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さて。彼女が俺に対して心を開いてくれたのでこれで彼女について少し知ることが出来るようになったが、果たして推定8歳くらいの子が色々知ってるとは思えないが聞かないと分からないのもまた事実。

「お兄ちゃん?」

「ん?」

「お兄ちゃんお名前なぁに?」

「俺か?俺はミナルって言うんだ」

「ミナル!ミナルお兄ちゃん!!」

「お、おぉ。」

ま、まずい!?こんなに無垢な少女の笑顔とお兄ちゃん呼びは新たな扉が開きかけてしまう!?これでは本当にロリコンお兄さんという不名誉が授与されてしまう!

「ちなみに君の名前は?」

「私?私……名前分かんない。」

「あ……。なんかごめんな」

「うぅん大丈夫!ミナルお兄ちゃんが今はいるから平気だよ!」

あぁ……。この子は俺が守らないといけない。今ここで確信しました。こんな天使のような子を奴隷少女にした親御さんや、奴隷商人にはこの子以上に酷い目にあってもらおう。まぁ、痛い目にあってもらいたくても俺の実力では何も出来なさそうなんだけど……。

「でもそうだなぁ…。やっぱり名前は欲しいよな。可哀想なのもあるが一番は俺が困る」

「じゃあミナルお兄ちゃん名前考えて!!」

「しかし俺のネーミングセンスではろくなのにならないんだよなぁ…。」

「ミナルお兄ちゃんが考えてくれたのならなんでも嬉しい!」

「そ、そっか……。」

あぁ、もう俺はロリコン変態お兄さんという汚名を背負って生きるしかないんだ。ここで確信に変わったよ。守ることと同時に変態ロリコンお兄さんとかいう汚名を背負うよ。

仕方ないだろ!助けた時は気づかなかったがお風呂に入れて土汚れとかをとったら、白い肌にスカイブルーの瞳。そして黒髪のボブ。こんなに可愛い要素を詰め込んでるんだ!それに対して可愛いという言葉を使わないのはむしろ失礼にあたる。そして、今の特徴から在り来りだが違和感ない名前を考えた!

「そうだな……。その蒼い瞳から『マリン』という名はどうだ?」

「マリン……。うん!可愛い名前私気に入ったよ!」

「なら良かった。」

よし。底辺で実力ないけど高難易度クエスト行って金稼ぐしかないな。この子の笑顔を守れるなら今なら命は惜しくない。

「それじゃあマリン。分かる範囲でいいから君が何故あそこに居たのか教えてくれる?」

「うん。私どれいって言う扱いを受けててね。殴られたり蹴られたりしてきたの。それに耐えられなくて逃げてきたんだ。」

「お母さんやお父さんは?」

「分かんない。お母さんもお父さんも習い事って言って私を知らないおじさんに預けてから会えてない。」

なるほどやはりクズか。そうなると絶対親御さんの元には返さない方がいいな。残る選択肢としては新しい家族を見つけるか俺が彼女の新しい家族になるかとなるが…。まぁ、俺の元に置いとくのはナシだな。何せ収入が安定してないかつ、低収入すぎるから満足に生活を送らせる未来が見えない。やはり新しい家族を見つけてあげるのが最善だな。

「辛かったな……。今は俺が何とかしてあげるがいずれは新しい家族を見つけて紹介してあげるからな」

「嫌だ!私ミナルお兄ちゃんとずっと一緒がいいの!」

「いやそうは言ってもなぁ…。恥ずかしいことに俺お金ないから満足出来る生活は送らせることは……」

「お兄ちゃんと居れればそれでいい!」

はぁ〜………。俺はマリンのお兄ちゃんだ!ここで俺は彼女のお兄ちゃんを遂行する!それが俺の今を生きる目的だ。絶対に底辺から脱却しよう。そのために今まで努力の二文字はなかったが努力しちゃんと冒険者やろう。今までのは冒険者というよりただのボランティアとかに過ぎなかったからな。

「ありがとうなマリン。その言葉は素直に受け取っておくよ。」

「うん!」

「それじゃあ俺はお金稼ぎに行くからここで待っててな。」

「ううん!マリンも一緒に行く!」

「いや、万が一があるといけないからマリンはお留守番を………」

「行くの!ミナルお兄ちゃんが居れば安心だもん!」

うぐっ!?その純真無垢な言葉が俺を傷つける。とんでもなく鋭いナイフだ。俺がボランティア活動みたいなことしてる冒険者なんて言えるはずがない。だがしかし、この状況は確実に連れて行かないと行けない流れ。俺はここでもまた選択を迫られるのか?連れてくか否か………。


「本当にその子をクエストに連れていくんですか?」

「可能であるなら俺も連れていきたくは無いですよ?でも…」

「ミナルお兄ちゃんも行くなら行くの!」

「ていうことなんです。」

「底辺金欠限界冒険者のミナルさんがこの子を連れ帰ってきた時びっくりしましたよ」

「うん。俺はその『底辺金欠限界冒険者』とかいうありえないレベルの悪口にびっくりしましたよ?」

「けど、同伴させるにも彼女のギルドカードは作らないといけないですし……」

「作るのに金入らないはずだよな?」

「要らないですけど、許可が降りるかが問題なんですよね。」

「何とかならないですか?」

「一応事例としては子供でも行けたことはあるんですけど、それは才能があるからで…」

「なら、俺もやって恥かいた『水晶』で確認取れないですか?」

「そうねぇ…。やるだけやってみる事にするわね。」

ギルドカードとは、一言で言えば身分証のようなもので、名前と役職と戦歴など冒険者としてのキャリアを一目でわかるようにしたもの。そのギルドカードなんだが、先にも話した通り『水晶』を扱うことがある。この水晶なんだが、これも簡単に説明すれば対象者の潜在能力を測定しその人にあった役職を提供してくれるという優れものだ。ちなみに俺は適した役職が見つからず、色んな役職をやってきているというまぁ恥をかいた男だ。今は身軽がいいという理由で盗賊シーフをやっている。

マリンは何の役職になるのか気になるが、これで俺よりも強い役職とかだったら全然普通に泣く気がする。年甲斐もなく駄々こねて大泣きする自信しかない。しかし、マリンには才能があって欲しいとも思う。何だこの複雑な感情は……。はっ!?これがまさか親心!!(違います)

「な、なにこれ!!?」

「ど、どうかしたのか!?」

「マリンちゃん『罠魔道士』の才能がずば抜けてるわ!」

「わ、罠魔道士?」

「聞きなれない名前だからすごさが分からないと思うけど、これはとっても凄いことよ! 」

「は、はぁ?」

そこから基本的な説明が入った。まず第一に魔法には大きく分けて攻撃と回復と補助の三種類がある。

そして、それぞれ特化した役職やハイブリッド型のものもある。例えば特化で言えば『黒魔道士』は攻撃に特化し、パーティーを組んだ時の火力枠になるタイプ。その逆の回復特化は『白魔道士』と言われ、こちらもパーティーでの戦闘を長く続ける上で必須とも言われる枠になる。残る補助特化の魔道士は『月読ノ魔道士』と言われ、攻守共にステータスを上げる大人数での魔物討伐にいてくれると助かるタイプの魔道士だ。これも意外と珍しいタイプではあるが、受付のお姉さんの話だとこれ以上に罠魔道士は珍しいとのこと。

ちなみに、ハイブリッドタイプの『赤魔道士』は黒魔道士と白魔道士の両方の性質を持つ反面、特別大きな魔法は使えない。よく言えば万能、悪く言えば器用貧乏な魔道士ではある。同じ立ち位置にいるのが回復と補助の双方の特性を持つ『賢者』。こちらは赤魔道士よりは優秀だが、それでも扱える魔法に限度があり賛否が別れたりする。

さて、それでは本題の罠魔道士についてだが先程の説明と同じように説明すると罠魔道士は黒魔道士と月読ノ魔道士のハイブリッドタイプとなる。前提として名の通り罠魔道士なので魔法を設置するタイプなのだが、この罠にも種類が幾つもあり大きく分けると二種になる。『自動起動』と『意思起動』の二つだ。名前から察しがつくだろうが、自動起動は設置した罠の上を何かが通ると勝手に作動する罠で、混戦には向いてないが少人数戦や狭いところでの戦闘では無類の強さを発揮する。

では意思起動とは何か?これもその名の通り設置したあと術者が好きなタイミングで起動することが可能な罠で、読み合いに持ち込まれた時に無類の強さを発揮するのだ。しかし、これだけではどれほど強いかをイメージしにくい。そのため更に分かりやすく強さを教えてくれた。

前提として所持者の魔力のタンクを100と仮定し、攻撃魔法を唱えるのに10の魔力を使うとした時。攻撃魔法と同じランクの罠魔法はその半分の5しか使わないが、火力は同格。つまりコスパにも優れていて耐久戦にも適している理論上ほとんど隙なしの魔道士なのだ。

そんなとんでも役職の才能がマリンにはあったのだ。うん。俺の面目丸つぶれだなこれ。救いなのがまだ彼女が推定8歳くらいである事だな。もう少し大人になってたら確実に強すぎちゃんで俺泣いてたな。アブねぇ……。俺の歳ももう少し幼かったら絶対だめギャン泣きしてたな。

とりあえずは何かしらの才能があってギルドカードを作れるなら共にクエストには出られるんだよな?大した才能ない男と才能に恵まれた純新無垢な少女というよく分からなすぎるデュオとして。

「はい!これでマリンちゃんも形式的には冒険者の仲間入りよ」

「やったー!これでミナルお兄ちゃんと一緒にクエストいけるー!」

「お、おうそうだな……。」

「その前に、マリンちゃんの冒険者になれた記念としてお洋服をあげるからこっち来てね」

「うん!着いてくおねーちゃん!」

出会ってわずか数十分。実力で言えば恐らく逆転されているんだろうな俺は…。これ多分日を重ねると確実に守られる立場に俺がなるんだろうなぁ………。

俺が強いんじゃなくてお前らが弱くて仲間が強いんだ

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