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「噛むな」


…は…ぁっ……っ…何なんだ、この男は…


さっさと欲を吐けばいいでしょ?

3時間という約束だから、もう時間が来るはず…ひゃ…ぅ…ン……


「考え事の余裕があるか」


唇を噛むなと、私の口内へ差し込んでいた指で唇をなぞる仕草がひどく優しい、名前を知らない男は、私の弱いところを再び擦るように突き上げる…っ……でも…イカせてはくれない。


かまわない、それが目的ではないのだから。

この無表情な男が満足しないと15万円を返せと言われそうだ。

男の体はこの上なく熱く、表情と声は冷たい。

この部屋で会った瞬間と変わりがない。


それなのに、この男は体を密着させて私の髪を撫でながら緩急自在に中を突き上げ、宥めるように優しく首筋にキスをする。

まるで愛されているかのような優しい口づけを遮るように、私は


「…は……ぁ…ぅン……」


大きく熱い息を吐いて彼の腰に足を巻き付けた。


「上等だ」


それを合図に、さらに深く交わりながら仕事だと忘れてしまいそうな快感に襲われる。

この道のプロなら客を快楽へと誘うことが出来るのだろうが、私にはそんな余裕もなく、男に優しく抱きしめられたまま、何度も力強く突き上げられ…先に絶頂を迎えてしまった。


すぐに男も達したようでホッとする。


終わった………


長く、永遠に感じられる愛撫が3時間ずっと続くのかと思ったけれど、これで役目は終えた。


私が男から離れようとゆっくり体を動かすと


「このままだ」


男の両腕がガシッ…と私を抱きしめる。


沈黙が部屋に広がったとき、ピピッ…ピピッ…3時間を知らせる高い電子音が鳴った。

私がそれを止めると


「このまま帰せない。シャワーは必要だろ?」


汗ばむ私の髪に長い指を差し込んで男が言う。

言っていることは親切なようだが、声は冷たく内容は時間オーバーの約束違反だ。


シャワーはしたいけれど、迎えも来てるからもう出ないといけない。

私が首を横に振って起き上がると


「1時間延長だ。ゆっくりシャワーして来い」


と、男がスマホを手にしたのを見て驚いた。

私がシャワーする時間に5万円を払うつもり?

そして


「俺。1時間」


それだけ言って通話を終えた男は、ぅわっ…私を抱き上げた。

喋らないようにしているけれど、声が出たのは仕方ないよね。


男は私を、この部屋にあるシャワールームにゆっくりと下ろすと


「使い方、分かるか?」


と頬を撫でながら聞く。来てすぐにシャワーしたのに…男は何を聞いてるのだろう?不思議に思って全裸の男を見上げると


「ハンドシャワー使ったのか?」


とシャワーヘッドを指差すので頷く。


「このボタン、オーバーヘッドシャワーを押せば、ここからシャワーが出る。こっちの打たせ湯ボタンを押せば、ここから湯が落下する。ベンチに座ってソフトなシルクミスト、パワーマッサージ、空気を含んだ大粒のアクアスプレー、3種の吐水はここで選べ」


自分の知るよりもワンランクもツーランクも上のシャワールームに驚く私の頭をくしゃっと撫でた男は


「40分」


と言いながら、唇を私の耳に押しつけたあと、そっとドアを閉めた。


私はデジタル時計の数字を確認してからシャンプーを始める。

全く…どうなっているのだろう……

先に受け取った15万円は確かだけれど、あとの5万円はこれじゃわからないな。


でもいいか…この時間、男の相手をさせられるわけでもないようだし、私が今すぐ欲しい金額は得ることが出来たのだから。

体を少しも痛めることなく終わったことも、ラッキーだと思わないとね。




私は、今夜手にしたお金を手持ちのお金と合わせ

2ヶ月後にイギリスへ行く。

Kingの寵愛 ~一夜のお仕事だったのに…捕獲されたの?~

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