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kaede🍁
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前の魔王は、闇落ちした目黒を上から下まで眺めると。
「……やっぱり雰囲気って大切だよね」
「何?」
パチン。
指を鳴らした瞬間。
禍々しい黒い鎧が消え、目黒はいつもの私服姿になった。
「なんで私服?」
「あべちゃん、今夜悲しんでるんだから」
前の魔王は満足そうに頷く。
「ちゃんとロマンチックに会いに行ってね」
「……どういうこと?」
「泣いてるあべちゃんのところに、蓮くんが迎えに行くの。絶対いいじゃん」
「楽しんでない?」
「楽しんでるよ」
即答だった。
「あとさ」
前の魔王は悪戯っぽく笑う。
「面白そうだから、蓮くんが異世界に来たこと、しばらくあべちゃんには内緒にして」
「なんで?」
「現実に戻ってから、何も知らないふりして甘い言葉かけ続けてみてよ」
「……。」
「一週間ね」
佐久間が笑い出す。
「絶対あべちゃん混乱するじゃん!」
「でしょ?」
「俺普通にできると思う」
目黒が言うと。
「蓮が一番怖いわ」
渡辺が呆れていた。
「じゃ、俺は用事あるから帰るね!」
前の魔王は手を振る。
「夜になったら魔王城行ってねー!」
「自由だなぁ」
宮舘が笑う。
そのまま前の魔王は姿を消した。
⸻
夜まではまだ時間があった。
そこで五人は、空を飛びながら世界を見て回ることにした。
「……すごいね」
ラウールが眼下を見る。
そこには。
以前までモンスターがいたはずの土地に、畑や家が作られていた。
人間たちが楽しそうに道を作っている。
別の町では新しい店が建ち。
森の近くには、小さな村までできていた。
「完全に平和になってるじゃん」
佐久間が笑う。
「もうRPGじゃないね」
宮舘も楽しそうだった。
「開拓ゲームになってる」
「魔王が世界平和にしてどうすんだよ」
渡辺が呟く。
「でも、あべちゃんらしいかも」
ラウールが笑った。
目黒は空から、その世界を眺める。
阿部が楽しそうにモンスターを倒して。
人間とモンスターが一緒に暮らせる方法まで考えて。
気付けば。
戦う必要のない世界を作っていた。
「……あべちゃん、頑張ったんだね」
目黒が小さく笑う。
「めめ、嬉しそう」
「うん」
早く会いたかった。
けれど。
夜になれば阿部は、自分だけ現実へ帰れないと思って泣くらしい。
その時に。
何も知らないふりをして迎えに行く。
「……。」
目黒は少し考えて。
「ちゃんとロマンチックにしよ」
「蓮、やる気になってるじゃん!」
佐久間が笑う。
五人はそのまま空を飛び続けた。
眼下には。
魔王・阿部によってすっかり平和になり、RPGからのんびりした開拓ゲームへ変わってしまった異世界が広がっていた。
そして目黒は。
夜になったら泣いているであろう阿部を、どうやって迎えに行こうか。
世界を救うことより真剣に考え始めていた。
コメント
3件

おはようございます☀ 一気に読みました。 ゲーム内と言うより完全にパロディになってる感が さて🖤💚はどうなるのかな😁😁 🖤の頭の中が花畑になりそう🥰
みらさん、第18話読みました!前の魔王の「ちゃんとロマンチックに会いに行ってね」のノリ、完全に遊んでて笑っちゃいました(笑)でも阿部ちゃんが本当に世界を平和にしてたっていう光景がじんわり来ますね…。目黒が「ちゃんとロマンチックにしよ」って真剣に考えるの、すごく優しくて好きです。どんな風に迎えに行くのか、続きが気になります!