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目を覚ますと俺はふかふかのベッドの上にいた。こんなに安心して熟睡できたのは数日ぶりだ。あたりを見渡すと隣のベッドで治療されたのであろうアグニスが横たわっていた。その様子を見て本当にここに来て良かったと思えた。眠い目を擦っているとキィィと扉の開く音が聞こえた。そちらの方に目を向けると医者らしき人が部屋に入ってこようとしていた。その人は起きている俺を見て驚いたように
「起きましたか…!」
俺はその言葉に返事をした後アグニスは大丈夫なのかと聞いた。
「アグニスさんは肩を噛まれた所の傷は深いのですが命に別条はありませんので、2.3週間程治療をすれば回復すると思われます。」
そう言った後医者は少し顔を曇らせ
「ですが…その…街の皆の決定でアグニスさんが回復なさったらすぐにこの街から退去するようになってしまって…」
すみません…と医者は何度も頭を下げる。その様子と決定に俺は少し戸惑いながらも、仕方ないかと了承した。
一方で…
ネモフィラは何とかその場にいた幻影獣を全て倒し切ることに成功した。だが、その頃には体はボロボロで立って歩くことすらままならない状態だった。烏の鳴き声が聞こえる。
「ここまで…かしら?」 そんな事を考えながら彼女は意識を落とした。
次に目を覚ますと誰かの家のベッドの上で横たわっていた。起きあがろうとすると激痛が走る。よく見てみると包帯や薬が塗られており、治療してくれた形跡が残っていた。良い人に助けられたんだろうと感謝をした。そんな事を考えていると美味しそうな匂いが漂っていることに気がついた。そして、その匂いが近づくにつれて足音も聞こえてきた。少し経つと部屋の扉が開き女の人が食事を運んできてくれた。起きている彼女の方を見て驚いた顔を見せた。
「起きたんだね…!」
そう言い女の人は持っていた食事を近くのテーブルに置きこちらに近寄ってきた。
「ありがとう。私を助けてくれて…」
そう彼女が言うと女の人は頭を横に振り
「気にしなくていいんだよ。」
女の人は微笑む。
「ねぇ、あなたの名前は?」
そう聞くと少し意外そうな顔をして答えてくれた。
「あー。私は…マーラって呼んでくれ。」
「わかったわ。マーラね。私の名前はネモフィラよ。治療ありがと、」
マーラは微笑み「気にするな」と言った。
その後何故あんな所で死にかけていたのかをマーラに聞かれたので事情を説明した。
「そうか…では逃げた仲間の所へ行かねばならいのか。だが、今は行かせられないよ。その体では到底無理だろうからな。1ヶ月程は安静にしとかなくてはならない。 」
そう言われ彼女は何度もマーラに抗議したが全く聞き入れてもらえなかった。考え、彼女はマーラと同伴でこの家の周りを探すだけなら良いかと提案をした。すると、マーラは最初の提案を却下した罪悪感からなのだろうか「まぁそれなら。」と承諾してくれた。それから彼女達は回復するまで一時一緒に暮らすことになった。