テラーノベル
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夏らしい夕凪の中で、静かに風が吹き抜けていく。
辺りはもうほとんど夜の色だ。
「風気持ちいいなぁ」
「な。夏って感じ」
なんとなく、隣にいる背の高い後輩を見つめる。
送ると言って、荷物まで持って付いてきている変な後輩。
⋯俺を、助けてくれた後輩。
「あ、家もうそこだからここまででいいよ」
「おっけ。はいこれ荷物」
「ありがと。ぐちつぼも気をつけて帰れよー」
「へーい」
「またね〜」
「また今度ー」
ぐちつぼが帰ったのを見届けて、俺は再び家へと歩き出した。
今日は色々ありすぎたな。
朝からゾムの攻撃(挨拶)を受けて、きょーさんから本日の生徒会勧誘を受けて、屋上呼び出しされて、ぐちつぼにお姫様抱っこされて、ゲーセン行って⋯
多忙すぎん?
え、一日のことを書くのに10話かかることある???((メタ
俺は平穏に過ごせたらそれでいいのに。
「ってことで、誰っすか〜?」
くるっと振り返って人の気配がする方に視線を向ける。
誰なのかは分かってるけどね。
「⋯やっぱお前にはバレてんねんな」
苦笑しながら姿を現したきょーさん。
「そりゃそーでしょ。何年一緒にいると思ってんの」
「1億5000万年」
「流石に腐れ縁すぎでしょ」
「まあちょっと人外すぎるか」
「同じテンションで悪口返してくる人初めて見た」
「俺も初めて見たわ」
このくだりずっとやってるからそろそろネタ変えよっかな。
なんかデジャブだし。
「んで、なんの用?」
「⋯いや、」
「はいもうわかった。これは何か隠そうとしてるときのきょーさんだっ!」
「で、本題なんやけど」
「めっちゃ無視すんじゃん」
もはやすべての話を無視する逆張り聖徳太子なれそう。
俺が聖徳太子だからコンビいけるわ(?)
「お前もな。⋯あー、特に用は無いんやけど⋯」
「えーきょーさんが用がないのに話しかけてくんの珍しいねー」
「学校で話しかけとるやろ」
「あれは挨拶だからノーカウント」
「基準がわからん」
「まあまあ。それで?」
「⋯帰り道で友達見つけて、話しかけたら駄目なん?」
「え」
⋯⋯⋯⋯⋯え?
「⋯帰る」
衝撃のあまり思わずフリーズする。
そのまま踵を返して帰ろうとするきょーさん。
「っちょちょちょちょちょちょ、待て待て待て」
「待たない」
「そこは即答なんかい」
蛍光灯の影になって、顔がよく見えない。
⋯照れてる?
「⋯きょーさんまた明日ー」
振り返る代わりにひらひらと動かされる右手。
⋯俺きょーさんじゃない人と話してたかもしれん。
NEXT=♡1000
コメント
2件
えっ好きすぎる!?めちゃ最高でした!続き待ってます~(*´꒳`*)