私
の名前は『桜』。
この物語のヒロインにして、主人公よ! 私が主役の物語を、みんなに読んでもらうために……。
今日も元気に執筆中♪ あぁ~! 早く読ませてあげたいなぁ~! 私の物語を待っている読者のためにも、頑張らなくっちゃね!! ***
「さーてと。それじゃ、お仕事に行きましょうかね」
「うん!」
「えぇ。行きましょう」
私達はいつものように三人揃って家を出ました。
家を出た瞬間、空一面に広がる雲一つ無い青空が広がっています。
太陽が眩しく輝いていて、とても気持ちが良い朝ですね。
「わぁ~! 見てみてっ! 綺麗なお星様だよ!!」
「あら、本当。なんて美しいんでしょう。まるで宝石箱みたいね」
「そうだねぇ。本当にキレイだよね」
「うぅ~! わたし、もっと近くで見たい!」
私達が歩く道路の端には、小さな小川が流れています。
その川のほとりにあるベンチに腰掛けながら、二人で仲良く空を見上げていました。
そして、そんな私達の横を通り過ぎて行く人達……。
「さあ行こう!」
「一緒にいこうよ!君達も僕達と同じ気持ちなんでしょう?」
「さぁて、行きましょうかねぇ」
「行くしかないわね……」
「そうだな……」
「行かないわけがないよね」
「うん、いくー」
「いきましょう」
『はい』
『ええ!』
『うむ』
『いくわよ!!』
『はい!!!』
「よし、じゃあいこう!!」
「待ってろよ!!絶対に救けてみせるからな!!だから……もう少しだけ耐えてくれよな」
「もうちょっと頑張れよ!!絶対助けるからさ」
『がんばってくださいね。応援しています』
「がんばれ〜〜」
「大丈夫だよ。きっと助かるから安心しなさい」
あの時の先生の言葉を思い出す。
今になって思う。どうして僕はあんなにも簡単に信じてしまったんだろう。本当に助けてくれるなんて保証はなかったはずなのに……。
ああ、なんということだろうか。もうすぐ僕の命は尽きようとしている。こんなことならばもっと早く勇気を出して助けを求めるべきだった。後悔しても遅いけれど。
「あぁ、死にたくないよぉ」
涙が出てくる。苦しい。息ができない。心臓が張り裂けそうだ。意識が遠退いていく。
「お願いだから誰か僕を助けて」
薄れゆく意識の中、必死に叫んだ。
しかし、誰も応えてくれなかった。当たり前だ。ここは病院なのだから。
それでも諦めきれない。最後の力を振り絞りもう一度叫ぶ。
「神様どうかお願いします。僕を死なさないでください!」
その瞬間、奇跡が起きたのだ! 突然ベッドの下が光輝き始めたではないか!! いったいなにが起こるのかと恐ろしくなって急いで布団を被る俺であったが……次の瞬間には意識を失っていたらしい。気付いた時には見知らぬ場所にいたんだ。
「うーむ。ここはどこなんだ?」
見たところ部屋みたいなんだけどなぁ。なんで俺はこんなところに居るんだろう? いやまてよ、まさかとは思うけどこれが噂に聞く異世界転移なのか!? だとしたら凄まじく嬉しい展開だぜ! だけどもしそうだとしたら俺はどんな世界に飛ばされたんだ? さっきまで普通に自分の部屋のベッドの上で寝ていたはずなのに、目が覚めたと思ったら全く知らない部屋に居たんだからな。しかもこの部屋には窓が無いし扉が一つだけ。つまり密室に閉じ込められている状態だ。
「とりあえず外の様子を確認するために外に出てみるとするか」
少しばかり緊張しながらそっと扉を開くとそこには見慣れぬ光景が広がっていた。中世ヨーロッパ風の街並みが広がっており、行き交う人々の格好はまるでゲームに出てくる冒険者のような感じである。
「おおっ! やっぱり異世界に来たみたいじゃないか!」
まさにファンタジーの世界と言った雰囲気だよな。これはテンションが上がるってもんだよ。そんな事を考えながら街を眺めていると、街の広場らしき場所に人が集まっている事に気が付いた。何かあったんだろうか?
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