テラーノベル
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🤍「お疲れ様でーす」
💚「あれ、村上、早いね」
在庫が山積みの倉庫兼休憩室で、阿部先輩が顔を上げた。手には発注用のタブレットを持っている。飲料の在庫を見ながら、発注をしているんだろう。
ここは、大学近くのコンビニエンスストア。
俺のバイト先だ。
俺はこの春上京したばかりの田舎者。阿部先輩は同じ大学に通う3年生で、サークルのコンパで知り合い、仲良くなった。
都会の大学のキャンパスは広く、俺みたいな地方学生はそのきらきらした毎日に驚くやら戸惑うやらでどうにかこうにか忙しい日々を送っていた。
実家が裕福なわけでもないので、家賃以外は全て自分で生活費を賄っている。地元がこっちの勝ち組学生たちとは違って、なかなかの苦学生だ。
阿部先輩とはこうした境遇もよく似て、話が合った。
🤍「実は先輩に手伝って欲しいことあって」
💚「なに?またレポート?」
🤍「そうです」
適当に選んだゼミの教授が、容赦ない課題を出してくる。しかも時間がかかるレポートばかり。締切にも厳しい。
阿部先輩はその教授と仲が良く、好んでゼミも入っているみたいだから手伝ってもらうには最適な相手だった。
💚「いいよ。今日上がり一緒だから家来る?」
🤍「やった。お礼に俺、飯作りますよ」
💚「いいね。村上が作る飯は美味いから」
阿部先輩の何の気なしの笑顔に、胸が躍った。
コメント
2件
出だしから尊い。後輩ラウちゃんかわゆい