「………ん」
「……さん」
「おどろくさん!!」
「………はっ!?」
おどろくが目覚めると、そばにはニグが座っていた。
「大丈夫ですか?随分と魘されてましたけど…」
「あ、うん!全然大丈夫なのだ!!」
おどろくはベッドから飛び降りようとした。が、
「痛っ!?」
「あぁ、ほら、言わんこっちゃない…」
おどろくは腰あたりに激しい痛みを感じた。
「………寝すぎた?」
「いや、覚えてないんですか?任務で…」
「ニンム?」
「あなた、撃たれたんですよ?腰を銃で…」
「…………ほぇ!?ななな、なんでおどろくは生きているのだ!?」
「しぇいどさんに感謝しておきなさいよ。」
「……!!流石odmnの救護班なのだ!」
「はいはい。」
「そういえば、おどろくはここから動いちゃ駄目なの?」
「痛みが引くまでは安静にしてろってしぇいどさんが。」
「暇なのだ〜」
「寝とけばいいじゃないですか。」
「寝飽きた!」
「はぁ…」
ニグはそばにあった絵本を取っておどろくに渡した。
「これでも読んでおけば?」
「絵本?おどろくは子供じゃないのだ!!」
「じゃあ、私は任務に行ってきますからね。」
「無視しないでぇ!?」
ニグは、おどろくのいる部屋から出ていった。
おどろくは絵本の表紙を見る。
「桃太郎…」
おどろくはふと懐かしさを覚える。
「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが…」
まるで童心に帰ったように読み続ける。
「桃太郎は鬼を倒し、宝物を取り返すことができましたとさ、めでたしめでたし…って!?いつの間にか読み耽ていたのだ!?」
おどろくは絵本を閉じた。閉じた時の風で、髪が少し揺れた。
「でも、なんでこんな懐かしい気持ちになったのだ…?小さい頃に読んだことがあるような……おどろくの家系は先祖代々マフィア『odmn』を継いできて、絵本なんて読ませる機会はなかったはずなのに…」
「でも、おどろくの覚えてる桃太郎は少し違う。」
おどろくは必死に過去の記憶を遡る。
「『鬼が仲間になる展開』だったのだ。おどろくは今でも、敵を倒すより、仲間になる展開の方が好きなのだ。」
おどろくは窓の外の、山より遥か遠くの景色を眺める。
「次の任務は…っていやいや!何を考えているのだ!?おどろくは、おどろくは……マフィアの仕事を全うしなくちゃ……………」
マフィア「odmn」。
odmnは近頃、国中に名を馳せているマフィア組織である。
odmnはリーダーであるおどろく、そして、うたい、ニグ、しぇいど、あふぇりる、べるの “6人” で構成されている。
odmnの人々は政府敵対組織として、政府から命を狙われているが、戦闘力、医療、情報収集などあらゆる面で優れており、なかなか捕まえることができていない。
「どうしたものか…odmnへ派遣した者は、ほぼ100%の確率で帰ってこなくなる。我々としても、優秀な人材を減らすなんてことはしたくない。そこで……お前だ。」
「えぇ、俺ですか?」
「そう、お前だ。お前は政府の中でも随一の腕の良さを誇る。」
「そりゃどうも。」
「お前には、『odmnを壊滅』させてほしい。お前ならやれるだろ?」
「………」
「お前は何故政府に入った?何故マフィアの敵となった?」
「………………」
俯きながら顔を手で押さえる。
「……本当に、いいんですか?」
「全てを、終わらせてこい。」
コメント
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6…人?3人は別のところにいるってことか?あ!フォロー失礼します!