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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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 はぁ……ついに姫咲と美桜の対面が訪れてしまった。ゴクリと唾を飲み込みリビングに足をすすめる。 ガチャリとリビングのドアを開けるといつも通り中学時代のボロジャージにお団子頭の姫咲がパソコンに向かって鬼の形相をしている。お、恐ろしい……


「ん? 隆一来たのー? やだっ! 貴女が美桜ちゃん!? やだー! 小さくて可愛いっ、リスみたい〜」


「あ、あのっ、そのっ、斉藤美桜と申しますっ!」


「うんうん、隆一から聞いてるよ〜、来週籍入れるんだってね! こんな可愛い妹が出来るなんて最高すぎるわ〜」


 姫咲がライオンなら美桜はリス。肉食動物に迫られてる小動物みたいな絵図になっている。


「姫咲、美桜が驚いてるだろ」


 姫咲から美桜を引き剥がし引き寄せる。美桜は姫咲の圧力に驚いたまま目が点、の状態のままだ。


「えー、こんなに可愛い子と結婚するなんてアンタもやるわねぇ。立派な男だったのね!」


「まじで……」


 服の裾をクイクイと引っ張られ小声で美桜が「ケーキ渡してもだ、大丈夫かな?」と耳打ちしてくる。「大丈夫だよ」と返事を返すと美桜は背筋をピンと伸ばし、もう一度姫咲に挨拶をし直した。


「あ、あのっ、おねえさんのお口に合えばいいんですけどケーキを買ってきたので、宜しかったら原稿の合間にでも食べてください。わ、私おねえさん……その、高森亜也先生の大ファンなんです! 推しの先生なんです!」


 スッと横から広志さんがケーキを受け取り「紅茶を入れてきますね」とキッチンの方へ消えて行ったと同時に爆発音のようにデカい声がキーンと耳に突き抜けた。


「やだーーーー!!! まさかの美桜ちゃんがBL好きとか最高すぎるわ! しかも私のファンって、もうこれは私たち運命よ。同志よ。」


 姫咲は美桜の手を取りぶんぶん大きく上下に振り下ろしている。美桜は美桜で好きな人を見つめるような熱い視線で姫咲を凝視しているし、なんだか面白くない状況な気がするのは気のせいか?


「美桜ちゃん! 後で色々見せてあげるわよ。隆一と広志が絡んでる写真とかね、ふふ」


「おい! それだけはまじで止めろ!!!」


「あん? なんか文句あんの?」


 ギロリと睨みつける目は獲物を睨みつけるライオンそのものだ。姫咲の目つきに怖気つきそうになるが絶対に見られたくない。


「見せるって言うならもう原稿の手伝いしないからな」


「はいはい、分かったわよ。美桜ちゃんは見たかっただろーけど、写真の代わりに隆一を参考にした原稿見せてあげるわねっ」


「わわわっ、いいんですか!? すっごく嬉しいですっ」


 目をキラキラさせて姫咲を見る美桜の眼差し。なんだか悲しくなる。ブルーな気分になっているところにタイミングよく広志さんがケーキと紅茶を運んできた。本当この人は絶妙なタイミングでいつも現れたり消えたりするな……

 四人でテーブルを囲みケーキと広志さんが入れてくれた紅茶を頂く。

 終始美桜と姫咲は腐女子トークに花を咲かせ、会話の間に割り入る隙がない。広志さんと俺は無言で女子二人の腐女子トークをBGMにケーキを平げた。


「じゃあそろそろ帰るから。これからは俺も結婚するんだからあんまり呼び出すなよな」


「それなら大丈夫! もう美桜ちゃんに許可取ってあるから! ねぇ美桜ちゃん」


 いやいや、ねぇ美桜ちゃんじゃないだろ!? 上手く美桜を乗せたな!?


「はいっ! 隆ちゃんと一緒に私も手伝いますっ!」


「おおぉいっ! 美桜!」


 満面の笑みでグッと親指を立てる美桜。いや、グッじゃないだろ……


 姫咲にサインを貰い

(美桜がいつの間にか自分の漫画を持参していた事に驚いた)

姫咲と美桜が連絡先を交換しているのを見届けて(どんな連絡を取り合うのか不安でしかない)

姫咲のアパートを出た。俺にとっては地獄のような時間でも美桜にとっては天国のような時間だったらしく、まぁ……良しとしよう。

俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜

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