我慢

朝起きて、しばらくぼーっとしていた。

そうしたら、隣で寝てるひでが起きた。

「おはよう」と寝ぼけながらも声をかけて来てくれた。

昨日あったことは、もちろん覚えている。久しぶりにメンバーに会った。嬉しかったけど、頭のどこかでやっぱり罪悪感が残っている。こんな俺がメンバーに会う資格があるのか。このままBUDDiiSにいていいのか。

h.m. …しゅーと？

s.m. …ん？

h.m. 朝ごはん食べよ？

s.m. …食欲ない.

h.m. 何日もまともにご飯食べてないんでしょ？ゆっくりでもいいから食べて.

s.m. …

叱り口調でひでに言われて、渋々朝食に向き合う。体は正直で、お腹はなっている。でも、食べる気力が出ないから、一口目が進まない。その中、ひでは何も言わずに見守ってくれた。5口目ぐらいで「もう、いらない.」って言ってしまった。それでも、ひでは「食べてくれてありがと. 頑張ったね.」って褒めてくれた。

これから、ひでと病院に行く。正直外に出るのが怖い。昨日は夜だったから何も考えないで行けたけど今日は朝方。これから出勤なのかなっていう大人もいればランドセル背負って集団で歩いている子供たちもいる。

（俺ってどういう風に見えてるのだろう）

（変って思われてるのかな）

（この世界に居ていいのかな）

足取りが重くなって前に進んでいるのに周りが早送りされている。いや、俺が遅くなっているだけだ。隣に歩いていたはずなのに、後ろにずれて行くことに気づいたひでは足を止めて駆けつけてくれた。

h.m. しゅーと？大丈夫？

s.m. …

h.m. 大丈夫. ゆっくり行こうか.

ひでは、察してくれたのか俺のペースでゆっくり歩いてくれたりすぐタクシー見つけてくれたりで、やっとの思いで病院に着いた。

診断結果はうつ病と診断された。食欲がなかったり、何をしても楽しめなかったりっていうのがうつ病の症状にあたるんだって。治療方法をどうするかって聞かれて、薬物療法とかカウンセリングとか案出してくれたけど、ひでも薬物療法だし俺もそうしようかなって思ってお薬での治療にした。

Do. 最初は10回分用意しておきます。無くなりましたら、改めて来院してください。

これで治らなかったらどうしよう。って思ったりしたら、ひでに見透かされたのか背中に手を当ててくれた。『大丈夫』って言ってくれてる気がする。

h.m. お薬もらっておうち帰ろうか.

s.m. …うん.

お薬をもらって、タクシーでおうちに帰って来た。

h.m. ふみに病院に行って薬もらったこと言うね？

s.m. …うん.

（h.m. side）

病院に行くときから、しゅーとの様子が少し変わった気がした。返事もちょっと遅れて返ってくる。気分障害は薬治療もあるからそれにしてもらった。家に帰って来てもしゅーとは上の空って感じ。

h.m. ちょっと疲れたね. ちょっと寝る？

s.m. …ううん.眠くない.

h.m. そっか.

しばらく、沈黙が流れた。

それを壊したのはひでからであった。

h.m. これからどうしていきたい？

s.m. …わかんない.

h.m. まぁ、時間はいっぱいあるから.今、体調不良で休んでることになってるけど、ずっとはさすがに難しいから、精神障害のこと世間に言う？

そう。今までは、体調不良によるお休みとして公式には出ている。だが、ずっとそれではバディも心配が募るだろう。とひでは考えたのであった。ひで自身もそうであった。

s.m. …じゃあそうする.

h.m. じゃあ、マネージャーさんに言っておくね.

また、しばらく沈黙があった.

次に、沈黙を壊したのは。

s.m. 俺、どうしたらいいんだろ.