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私
の名前はリリアン。
私が生まれたのは、雪国にある小さな村でした。
私の父は木こりでしたが、あまり腕の良い職人とは言えませんでした。なので、私が生まれてまもなく、母は私を連れて町へ出稼ぎに行きました。父はとても不満そうな顔をしていましたが、それでも生活のためだと理解していたのか、特に反対もしませんでした。しかし、母の仕事ぶりはあまり褒められたものではなく、毎日のように借金を作っていました。そんな母の姿を見て育ったせいなのか分かりませんが、私は大人しい子供でした。でもそれは、単に引っ込み思案だったというだけの話かもしれません。
そんな私が唯一興味を持ったものが、絵描きでした。自分で言うのも変ですが、絵を描くことだけは得意だったので、いつかは絵を描いて食べていけるようになりたいと思っていました。
しかし、その願いは叶いませんでした。ある時、たまたま通りかかった劇場で見た芝居に感動してしまい、役者になりたいと考えてしまったのです。
私は両親に相談しました。すると両親は、二つ返事で賛成してくれました。ただ、「勉強をするなら、ちゃんとした学校へ行くべきだ」と言い出したので、仕方なく私は町の小学校に通うことになりました。
初めて通った学校は、制服がない小学校でした。
初めての中学校は、 セーラー服のない学校だった。
二度目の高校は、 ブレザーのあるところを選んだ。
三度目の大学は、 ネクタイのあるところにした。
四度目は……
スーツを着て行った。
五度目は……
就職活動をした。
六度めは……
就活に失敗した。
七回目は……
公務員試験を受けた。
八回めの今日は、 まだ何もしていない。今はまだ。
ただ、 昨日と同じことをしているだけさ。
いつものように……。
昨日の続きだからね……。
昨日までとは、違うかもしれないけれど。
この先も同じことを繰り返すんだろう。
それじゃあダメだってこともわかっているけど、 どうしても同じ場所から抜け出せないんだよ。
きっと明日になっても、明後日になっても、一週間後も、一ヵ月後になっても、来年になったって、僕はここでこうして独りぼっちなんだろうなぁ。
でもそれでいいんだ。
これが僕の日常だし。
変わらないことが一番幸せなことだっていうしね。
それが僕にとっての幸せだから。
それにしても退屈だなぁ……。
何か面白いことはないかなぁ。
例えば……そうだ! 僕みたいに、毎日毎日、代わり映えのしないことをしている人が他にもいないかどうか調べてみようっと♪ うーん……。
やっぱり特にいなさそうだなぁ。
みんなもっと楽しまないと損だよ? そんなんじゃ人生楽しくないよ? なんて言ってみたところで誰も聞いてくれないんだけどね。
ははっ。
こんなこと言うとまた変人扱いされちゃうか。
だけど実際そうなんだよね。
何をやってもうまくいかないし。
そもそもうまくいった試しがないもん。
努力すればするほどドツボにはまるばっかりで。
もう笑うしかないよね。
いっそ笑ってくれればいいのに。
何度挑戦したって、結局最後には失敗する運命なんだから。
ほら。また一つ新しい恋が生まれたよ。
さあ今こそ勇気を出して一歩を踏み出せばいい。
君の気持ちはもう分かっているはずだ。
君の中に眠る熱い想いが僕を求めているんだろう? ああ大丈夫だよ、怖がらないで。僕はいつでも君の味方だからね。
君の悩みなんてちっぽけなものさ。僕のこの胸に飛び込んでおいで! 君はきっと分かってくれるはずさ。僕の本当の価値を。
だって僕らは運命に導かれて出会った二人じゃないか。
お互いに惹かれあうのは当然のことさ。
君のためなら何でもしよう。君だけを永遠に愛すると誓おう。
ねえ、そんな悲しい顔をしないでくれ。
どうして信じてくれないか分からないけれど、僕は決して嘘なんかついていないんだよ。
それなのに、何故? こんなにも苦しいのか……? 君の瞳に映るのは、いつも別の誰かの姿ばかりだ。
ああそうだとも。君の幸せを願うならば、そっと身を引くべきなんだろう。
でもそれは出来ない相談だ。諦められるわけがない。
だって気付いてしまったんだ。
この胸に宿った炎の正体が何なのかを。
君の視線はいつもあの男を追っている。
まるで恋する少女のように熱を帯びた眼差しで。
それが気に食わない。腹立たしい。妬ましい。羨ましい。憎い。殺したいほどに。
いっそこの手でその目をくり抜いてしまえばいいだろうか。
そうしたら君は二度とこちらを見てくれるかな