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(ま、別に友達じゃないから理解する必要ないか。)
「姫菜のとこは?両親、どんな感じ?」
気持ちを切り替えて、今度は私が尋ねる。すると姫菜は、待ってましたと言わんばかりに話し出す。
「うちも相変わらず。昨日も殴り合いの大喧嘩になって警察呼んだとこ。ま、あたしは男のとこに逃げたから無傷なんだけどね。」
姫菜の両親は元ヤンで、普段は仲がいいみたい。しかし一旦喧嘩の火が付くと歯止めが効かなくなり、殴り合いまでに発展するのだ。
そして姫菜は仲がいい両親にとっては邪魔な存在らしく、邪険にされて育ってきた。
「さすが姫菜。やることが賢いね。」
「でしょ?あーあ、でも少し後悔。あのまま殺し合ってくれたら保険金入って金持ちになれたのに、みたいな。」
天井を見上げて毒々しく呟く。その言葉には感情などなく、ただひたすら無機質に響いた。
「いいね、それ。そしたら馬鹿な男に媚びる必要もなく暮らせるもんね。」
私も、とことん悪意を込めて答える。乾いた笑い声だけが小さく部屋に広がった。
とても若い女の子二人の会話とは思えないくらい重苦しい内容。
私達はいつもこうだ。会うと出てくるのは、お互いの愚痴と…
「あ。そういやさ、あれから客とれた?」
――ドキン――
心臓が脈打つ。
客、というのはもちろん援交のことだ。背中中を緊張感が襲いかかる。
今日は私が援交を止めてから初めて会う日。そのことを伝えようと思っていたのだ。
顔がひきつるのが分かる。
(何…緊張してんだろ。普通に会話のながれで言えばいいだけじゃん。)