これは…ヤバい…!
瞬時に危険を察知した少女は、来た道を一目散に走った。
逃げられれば追いたくなるもの。これぞ狩人の本能。
魔獣もその後に続いて走った。
人間と魔獣の追いかけっこの結果なんて知れている。人間が力尽きて負ける。
そんなことは分かっていながらも必死で走る。
ああ。くそ。なんでこんな目に。逃げてんのに裸足とかないって。てか何なんだよ、この寝巻きみたいなワンピースは。動きにくいったらありゃしないってんだ。
自分の不幸な運命にイライラしながらも必死で走る。
しばらく逃げ続け、体力も削られて来たところで、またそこら辺の茂みが揺れた。
もう…もう猫はいいって!
イライラどころか呆れて来た少女はその茂みを見つめていた。
しかし、出てきたのは猫でも魔獣でもなく、一筋の鋭い斬撃だった。
「ぅおっっ!?」
間一髪で避けたその斬撃は真後ろの魔獣に当たり、それを食らった魔獣はよろけて倒れた。
「はぁ…はぁ…っ」
避けた際にバランスを崩し、倒れ込んだ少女は呆然と魔獣を見つめた。
斬撃が飛び出てきた茂みから気配が近付いてくるのに気付くと、少女は慌てて低い姿勢で構えを取る。
がさ…がさ…。大きくなる、落ち葉を踏みしめる音と低木を掻き分ける音。
どき…どきっ…。それと一緒に大きくなる、少女の心臓の音。
!?大太刀!ヤバい…。これはヤバい…。
低木の頭から覗く大太刀には、丸腰の少女は敵わない。逃げようとするが、もうそんな体力は残っていない。
うわ、詰んだ……。
コメント
2件
え、次回めっちゃ楽しみすぎます、このお話めっちゃ好き、