「──今日も誰かと、してきたんですか?」
夜、セフレの合鍵で入ってきた涼音の部屋。
シャワーも浴びずに現れた陸は、珍しく不機嫌そうだった。
「ん? ああ……んー、してないよ?」
「あいまいな答え、やめてもらっていいですか」
ぴしゃり、と冷たい声。
陸がそんな口調になるのは、ほんの数えるくらい。
「えぇ〜? だってさぁ、別に君と付き合ってるわけじゃ……っ!」
涼音が笑いながら言いかけたそのとき。
──バン、と壁に押しつけられた。
「……! ちょ……」
「すみません、乱暴はしたくないんですけど。
でも俺、最近ずっと……我慢してるんです」
陸の手が、涼音の顎をそっと掴む。
「……涼音さん、俺だけ特別になれませんか」
「……っ」
目が合う。
その目の奥にあったのは、優しさじゃなくて──
独占欲に似た、何か熱いもの。
「だ、だめだよ。そういうの、しないって決めてるし。誰とも付き合わない」
「じゃあ……」
陸はふっと笑って、口元に唇を寄せる。
「……身体だけでも、特別にしてもらえますか?」
「……へ、っ……ぁ、ちょ、んんっ……♡」
吸いつくようなキス。
舌が絡んできて、腰がくずっと抜ける。
「ん、ふ……や、ぁ……♡ きみ、ちょっと強引になってきてる……」
「すみません。でも……」
服を脱がせる手は、いつもより早くて──
涼音のシャツが、くしゃっと床に落ちた。
「……もう、他の人のこと考えられないくらい、したいんです」
「や……ぁ、も、またぁ……♡ まだお風呂も──」
「俺がきれいにしますから」
そして、ソファに押し倒される。
「ッ、くっ……はぁ、ぁっ……♡ ま、た……っ、声でちゃ……!」
敏感なところを的確に責めてくる、優しくていやらしい舌。
ついさっきまで「他の男とも寝る」と言っていた涼音の口から、
甘い声と涙が止まらなくなる。
「……涼音さん、俺にだけ、こんな顔見せてるの気づいてます?」
「ん、あっ……っ♡ うる、さ……ぃ……♡」
「いいえ、もっと言います」
ぬちゅっ、と指がゆっくり奥まで──
「俺以外の男なんて、もういらなくなるくらい……
ちゃんと、特別にしてあげますから」
「んああああっっ……♡♡」
その夜もまた、涼音の泣き声は深く長く響いた。
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