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ギィィィ バタン
重いドアを閉める、低く鈍い音が部屋に響く
その音で、俺達は起きる
さとみ「……ん、ぁ……頭、重……」
ジェル「ッ⋯は?⋯どこや⋯ここ」
薄暗い廃病院の一室。
割れた窓から吹き込む風が、カーテンの切れ端をゆらりと揺らす。
床には古い薬瓶と錆びた器具が散乱し、踏むたびにかすかな音が響く。
天井の蛍光灯は点滅を繰り返し、白い光が断続的に部屋を照らす。
消毒液の残り香と湿ったカビ臭さが混ざり、息をするだけで喉が焼けるようだった。
ジェル「廃病院⋯やな」
るうと「じぇるにい⋯僕怖いです⋯」
ななもり「大丈夫だよるうちゃん、俺達がなんとかしてみせるから⋯ね?ジェルくん?」
ジェル「俺ぇ!?」
こんな状況でも明るく振る舞える二人はすごい
でもふたりだってホントは怖いんだ
ジェルくんの手は小刻みに震え、なーくんの声はかすれていた
莉犬(それならなおさらすごいよ⋯)
俺は二人の強さに心打たれた
なーくん「なんでこんな事になってるんだろ⋯」
俺は静かに、ここに来る前のことを思い出す
⋯
俺達は六人兄弟
20歳のなーくん 18歳のジェルくん 17歳の俺 15歳のさとみくんところちゃん そして13歳のるうちゃん
年は違うがとても仲が良かった
母さんたちが死んじゃって、辛くても支え合って生きてきた
助け、助けられ、何不自由なく暮らせていた
⋯のに
ある日、俺が学校から帰ってきたときのこと
その日は部活が長引き、いつもより遅く帰ってきた
だから早くみんなに会いたくて、走って帰った
ようやく家につき、意気揚々とドアを開ける
莉犬「ただいま!遅くなってごめん!」
だが、返事はなかった
莉犬「あれ?たーだーいーまー!」
どんなに声を上げても結果は同じ
嫌な予感がしてリビングへ走る
莉犬「ッ!?」
リビングに広がっている光景に俺は目を疑った
莉犬「え⋯?み、みんな?」
そこにはみんなが倒れていた
そして、それを運ぼうとする、見知らぬ男がいた
部屋は棚が倒れていたり、物が落ちていたり、抵抗の後が見える
その時
パタバタバダバダ!
莉犬「!?」
足音に気づき後ろを振り返るより早く、鼻と口を布で塞がれ、甘い薬品の匂いが肺に流れ込んだ。
声を上げようとしても喉がひゅっと鳴るだけで、世界がぐにゃりとゆがんで遠ざかった。
見知らぬ人に抱きかかえられ、俺もみんなとともに運ばれてゆく
トランクに載せられたところで、俺の意識は限界を迎えた
⋯
莉犬(俺達、どうなっちゃうんだろう⋯)
不安で胸が詰まる
恐怖で目の奥が熱くなった
?「あーあー聞こえますかぁ?」
全員「!?」
いきなり、後ろにあったモニターが光り、声が聞こえてくる
あまりの眩しさに俺は目を細め、顔を背ける
?「あーちょっと顔を背けないでよー」
ジェル「は?み、見えとんのか?」
?「見えるし聞こえますよぅ」
光に目が慣れてきた モニターを見るとそこにいたのはフードを被った男がいた
フードには羊のような黒い角と耳がついている
ななもり「誰だよお前ッ!俺達に何するつもりだよ!」
?「あーはいはい、いつものね 監禁ものの恒例セリフー」
謎の男はヘラヘラした態度で話を進める
?「俺はねぇ、んーと見ての通り羊のフードだからシープって呼んで
そんで、お前らにはもうわかってるかもだけどデスゲームをしてもらいまーす」
さとみ「デスゲームだと!?」
さとみくんが叫んだ
シープ「そーそーデスゲーム、お前らには【鬼ごっこ】をしてもらうよー
鬼の人は逃げを56す、逃げは鬼から逃げながらそれぞれに与えられる仕事をこなす
まあ、アモン◯アスみたいな感じだね。最後生き残った人だけ家に帰れるよー」
ころん「ふざけんなよ!?僕らは兄弟だ!家族を殺すなんてできっこない!」
シープ「もーうっさいなあ、やんなきゃ誰も帰れないよーここで4んだらそのままネズミに食べられ腐って、それから⋯」
るうと「あああああ!もう聞きたくない!」
るうとくんが耳をふさぎしゃがみ込んでしまう
なーくんがそばによって背中を撫でて慰める
シープ「とにかく!やらないなんてのはないから!ゲーム開始は三十分後!ばいばい!」
面倒になったのかシープを名乗る男は声を荒げてモニターの配信を切った