テラーノベル
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#大人の恋愛
#ロマンスファンタジー
「麗華! こっちだよ」
私はスマホを操作するふりをしながら、彼らの動向を回しっぱなしだったスマートウォッチで撮影した。麗華というのが奥様の名前なのだろう。そして彼女を呼んだのは、スーツに身を包んだ長身でオールバックの男性。
誰だ? この人は私の知らない人だ。奥さんの知り合い…かな?
私は何食わぬ顔で二人を通り過ぎ、見つからないように物陰に隠れて様子を撮影した。
「正臣(まさおみ)クンの家、ここなの?」
「いいや。お泊り用」
「リッチ~♡」
「新居は麗華と一緒に決めるって言っただろ」
「も~♡♡ 気が早ーい♡ ATMから搾り取ってる最中だからもう少し待っててぇ♡」
なにこの絵にかいたようなクズ会話は!!??
奥さん…麗華さんって呼ばれていたな。ATMとかバカにしてるけど、きっと航大さんのことよね!?
あんなにいいひとをATM呼ばわりするなんて!!
自分のことのように怒りが沸いた。
「俺も佳子(よしこ)から引っ張ってる最中♡」
「また新しい女ぁ?」
麗華さん以外にも女性がいるんだ…。すごいな。ある意味勇者…。
そして私(本当の勇者)は物陰からスマートウォッチで彼らの様子を監視。
彼らはおしゃべりしながら腕を組み、マンション入口へと向かって歩いていく。でも大きな声で喋りっぱなし。…ばかなの?
「佳子は会社にいるお局ババだよ。俺が好みらしいから、ミツグちゃんに育成してやった」
ひぃぃ。モンスターだ!
私は戦わずに様子を見ているしかできない。
建真と同じ部類でクズ同盟組めそう。
「えー…それ、大丈夫?」
「俺もうファイブスター辞めるし平気だって。目標額貯まったら別のとこ引っ越そう」
「きゃ~~♡」
そんな会話をまき散らしながら、モンスター2匹はマンション内へ消えていった。戦闘終了。
恐ろしい戦闘に遭遇したせいもあり、帰宅すると一気に疲れて脱力した。
まさか私が他人の浮気現場の証拠を撮れるなんて。
でもこれって…チャンス!
航大さんは顔が割れているから無理だけど、GPS仕込んでパターンを明確にすれば、金さんとか北都さんに尾行してもらったりして、晴菜と建真がホテルに入る瞬間とか、今みたいなやり取りをしている様子が撮れるかも…!
よしっ。仲間に出会えたおかげでレベルもアップして、メンタルもちょっとだけ強くなって、魔王(おっと)と戦える準備ができてきた!!
さあ、こうしちゃいられない。早くさっきのデータをコピーして、航大さんに渡す準備をしなきゃ。
早速クラウドに先ほど撮影したデータを保存し、本体のデータの方は消去した。時計につなぐだけで簡単便利~。充電もできるし、録画時間が40時間という長さもいいわぁ~。
建真をどうしてくれようかと想像するだけで心が弾んだ。楽しくて仕方がない。
浮かれ気分でいると、建真が帰ってきた。うげー。最悪。一生帰ってこなくていいのに!
私は慌ててスマートウォッチを取り付け、建真を迎えに出た。
今日の戦闘で、ひどい暴言をさあ、お吐きなさい!!
このスマートウォッチがバッチリ・クッキリ、あなたの最低最悪なモラハラ証拠を撮影してくれちゃいますよぉぉ!!
「お帰りなさい♡」
建真が現れた!!
戦闘モードに突入よ!!!!
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