「次の対戦相手は?」
高貴な焼肉店の匂いに包まれながら、拓哉が柚彦に行った
「まだ決まっていません、ですが組まれた相手は、誰であろうと戦います」
大きな天井が三メートルはありそうな焼肉店の個室で、暗黙の了解によって鈴子以外、全員が柚彦に質問を浴びせていた
「君と対戦したがっている小林選手が、あれこれ大口を叩いているよね、君には訓練が足りないだとか、テクニカルなスキルがないだとか―― 」
「アイツは目立ちたがり屋なだけですよ」
柚彦は笑った
「注目を集めたいんですよ、舌戦が話題になれば、SBCEが試合を組もうとするだろうと、ヤツの狙いはそこです 」
拓哉が眉をひそめた
「アイツの言う事、気にならないのかい?さんざん君を侮辱しているのに 」
「気になりません、そういう事をするのはアイツが初めてではありません、それに応じたら対戦を望む他の選手も、ことごとく同じ作戦に出ようとします、対戦相手はもっぱらSBCEの権利者に任せています」
「たしかSBCEのオーナーは君のお兄さんだったよね」
「ハイ!どういう試合を組めばいちばん注目が集まるかを決めるのが兄の仕事ですから、そこは信頼して任せています 」
「どうぞ 柚彦君」
「ありがとう 」
鈴ちゃんが水割りを作って渡してくれた、今は自分の横に座ってせっせと肉を焼いてくれている
ときどき柚彦に寄り掛かってくれるのが嬉しかった
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