんの方に向けた。口だけがそう、無意識に動いていく。
「 僕はそこまで言ってないでしょ?無理に忘れろ、だなんて鬼畜な事は言わないから、別に… 」
はぁ、と半ば呆れたような溜息を漏らす。
僕はそんな溜息に怖くなって身動ぎする。
「 っじゃあ、今は一人にさせてよ、お願いだから… 」
足早にこの場から去りたい。一人にさせて欲しい。
「 ごめん、それはできないかな。ハヤト兄さんと話し合おう、一回。 」
「 …やだ、 」
「 やだじゃないよ、ハル。…心配してるんだよ、ハヤト兄さんは。 」
「 心配…心配なんかしなくていい、… 」
「 はぁ…ねぇ…また逃げるの? 」
にげる、にげる?
「 ちがっ、僕は逃げてなんかっ、!!! 」
ムキになってじっとトウヤの顔を睨む。そこで初めてトウヤの顔を見た。
その顔は、何処か悲しそうだった。
何故悲しそうな顔をしているのか分からなかった。
「 …ごめん… 」
だけど、その顔を見て、さっきまでのムカムカとした気持ちは無くなって、小さく気持ちは沈む。
「 …僕こそごめん、あんなこと言って…。 」
そう言って、僕の前に手が差し伸べられる。
「 …あのさ、ハル、…僕にも協力させてよ。兄弟として、家族として協力したいからさ、だから、教えてよ… 」
なんでいつもそんな苦しそうで、寂しそうで、悲しそうな顔をしてるか…