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あっという間に2年の月日が流れた――
レストランは2店舗に増え、従業員も増やした。
経営はあまりにも順調で、3店舗目も計画中だ。
樹の料理が、アメリカで認められて嬉しい。
私はと言えば……
レストランの手伝いは止めて、生まれたばかりの赤ちゃんの子育てに専念してる。
そう、私は母親になった――
可愛い女の子に恵まれ、樹も我が子にメロメロで、忙しいのに少しの時間でも関わってくれてる。
その上、家事も手伝ってくれて、本当に何年経っても変わらずに優しい。
家族の時間を何よりも大切にしてくれる樹には、ますますの愛情を感じている。
最近、私は、英語で日記を付け始めた。
樹のおかげで英語が随分上達し、英語で文章を書きたいと思った。
毎日の生活、赤ちゃんの成長、自分自身の思い……
いろんなことを思いつくままに書いている。
日記が書けなくなったあの日――
あの時の私は、本当に全てを失った気がしていた。
何もかも嫌になってた。
だけど、今、私には樹と赤ちゃんがいる。
これ以上の幸せはない。
やっぱりその幸せは、柊君とのつらい別れがあったから。ちょっと変だけど、柊君には……心から感謝してる。
そして、実は、真奈も子育てを頑張っている。
仕事も育休中で、お互いお母さんになったことが不思議で仕方ないけど……
時の流れはいろんなことをどんどん変化させていくんだと実感してる。
以前は、真奈がいつも柊君のことを教えてくれていたけど、今は代わりに、樹が柊君と連絡を取ってるみたいで、樹から近況を聞くことが増えた。
2人きりの兄弟、連絡を普通に取り合えることは、とても嬉しいことだと思ってる。
樹が言うには、柊君は……まだ結婚してないみたいだった。
柊君もいつかは結婚して、子どもを持つのか……
それとも、結婚はしないでバリバリ仕事をして会社を世界一にするのか……
どちらであっても、また違う道であっても、柊君が幸せなら……きっと選んだ道が正解なんだ。
私達も柊君も、どんな道を進むかなんて未来のことはわからない。
だから、今を精一杯頑張って生きていたいと思ってる、いつだって1番良い選択ができるように……
もう、自分で選んだ人生に後悔はしたくない。
いつか日記を読み返した時に、1つ1つの出来事が、楽しいことも、悲しいことも、全部が宝物になるような、そんな毎日、そんな人生を、樹と子どもと一緒に送りたい。
もちろん、自分達だけじゃない、柊君や真奈、周りのみんなにも幸せでいてほしい。
つらいことがあったとしても、ちゃんと乗り越えて、大切な人と笑顔で満たされた人生を……送ってもらいたい。