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#異世界転生
K-Takasaka
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K-Takasaka
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K-Takasaka
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#タイムループ
五人の武器が、倒れたK-Tへ向かって振り下ろされた。
メバルの腕も、マサカゲの槍も、カキの斧も、止まらない。
その瞬間、K-Tの指がわずかに動いた。
「……まだ、動ける」
K-Tは地面へ手をつき、ゆっくりと体を起こした。
立ち上がれるはずがない。
防具は壊れ、体には何度も攻撃を受けた跡が残っている。誰が見ても、戦える状態ではなかった。
それでもK-Tは立った。
紫色の瞳には、かすかな光が残っている。
「Kさん……?」
メバルの口から声が漏れた。
しかし、メバルの体はK-Tを攻撃しようとしたままだった。剣先がK-Tの胸へ向かって伸びていく。
K-Tは身をかわした。
メバルの剣が空を切る。
続けて、カキの斧が迫った。K-Tは一歩下がり、斧の柄をつかむ。そのままカキの体を投げ飛ばし、アオノの魔力弾をかわした。
五人を倒すことは、まだできる。
だが、K-Tは反撃しなかった。
「問題ない」
K-Tは呟いた。
「まだ、間に合う」
K-Tの視線が、草原の奥へ向く。
そこには、黒い岩山があった。
岩山の頂上には巨大な亀裂が走り、その奥で赤い光が揺らめいている。地面の下から、低い轟音が響いていた。
アオノが、洗脳されたまま淡々と話す。
「地下に高温の液体を確認。マグマの池と推定」
K-Tは、五人の体から伸びる紫色の糸を見た。
糸は胸元から伸び、空中を通って、岩山の亀裂へつながっている。
「原因は、あそこか」
K-Tが言った。
メバルは首を振った。
「待って。Kさん、何をするつもり?」
「洗脳を切る」
「どうやって?」
K-Tは答えなかった。
代わりに、落ちていた紫色の刀を拾い上げる。
刀身は、五人の体から伸びる糸を吸い上げるように明滅していた。
メバルの腕が勝手に動く。
剣がK-Tへ向かって振り下ろされた。
K-Tは刀で受け止めた。
「メバル」
「やめて、Kさん! 僕の体が止まらない!」
「分かっている」
「だったら、僕を倒して!」
「できない」
K-Tは、メバルの剣を押し返した。
「お前たちは悪くない」
その言葉に、メバルの意識が揺れる。
マサカゲの槍が、K-Tの背中へ迫った。
K-Tは振り返らず、刀の柄で槍を弾いた。カキの斧をかわし、ミステーの魔力を盾で受け止める。アオノの攻撃が地面を砕き、K-Tの足元に土煙が上がった。
それでも、K-Tは岩山へ向かって走った。
五人が追いかける。
体は自分の意思に反して動いている。だが、メバルの意識だけは、必死にK-Tを追い続けていた。
「Kさん、止まって!」
「無理だ」
「どうして!」
「止まると、全員が殺される」
岩山の裂け目へ近づくにつれ、熱風が強くなった。
マグマの池が見える。
赤く燃える液体の上に、巨大な紫色の結晶が浮かんでいた。五人を操る糸は、すべてその結晶から伸びている。
アオノが呟いた。
「洗脳の中枢。あれを破壊すれば、干渉は停止する可能性がある」
「可能性じゃない。確実に壊す」
K-Tは紫色の刀を握り直した。
「Kさん、まさか……」
メバルの声が震えた。
「僕たちも一緒に飛び込む気!?」
「違う」
K-Tが初めて、メバルを見た。
「俺一人で行く」
K-Tは、五人の体を振り切るように走った。
メバルの剣が空を切る。
マサカゲの槍が岩を突き、カキの斧が地面を砕く。ミステーの魔力弾がK-Tの背中をかすめ、アオノの魔力銃が足元を吹き飛ばした。
K-Tはふらついた。
それでも止まらない。
マグマの池の縁へ到達すると、K-Tは紫色の刀を中枢結晶へ向けた。
「これで終わる」
「Kさん!」
メバルが叫んだ。
K-Tは一度だけ振り返った。
紫色の瞳には、いつもの落ち着きがあった。
そして、わずかに笑った。
「メバル。みんなを頼む」
「嫌だ!」
「問題ない」
「問題あるって言ってるでしょ!」
K-Tは刀を抱えたまま、マグマの池へ飛び込んだ。
赤い光が大きく弾けた。
紫色の刀が中枢結晶へ突き刺さり、結晶全体に無数の亀裂が走る。K-Tの姿は、炎の向こうへ沈んでいった。
直後、紫色の糸が五人の体から一斉に切れた。
メバルの膝から力が抜ける。
剣が地面へ落ちた。
「……Kさん?」
自分の声が戻っている。
カキが斧を落とし、マサカゲが槍を手放した。ミステーはその場に座り込み、アオノは自分の手を確認している。
「洗脳反応、消失」
アオノが言った。
「K-Tは?」
マサカゲが岩山の裂け目を見る。
マグマの池は、静かになっていた。
紫色の刀もない。
K-Tの姿もない。
周囲を探しても、呼びかけても、返事はなかった。
黒い岩が崩れ、池の表面を覆っていく。
空に浮かんでいた文字も、赤い光とともに消えた。
その代わり、新たな表示が現れる。
『守護対象K-T――死亡』
『生命反応――完全消失』
『復活処理――対象外』
メバルは文字を見つめた。
「復活処理、対象外……?」
アオノが淡々と答える。
「蘇生は実行されない。K-Tは、確実に死亡した」
「そんなこと、言わないでよ……」
メバルは岩山の縁へ駆け寄った。
マグマの池はすでに黒い岩へ変わりつつある。どこを見ても、K-Tの姿はない。
ミステーが静かに言った。
「K-Tは、赤い海に還った」
「ミステーちゃん……」
「戻ってこない」
その言葉だけは、妙に正確だった。
メバルは拳を握った。
仲間を守るために前へ出て、攻撃を受けても「問題ない」と言い続けたK-T。
最後まで笑顔を作り、五人の命を救ったK-T。
もう、戻ってこない。
空に最後の文字が浮かび上がった。
『第一試練、強制終了』
『犠牲者一名』
『残存転生者、五名』
メバルは空を睨みつけた。
「僕たちを殺し合わせて、Kさんまで奪ったのは……誰だ」
返事はなかった。
ただ、遠くの城の上空に、K-Tの紫色の瞳によく似た光が一つだけ浮かんでいた。
コメント
1件
ああ……読んでいて胸がぎゅっとなりました。K-Tさん、最後まで「問題ない」って…あの口癖がここまで切なく響くなんて。仲間を守るために一人で飛び込む覚悟、本当に格好よかったです。メバルが「嫌だ!」って叫ぶシーンが特に印象に残ってます。紫の瞳の光が空に残った描写も、まだ何かあるのかなと想像が膨らみます。続きが気になって仕方ないです……!