テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
千夏さん!是非見てください!
生きるの曲パロです!
赤×桃(桃赤)
『君に会えたから、今日もまだ。』
朝が、きた。
けれど、りうらはベッドから動けなかった。
鳴り続けるスマホのアラーム。開かないまぶた。身体は石のように重い。頭の中はもやのように濁って、心臓だけが、脈打つたびに「ごめんなさい」と繰り返していた。
――パパ、ママ。僕、また学校、行けなかった。
壁の時計が午前十時を指していた。登校時間は、とうに過ぎている。机の上には数日前に放り投げたプリントやノート、読みかけの文庫本。カーテンの隙間から射し込む陽の光が、皮肉なほど温かくて、泣きたくなった。
「ちょっとだけ……生きてみたいのにな……」
ぽつり、と言葉が漏れた。
でも、怖いのだ。明日が、他人の目が、自分の弱さが。
また笑われるんじゃないか。見下されるんじゃないか。
「変なやつ」って、言われるんじゃないか――。
そんなことばかり考えて、今日も布団にくるまったまま。
すると、玄関のチャイムが鳴った。
けたたましくもなく、けれど躊躇もなく、何度も、何度も。
「りうらー、開けろー。生きてるかー?」
聞き慣れた声が、響いた。
……ないこ、だった。
無視しても帰らないのは、わかっていた。
りうらはしぶしぶ布団から出て、ゆっくりドアを開けた。
「よかった。生きてた」
「お前……また勝手に……」
「うん、勝手に来た。だけど心配だった。最近LINEも既読つかないしさ」
ないこは、笑っていた。
どこまでも真っ直ぐで、眩しいほど明るくて、けれどどこか優しい目をしていた。
「俺さ、りうらがいない学校、つまんないんだよ」
その一言が、胸に刺さった。
りうらは言葉に詰まり、俯く。
「……無理なんだよ、ないこ。行こうと思っても、身体が動かないんだ。誰かと話すのも怖くて……また笑われるかもしれないって……毎日が、ずっと、怖い」
震える声。絞り出すような吐息。
そして、静寂。
しばらくの沈黙のあと、ないこはぽんと、りうらの肩に手を置いた。
「なあ、りうら。生きてるだけで、すごいよ」
「……え?」
「怖くても、苦しくても、今日までちゃんと生きてる。俺、それだけで泣きそうになるくらい嬉しい。だから、ありがとうな」
りうらは、堪えていた涙をこぼした。
誰にも言えなかった気持ちを、誰かに見つけてもらえたような気がした。
ひとりぼっちじゃないって、思えた。
……この世界に、自分の居場所があるかもしれないって、初めて思った。
「でもね、まだね、もっと生きたいんだ。ないこが、好きだから」
ぽろりと、言葉が落ちた。
ないこは、一瞬だけ目を見開いて、それからふっと微笑んだ。
「俺も。ずっと、そうだった。りうらが笑ってると安心するし、泣いてると一緒に泣きたくなる。……過去も、今も、これからも。お前のこと、全部、全部愛してるよ」
ああ、もう。
こんな僕でも、いいんだって――そう思ってしまうじゃないか。
りうらは、小さく笑った。
涙のあとを、袖でぬぐいながら。
カーテンを開けると、外には青空が広がっていた。
夜の星は、いずれ消える。
でも、月は今日も、確かに空にあった。
この一日が、僕の「生きた証」になるなら――
明日も、また。
「……生きてて、いいんだよな」
「当たり前。俺は、お前が生きてるだけで嬉しい」
「バカ」
「お前もな」
二人の笑い声が、静かな部屋に広がった。
明日から、また怖いこともあるかもしれない。
でも、いまこの瞬間だけは確かに、温かくて、眩しい。
それが、「君に会えた奇跡」だった。
終わったと思ったそこの君!続きもぜひw
それからの毎日は、少しだけ変わった。
いきなり学校に戻れたわけじゃない。
朝、起きられない日も、外に出られない日も、もちろんあった。
でも、りうらのスマホには毎日「おはよう」が届いた。
送り主は、決まってないこだった。
📱「おはよう。生きてる? 俺は今日、朝からパン食べた」
📱「生きてるだけで満点。気が向いたら返事くれ」
そんな短いメッセージが、毎日続いた。
返信できない日があっても、責められることはなかった。
でも、ある日ふと、りうらの手がスマホを握っていた。
📱「生きてた。今日もパン食べた?」
その一行だけの返事に、「めちゃくちゃ嬉しい!」と即返信が来た。
スマホの画面が、泣きそうになるくらい眩しかった。
少しずつ。ほんの少しずつ。
眠る時間を朝に戻してみたり、コンビニまで歩いてみたり、リビングで家族と少し話してみたり。
できなかったことが、少しずつ「できた」になっていく。
そしてある春の日。
りうらは、制服に袖を通した。
窓の外では桜が咲いていた。
「ほんとに……行くの?」
玄関で立ち尽くすりうらに、母親が涙ぐんで問いかけた。
「うん……ちょっとだけ、顔出してくる」
手は震えていた。心臓は音を立てていた。
だけど、胸には確かな想いがあった。
――怖い。でも、生きたい。君に、会いたい。
校門をくぐると、ちょうどチャイムが鳴った。
懐かしい音に、足が止まる。息が詰まりそうになる。
でも、そのとき――
「よっ、遅刻仲間発見」
後ろから声がかかった。振り向くと、ないこがいた。
制服にジャージを羽織って、パンを片手に、笑っていた。
「来るって信じてた。……いや、信じたかった、かな」
りうらは言葉を探しながら、小さくうなずいた。
「……ありがとう。あのとき、助けてくれて」
「助けたなんて思ってない。お前が自分で、ちゃんとここまで来たんだろ」
ないこは、照れくさそうに言ってから、りうらの手を握った。
「じゃ、行こっか。教室、まだ誰もいないからさ。……一緒なら、平気だろ?」
その手は温かくて、震える指先をしっかりと包んでくれた。
ふたりで歩く、長い廊下。
何かが変わったわけじゃない。でも、何かが始まった気がした。
教室のドアを開けると、桜の光が差し込んできた。
りうらは深呼吸をして、小さく笑った。
明日も、明後日も、うまくいかないことはきっとある。
でも――君と一緒なら、きっと大丈夫。
この想いは、嘘じゃない。
だから今日も、生きていく。
君に会えたから、僕はまだ――
生きていたいと思えるんだ。
――― fin.
思ってたのと違ったらごめんなさい!
今気づいたんですけど、あんまり俺とか、凛音とか、わむとか…黒さんがいる小説って書いてませんよね…ということで、かってに俺が白黒の(黒白)の小説を書きますw多分すぐに終わる!w
それではバイバーイ👋
コメント
4件
負け確定☆おわた