テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#タグ?あぁあいつは…良い奴だったよ
#タグ?あぁあいつは…良い奴だったよ
もか
1
#タグ?んなもん食った
#タグ?あぁあいつは…良い奴だったよ
コメント
1件
いやー、読んでてめっちゃ笑ったわwww ネオンとメルポの会話が長文すぎて逆に清々しいし、心の声でさらに深掘りしてくスタイルが独特すぎて好き。特にファントムの「黙れ」に至るまでの前振りの長さと、全員でウサリナの場所を「今後の調査課題です」ってまとめるくだり、めちゃくちゃツボった。主人公が「やめようかなこのゲーム」で締めるオチも最高。情報量の暴力に笑い転げた一話だったわ🔥
ネオン(男)
「ここが音楽の世界か!! なんという壮観、荘厳、絢爛豪華、前代未聞、空前絶後、驚天動地の視覚的情報過多空間なんだ!! 私の華麗なる登場を演出するために設置されたと思われるこの光の演出、いわゆるライティングエフェクト、すなわち光源の位置・色温度・照度・反射率などの諸要素が複合的に作用することによって観測者の網膜に対して情報の暴力を行使する視覚刺激の集合体について、私はここに一定の評価を示したい!!」
(心の声:人類は古来より、光を希望の象徴として崇めてきた。文明の黎明期において火は生命維持のための熱源であり、やがて宗教的儀式、政治的権威、都市計画、さらには現代の舞台演出にまでその概念的射程を拡張した。つまり、私が今この場で光を浴びているという事実は、単なる登場演出の範疇にとどまらず、人類文明の発展史そのものに対する一種の歴史的回答である可能性が否定できない。なお、私はまだ誰とも戦っていない。)
「ところで、この世界の照明設備を担当した施工業者はどこだ? 私の登場に合わせて照度を三割増しにするよう、業務改善命令を発出しておきたい!!」
メルポ(女)
「待ってよ、ネオン!! あなたはいつも私を置き去りにして、先行逃げ切り型の人生設計を勝手に実行してしまうんだから!! 速度という概念は確かに物理学上、単位時間当たりの位置変化量として定義されるけれども、対人関係における歩調の不一致というものは、単純な速度の差異ではなく、相互理解の不足、共感性の欠如、ならびに共同体構成員としての相互扶助精神の形骸化を示唆する重大な社会的課題なのよ!!」
(心の声:兄貴が速い。私が遅い。兄貴は前方にいる。私は後方にいる。この現象を単なる運動学的事象として処理することは容易だが、そこには家族関係における役割分担の偏り、きょうだい間の心理的距離、そして現代社会における成果主義の弊害という、極めて重層的かつ多義的な問題が潜在している。なお、私は今、走っている。走りながら社会問題を考えるという行為は、酸素供給量の観点から非常に非効率的である。)
「それから、私の走行速度が遅いというご指摘については、客観的な計測データも統計的な有意差も提示されていない以上、現段階で断定的評価を下すことは科学的誠実性に反するわ!!」
ネオン
「ふっ……メルポ、お前は遅い。これは人格否定ではなく、あくまでも現時点における移動能力の相対評価であり、私としては事実と価値判断を峻別したうえで発言しているにすぎない。ところで、この世界には戦闘対象が存在しないようだな。敵影なし、交戦規定該当者なし、敵性存在の検知件数ゼロ。つまり、私が持つ高度な戦闘能力は、現在、未稼働資産として機会損失を発生させていることになる!!」
(心の声:戦うために来たのに戦う相手がいない。これは由々しき事態である。企業であれば設備投資に対する稼働率の低下、行政であれば予算執行率の停滞、国家安全保障の分野であれば抑止力の維持にかかる費用対効果の問題として議論されるだろう。だが、私の場合は戦闘能力を予算書に計上していないため、会計監査の対象外である。そもそも会計監査という制度がこの世界に存在するのか、私は確認していない。)
「誰か私と戦え!! ただし、事前に利用規約、免責事項、戦闘時の責任分界点、損害賠償責任の所在を明確にした契約書を三部作成してから来い!!」
メルポ
「あら? さっきまでは人間がたくさんいたような気がするのだけれど、現在の観測可能範囲内における人間の存在密度が著しく低下しているわね。これは集団避難、計画的移住、異次元転移、あるいは行政機関による大規模な人口移動政策の実施など、複数の仮説を想定する必要がある事象よ!!」
(心の声:人間がいない。建物はある。地面もある。空気もある。少なくとも私の呼吸活動は継続している。したがって、生命維持に必要な環境条件が完全に消滅したわけではない。しかし、人間が存在しないという一点のみをもって、この世界が無人世界であると結論づけるのは早計であり、観測者の認知能力の限界、サンプリングバイアス、測定対象の定義、さらには「人間とは何か」という哲学的命題にまで検討範囲を拡大する必要がある。ところで、私はウサリナを探している。)
「もしかしたら、みんな有給休暇を一斉取得したのかもしれないわね。労働者の権利を尊重することは重要だけれど、世界全体が同時に休業する場合には、社会インフラの維持管理責任を誰が負うのかという問題が発生するのではないかしら!!」
ネオン
「ボスはまだ来ないのか!? 待機時間が長期化している!! これは単なる待ち時間の問題ではない。組織運営における意思決定の遅延、上意下達システムの伝達効率、指揮命令系統の冗長性、さらには現場職員の心理的安全性を損なう構造的欠陥を示す兆候である可能性がある!!」
(心の声:私はボスを待っている。ボスが来ない。私は待っている。待つという行為は、時間の経過を受動的に受容することである。しかし、現代社会において受動性はしばしば生産性の低さと混同され、何もしない時間は無価値な時間として評価される傾向にある。だが、待機は軍事行動においても、医療現場においても、交通管制においても必要不可欠なプロセスであり、待つことそのものを否定する社会は、やがて待つべき瞬間を見誤るだろう。私は何を言っているのだろうか。ボスはまだ来ない。)
「私は今後、この待機時間を労働時間として正式に申請し、必要に応じて時間外勤務手当の支給を求める所存だ!!」
リス(女)
「まあまあ、皆さん、どうか冷静になってくださいませ。そもそも正義の味方という概念は、物語構造において主人公側に道徳的優位性を付与するために設計されたナラティブ上の装置であり、現実の社会秩序において必ずしも客観的正義と一致するとは限りません。したがって、正義の味方が不在であることは、我々の活動を妨げる制度的障壁が存在しないことを意味する可能性があり、世界征服事業の円滑な遂行に関しては、一定の優位性が認められると考えられますわ!!」
(心の声:正義とは何か。悪とは何か。誰が定義し、誰が判断し、誰がその判断を社会に流通させるのか。人間社会は長い歴史の中で法体系、倫理規範、慣習法、宗教的教義などを構築し、共同体の維持に努めてきた。しかし、その規範が普遍的なものなのか、それとも時代や地域によって変容する相対的なものなのかについては、今なお議論が続いている。つまり、我々が世界を支配するという行為も、支配される側から見れば侵略であり、我々自身から見れば秩序の再編である可能性がある。なお、私は今、世界征服に賛成している。)
「それと、世界征服を開始する前に、念のため住民説明会とパブリックコメントの募集期間を設けておくべきではありませんこと? 反対意見が一件も寄せられなかった場合でも、周知義務を果たしたという実績は残りますものね!!」
メルポ
「そんなこと言わないでよ、リス!! もしかしたら、ガチャ召喚士が戻ってくるかもしれないじゃない!! ガチャ召喚士とは、我々の行動計画に対して不確実性をもたらす外部要因であり、リスクマネジメントの観点から見れば、事前に対策を講じるべき潜在的脅威として分類される存在なのよ!!」
(心の声:もし戻ってきたらどうしよう。戻ってこなかったらどうしよう。戻ってきたのに戻ってきたことをこちらが認識できなかったらどうしよう。そもそも「戻る」という言葉には、以前いた場所に再び到達するという意味が含まれているが、異世界間の移動において位置情報はどのように定義されるのだろう。座標系が異なる世界同士を接続する場合、基準座標系の変換と時間軸の同期が必要になるのではないか。私はウサリナを探しているだけなのに、なぜ宇宙論に足を踏み入れているのだろう。)
「あと、ウサリナを見つけた場合の保護責任者、移送方法、連絡体制、緊急時の対応フローについても、あらかじめ合意形成を図っておく必要があると思うの!!」
リス
「大丈夫ですわ、メルポ。あの召喚士も、長期間にわたる異世界間移動とガチャゲームの連続的プレイによって、注意資源の分散、認知的疲労、意思決定能力の低下などを経験している可能性があります。さらに、複数のゲームタイトルを横断的にプレイする行動様式が定着している場合、我々の世界に再訪する優先順位が相対的に低下していることも十分に考えられますわ!!」
(心の声:つまり、相手が戻ってこない可能性を根拠に安心するという、極めて受動的かつ楽観的なリスク評価を実施しているわけです。一般に、リスク管理とは脅威の発生確率と影響度を評価し、対策の優先順位を決定する一連の活動を指します。しかし、発生確率を算出するためのデータが存在しない場合、評価者は主観的な推定に依存せざるを得ません。私は今、その主観的な推定を極めて長い文章で正当化しています。)
「仮に戻ってきた場合でも、召喚士の方に対して適切なご案内を行い、必要に応じて世界征服に関する事前説明資料をお渡しすれば、円満な合意形成が可能となるかもしれませんわね!!」
ネオン
「ふん!! 仮にそのガチャ召喚士とやらが戻ってきたとしても、私が一瞬で叩き潰してやる!! ただし、これは単なる感情的な威嚇ではなく、私自身の戦闘能力に対する自己評価、および敵対的存在に対する抑止力の提示を目的とした戦略的コミュニケーションであり、実際の戦闘結果を保証するものではない!!」
(心の声:強いと言うことと、実際に強いことは必ずしも同義ではない。自己認識と客観的評価の間には認知バイアスが介在する可能性があり、特に自信過剰効果は個人の能力評価において重要な研究対象となっている。しかし、ここで自分の弱点を分析し始めると、戦闘前に自己分析報告書を完成させるという本末転倒な事態に陥るため、私は今後も自信を持って敵を倒すと発言し続けることにする。)
「なお、実際の戦闘が発生した場合には、戦況の変化に応じて柔軟な対応を実施し、必要に応じて撤退戦略を含む代替案を検討するものとする!!」
メルポ
「兄貴、かっこいい!! その発言には、勇猛果敢、天下無双、電光石火、疾風迅雷、百戦錬磨といった四字熟語を一括して贈呈したいくらいの迫力があるわ!! ただし、これらの語句が本来持つ意味と、兄貴の実際の能力がどの程度一致しているのかについては、現時点で十分な検証がなされていないため、今後の実績をもとに評価を更新していく必要があると思うの!!」
(心の声:兄貴は強い。兄貴はかっこいい。兄貴は私の兄である。ここまでは確定事項だ。しかし、兄貴が最強であるかどうかは別問題である。最強という概念を定義するためには、比較対象の範囲、評価指標、戦闘条件、特殊能力の適用範囲などを明確にしなければならない。つまり、兄貴を最強と認定するためには、まず最強認定委員会を設立し、その委員会の設置目的と権限を規定し、認定基準を公開し、異議申し立ての制度を設ける必要がある。兄貴、私はあなたを褒めたいだけなのに。)
「でも兄貴!! 私たちの本来の目的はウサリナを探すことだから、戦闘行為に過度なリソースを配分しすぎるのは、組織目標との整合性という観点から考えると、必ずしも合理的ではないかもしれないわ!!」
ネオン
「メルポ、静かにしろ!! 私は自分がボスに勝てないことくらい理解している!! 組織内の戦闘能力に関する序列を把握することは、指揮命令系統の安定化、適切な役割分担、そして無用な内部対立の防止という観点から重要な意味を持つ!! したがって、私はボスに対して敬意を払いながらも、必要に応じて自分の意見を表明し、組織の発展に寄与する姿勢を維持する所存である!!」
(心の声:私は強い。しかし、ボスはもっと強い。強さには上限があるのか。上限があるとすれば、それは物理的なエネルギーの限界なのか、それとも物語上の設定によって規定された相対的な限界なのか。ゲームにおける能力値は数値として表現されることが多いが、物語上の演出は数値化できない要素を含んでいる。したがって、私の強さを厳密に数値化するためには、ステータス画面だけでなく、演出上の補正値も考慮する必要がある。誰か、この研究に研究費をください。)
「そして、ボスが来たら私は最大限の忠誠心をもって挨拶する!! ただし、膝をつく角度については、関節の可動域と床面の摩擦係数を考慮して決定する!!」
リス
「おや、あちらからファントム・リーパーがいらっしゃったようですわね。彼の登場は、組織内の戦力再編における重要な転換点となる可能性があります。なお、死神という肩書きが社会的にどの程度の職業的専門性を担保するものなのか、また、その業務内容が一般的な労働法制の適用対象となるのかについては、私としても関心を持っているところですわ!!」
(心の声:死神にも労働時間があるのだろうか。休憩時間はあるのだろうか。有給休暇は取得できるのだろうか。そもそも死神という職業において、成果指標はどのように設定されているのだろう。処理件数なのか、業務の正確性なのか、対象者への説明責任なのか。仮に成果主義を導入した場合、過度なノルマが発生する可能性も否定できず、労働者の心身の健康に対する配慮が必要となる。私は世界征服の準備をしているはずなのに、労働環境の改善について考えている。)
「ファントムさん、もし差し支えなければ、後ほど雇用契約書と福利厚生制度について情報交換をお願いできますかしら!!」
ファントム(男)
「影の世界から、お前たちの声はすべて聞こえていた。騒々しい子供たちめ……。音響学的に考察するならば、音声波形が媒質を介して伝播し、受信側の聴覚器官によって検出されるという現象は、物理法則に従った自然な帰結である。しかし、私が今ここで問題視しているのは音圧レベルの絶対値ではなく、会話の内容が持つ情報密度と、それに対する発話者の自覚の欠如である。すなわち、お前たちは一分間に数百の語句を発しているにもかかわらず、その発言が最終的に何を意味するのかについて、必ずしも明確な結論を提示していない!!」
(心の声:うるさい。非常にうるさい。だが、うるさいとだけ言ってしまえば、私の発言は彼らの長大な発言群に対する情報量の不足という問題を抱えることになる。そこで私は、音響環境の改善、会話における発話権の配分、情報伝達効率の最適化、組織内コミュニケーションの合理化という複数の概念を導入することで、単純な苦情を制度的提言へと昇華させることにした。しかし、本音はただ一つである。)
「黙れ。私の鼓膜にも業務上の限界がある。」
ネオン
「なんだと、裏切り者!! お前は以前の戦闘においてガチャ召喚士に敗北したという事実を、現在の戦闘能力の評価にどの程度反映させているのだ!? 過去の敗北は経験学習のための重要なデータであり、適切な振り返りと改善策の立案を通じて、将来的なパフォーマンスの向上につなげることができる!! にもかかわらず、お前が再び世界を破壊すると宣言するのであれば、私はその事業計画における実現可能性、費用対効果、リスク許容度、そして撤退基準について、事前の説明を求める権利がある!!」
(心の声:私はファントムを責めている。しかし、私はボスにも勝てない。ファントムは召喚士に負けた。私はファントムの敗北を批判しているが、自分自身の将来的な敗北可能性については、まだ具体的な検討を実施していない。これは認知的不協和と呼ばれる現象に類似している可能性がある。人間は自らの信念と行動が矛盾した場合、その不一致を解消しようとする傾向がある。私は人間ではないが、今のところ自分の発言の矛盾を解消する予定はない。)
「というわけで、今後の戦闘に向けた事前検討会議を開催し、議事録を作成し、参加者全員の承認を得たうえで、戦闘開始の可否を決定することを提案する!!」
ファントム
「私は二度とガチャ召喚士に敗北しない。今回こそ音楽の世界を完全に破壊し、あらゆる存在を影へと変貌させる。これは単なる復讐心に基づく衝動的な行動ではなく、過去の敗北によって損なわれた自己効力感を回復し、組織の戦略目標を達成するための長期的な取り組みである。なお、世界の破壊という目的が達成された場合、その後の社会秩序を誰がどのように維持するのかについては、現時点では具体的な制度設計が完了していない!!」
(心の声:世界を破壊したら、その後はどうするのだろう。建物がなくなったら住む場所がなくなる。住む場所がなくなれば生活基盤が失われる。生活基盤が失われれば経済活動が停止する。経済活動が停止すれば税収が減少する。税収が減少すれば公共サービスの維持が困難になる。公共サービスの維持が困難になれば、世界征服後の行政運営に深刻な支障が生じる。つまり、世界を破壊する前に、破壊後の行政計画を立案しなければならない。私は復讐のために来たのに、なぜ次年度予算の策定をしているのだろう。)
「まずは世界破壊後の行政機構、税制、社会保障制度、交通インフラ、教育機関の再編について検討し、必要に応じて外部の専門家を招聘する!!」
リス
「ファントムさん、その復讐心については理解できますわ。ただし、感情的な動機を持つことと、その動機に基づく行動のすべてが合理的であることは、論理学的にも倫理学的にも同一視できません。特に、過去の損失を取り戻そうとするあまり、さらなる損失を招く行動を選択してしまう現象は、意思決定論において慎重に扱うべき課題ですわ!!」
(心の声:復讐には費用がかかる。時間もかかる。労力もかかる。さらに、復讐の対象が存在しなくなった場合、目的そのものが失われる可能性がある。これは事業継続計画における単一障害点の問題に似ている。目的を一つだけに依存した計画は、その目的が達成不能になった際に全体が停止する危険性を持つ。したがって、ファントムさんには複数の目標を設定し、復讐以外の活動にも一定の価値を見いだすことを推奨したい。たとえば、趣味、旅行、料理、資格取得などである。)
「ところでファントムさん、世界破壊事業に関する損害保険の加入状況はいかがでしょうか。保険金の支払い対象に該当するかどうかは、契約内容と事故の定義によって異なりますわ!!」
【第五章:ついに支配者が現れるが、登場しただけで説明会が始まる】
ヴァイナル(男)
「腐敗の影は、いずれこの世界のすべてを支配する。これは確定的未来の予言であると同時に、我々が掲げる中長期的な組織運営方針を象徴する理念の表明でもある。私は、世界各地に点在するクラブを順次掌握し、影の勢力圏を段階的に拡大することで、最終的には既存の秩序を根本的に再編する計画を推進する。ただし、ここで言う『支配』の定義については、政治的主権の獲得、文化的影響力の拡大、経済的資源の管理、情報流通経路の掌握など、複数の解釈が成立し得るため、関係者間で統一的な認識を形成することが望ましい!!」
(心の声:私はボスである。ボスとは組織において意思決定権限を持つ立場を指すことが多いが、権限を有することと、その判断が常に正しいことは別問題である。権力の集中は意思決定の迅速化に寄与する場合がある一方、情報の偏在、異論の抑制、監督機能の形骸化といった副作用を生み出す可能性がある。したがって、私が世界を支配する場合には、権限の適切な分散と透明性の確保が必要になるかもしれない。しかし、透明性を確保すると私の行動計画が敵に知られる可能性がある。私は今、世界征服におけるガバナンスのあり方について悩んでいる。)
「以上の方針について、質問、意見、異議申し立て、補足説明、代替案、参考資料、ならびに関連する専門的知見がございましたら、所定の様式に従ってご提出ください!!」
ネオン
「ボス!! お待ちしておりました!! さあ、この世界をめちゃくちゃにしましょう!! なお、世界をめちゃくちゃにするという表現については、秩序の破壊、既存制度の再編、文化的規範の変容、物理的環境の損壊など、複数の意味に解釈できるため、実施に先立って対象範囲を明確にする必要があると考えます!!」
(心の声:ボスが来た。私は嬉しい。だが、嬉しいという感情をそのまま表現すると、私の語彙能力に対する評価が著しく低下する恐れがある。そこで私は、喜びという主観的感情を組織運営上の期待値の上昇として再定義し、上司の登場による士気向上効果という形式で説明することにする。これにより、私の発言は一見すると合理的になるが、内容そのものは特に変化していない。)
「ボス、私は本日も忠誠心を最大限に発揮し、必要に応じて柔軟な対応を実施し、あらゆる課題に対して迅速かつ適切に対処することをここに宣言いたします!!」
ヴァイナル
「愚か者よ、我が前に立つのであれば、まず膝をつくべきではないか。これは君主制的な権威構造において、上位者と下位者の関係性を身体的動作によって可視化する象徴的儀礼である。もっとも、膝をつくという行為が必ずしも内面的な忠誠心を保証するわけではなく、外形的服従と内面的同意の間には概念上の区別が存在する。したがって、私は今後、形式的な礼儀作法だけでなく、組織構成員の心理的納得度についても適切に把握していく必要がある!!」
ネオン
「あっ!! 申し訳ございません、ボス!! いや、ヴァイナル様!! いや、組織内の呼称に関する統一基準が未整備であるため、現在の私の呼び方には制度的な曖昧性が存在しております!! 今後は呼称ガイドラインを策定し、役職名、個人名、敬称の使い分けを明確化することで、コミュニケーション上の混乱を未然に防止することを提案いたします!!」
ヴァイナル
「冗談だ。そんなに緊張する必要はない。私たちはチームとしてこの世界を腐敗させるのであり、相互信頼と協調的行動を基盤とする組織文化の醸成こそが、長期的な目標達成に不可欠な要素である。私は君たちを単なる命令の受け手として採用したのではない。君たちがそれぞれ保有する影の能力を磨き、専門性を高め、組織全体の能力向上に貢献することを期待している!!」
(心の声:私は今、部下に対して人材育成の重要性を説明している。採用、人材配置、能力開発、評価制度、組織文化、心理的安全性。これらは現代の組織論において重要な論点である。しかし、私の最終目標は世界征服である。世界征服を行う組織において、部下の心理的安全性を確保することは、倫理的な観点からどのように評価されるべきなのだろうか。そもそも世界征服に倫理審査委員会は必要なのだろうか。必要だとすれば、委員会の委員は誰が任命するのだろうか。私は自分で任命するつもりだが、それでは独立性が確保されないのではないか。)
「というわけで、今後は私をボスと呼んでも構わないし、ヴァイナルと呼んでも構わない。なお、呼称に関する規則は、状況に応じて適宜見直すものとする!!」
メルポ
「ヴァイナルさん、ありがとうございます!! 私は今のお言葉を聞いて、組織における心理的安全性と個人の自己実現が、いかに重要な役割を果たすかを改めて認識いたしました!! 人間が能力を発揮するためには、単に命令を受けるだけでなく、自らの意思によって行動し、その結果について責任を負う機会が必要であると考えられます!!」
(心の声:私は世界征服のために採用された。しかし、世界征服のために自分の能力を磨くという行為が、自分自身の成長にどの程度寄与するのかは不明である。私はウサリナを探したい。兄貴と一緒にいたい。できれば帰りに甘いものを食べたい。これらの個人的な願望と、組織の戦略目標が一致するとは限らない。したがって、個人の幸福と組織の成果をどのように両立させるかという問題は、今後の重要な検討課題である。)
「それから、私たちの組織にも定期健康診断、休暇制度、相談窓口、そして福利厚生としてのお菓子支給制度を導入していただけると、従業員満足度が向上すると思います!!」
【第六章:五人で世界を腐敗させる前に、なぜか採用面接の話になる】
ヴァイナル
「ネオン、メルポ、リス、ファントム。私は君たちを採用した。なぜなら、君たちには影の力を研鑽し、その潜在能力を顕在化させ、組織的な目標達成に資する高度な能力開発を実現できる可能性が認められたからだ。採用とは、単に現在の能力を評価するだけでなく、将来的な成長可能性、環境への適応力、チーム内での協働性などを総合的に判断するプロセスである。したがって、私は今後も人材ポートフォリオの最適化を継続し、組織全体の持続可能性を高めていく所存である!!」
(心の声:世界征服のための人材ポートフォリオ。冷静に考えると、かなり物騒な単語の組み合わせである。一般的にポートフォリオとは、複数の資産や能力を組み合わせ、リスクとリターンのバランスを管理する考え方を指す。しかし、私が管理しているのは資産ではなく、個性の強い部下たちである。ネオンは長文を発し、メルポは長文を発し、リスも長文を発し、ファントムも長文を発する。私も長文を発する。つまり、この組織における最大のリスクは、会話が終わらないことである。)
「我々五人は、世界各地のクラブを腐敗させ、影の同盟者を増やし、最終的には世界規模の影響力を確立する!!」
ファントム
「ところで、五人という人数を前提としているが、我々の組織における正式な構成員数は、指揮官を含む五名という理解でよいのだろうか。組織図の作成においては、役職と構成員の区別が重要であり、指揮官が構成員数に含まれるかどうかによって、部下の人数や管理範囲に関する認識が変化する可能性がある!!」
(心の声:五人で世界を征服する。少ないのではないか。いや、少数精鋭という考え方もある。だが、少数精鋭を成立させるためには、各構成員の能力が高いことに加え、情報共有と役割分担が適切に機能している必要がある。現在の我々は、役割分担を話し合うたびに全員が長文を発するため、情報共有の効率性に疑義が生じている。私はこの問題を解決するため、会議時間を短縮することを提案したい。提案文書は全二十ページである。)
「さらに、世界各地のクラブを掌握するにあたり、地域ごとの文化的差異、制度的特徴、既存組織との関係性などを考慮した段階的な実施計画を策定する必要がある!!」
リス
「それは重要なご指摘ですわ。特に、世界規模の事業を実施する場合、地域ごとの特性を無視した一律的な施策は、現地の実情との乖離を招く可能性があります。したがって、事前調査、関係者との協議、影響評価、実施後のモニタリングという一連の手続きを設け、継続的な改善を行うことが望ましいと考えられますわ!!」
(心の声:世界を腐敗させる計画なのに、実施後のモニタリングを行うらしい。しかも、改善を継続するらしい。つまり、我々は世界を腐敗させた後、その腐敗状況を測定し、目標値に到達していなければ改善策を実施することになる。腐敗の定義を数値化するには、どのような指標が必要なのだろう。影の濃度なのか、住民の幸福度なのか、組織の支配率なのか。住民の幸福度が上昇した場合、それは腐敗の成功なのか失敗なのか。私は今、悪の評価指標に関する研究計画を立案している。)
「それと、事業の成果を評価する際には、定量的な指標だけでなく、定性的な評価も組み合わせることが望ましいですわね!!」
ネオン
「ボス!! ウサリナの捜索については、どのような優先順位で実施すべきでしょうか!! 対象者の発見を最優先とするのか、それとも影響範囲の拡大と並行して実施するのかによって、必要な人員配置や時間的資源の配分が変わってきます!!」
ヴァイナル
「その前に、ネオンとメルポの小さなプリンセス、ウサリナを捕獲する必要がある。彼女は私の宝物を持って影の世界から逃げ出した。その宝物、アルティメット・レコードを取り戻せば、さらなる英雄の魂を腐敗させるために利用できる!!」
メルポ
「ウサリナ!! いったいどこにいるの!? 私たちはあなたを探しているのよ!! あなたが現在どのような環境に置かれているのか、どのような心理的状態にあるのか、そして我々との再会についてどのような認識を持っているのかについて、私は十分な情報を持っていないけれど、だからこそ事実確認を行い、双方の認識の差異を埋めるための対話を実施することが重要だと思うの!!」
(心の声:ウサリナを見つけたい。だが、見つけた後に何をするのか。宝物を取り返す。本人を連れて帰る。それで終わりなのか。そもそも本人の意思はどうなるのか。目的達成を優先するあまり、対象者の意思を軽視することは、倫理的な観点から問題がある可能性がある。私は敵側の人間なのに、急に人権について考え始めてしまった。これは組織内研修の成果なのだろうか。それとも、単にお腹が空いてきただけなのだろうか。)
「ウサリナ!! もし聞こえていたら、まずは安全な場所でお話ししましょう!! その際には、双方の主張を整理したうえで、必要に応じて第三者の立ち会いをお願いし、合意形成に向けた協議を進めたいと思います!!」
ネオン
「ウサリナ!! どこに隠れているんだ!! 早く出てこい!! なお、隠れている場所を特定する際には、周辺環境の調査、目撃情報の照合、移動経路の推定などを組み合わせた包括的な探索活動が有効であると考えられる!!」
ヴァイナル
「よろしい。諸君、出発せよ。必ずやアルティメット・レコードを取り戻し、さらなる影の勢力を拡大するのだ。私は影の世界へ戻る。成果を上げずに帰還することは許されない。ただし、任務の遂行に際しては、状況の変化に応じた適切な判断を行い、必要な報告を適時実施することを忘れるな!!」
メルポ
「了解しました、ヴァイナルさん!! それでは皆さん、捜索活動を開始しましょう!! まずは目的地の確認、担当区域の割り当て、連絡手段の確保、緊急時の集合場所の設定、そして活動終了後の報告方法について、順序立てて確認する必要があります!!」
ネオン
「よし!! それでは行くぞ!! ウサリナ、待っていろ!! 我々の捜索活動は、単なる個人的な探索行動にとどまらず、組織目標の達成、資産の回収、影の勢力圏の拡大、そして世界規模の秩序再編に向けた重要な第一歩となるのである!!」
(心の声:私は今からウサリナを探しに行く。だが、ここまでの会話で、私はウサリナを探すために必要な情報をほとんど得ていない。得たものといえば、光の演出に対する評価、労働環境の改善案、組織のガバナンス、世界征服後の税制、腐敗の評価指標、そして膝をつく際の関節可動域に関する考察である。情報量は膨大だ。しかし、目的地は不明である。これは情報過多による意思決定の麻痺、すなわち分析麻痺に類似した状況なのかもしれない。私はこれから、まず何をすればよいのだろうか。)
「ところで、ウサリナってどこにいるんだ?」
全員
「それは今後の調査によって明らかにしていくべき重要な課題であり、現時点で確定的な結論を提示することは、情報の正確性および分析の客観性を担保する観点から適切ではないと考えられます!!」
(心の声:誰も知らない。)
【最終章:主人公、ついに限界を迎える】
Gacha DJ(主人公)
「……」
(心の声:私はこのゲームを遊んでいたはずだ。音楽の世界に登場するキャラクターたちが、敵を探し、仲間と合流し、ボスの指示を受け、宝物を取り戻す。その程度の物語を想定していた。ところが、画面の向こう側では、光源の照度から組織統治の透明性、労働環境の改善、世界破壊後の税制、死神の福利厚生、さらには腐敗の定量評価に至るまで、あらゆる概念が際限なく増殖している。しかも、その大部分は本来の目的と直接的な関係がない。私は今、物語を理解するために物語の外部へと退避し、情報処理能力の限界と向き合っている。ゲームとは娯楽である。娯楽とは、必ずしも高度な専門知識を必要とするものではない。しかし、ここでは四字熟語が飛び交い、専門用語が乱立し、壮大な社会的考察が展開され、誰も結論を出さない。私は召喚士である。キャラクターを召喚する者である。文章を召喚する者ではない。もう十分だ。これ以上の情報を受け入れた場合、私の脳内における情報処理システムの可用性が著しく低下し、日常生活における意思決定能力にまで影響が及ぶ可能性がある。私は今、極めて重大な決断を下す必要がある。それは、この物語の続きを読むかどうかではない。このゲームそのものとの関係性を、今後どのように維持していくかという問題である。私は静かに画面を見つめ、長い沈黙の末に、すべての社会的責任と専門的知見を放棄して、たった一つの結論へとたどり着いた。)
Gacha DJ
「……やめようかなこのゲーム。」
完。