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『ってことでらっだぁの過去知りたいんだけど〜』
「ごめんコンちゃん、今■にかけてんだわ!w」
室内は優にヒトを■せる温度だろう。
入れば即■、入らなければ部屋の構造上潰されて■ぬだろう。
そんな空間に放り出されて早16分。天井、彼の両サイドに位置する壁が迫る為、もはや腕を広げられるスペースも無い。
『らっだぁって確か100年は余裕で生きてるはずなのに■ぬ気配無いじゃん?だから疑問に思っちゃってさぁ〜』
「いや続けるんだよ、?w」
無線機から呑気な声が漏れる。
天井にニット帽の先端が触れ、流石の彼も■を連想せざるを得ない。
額に滲んだ冷や汗が雫となり、頬を伝い落ちる。
『これじゃあ夜しか眠れないね』
「どうでもいいから助けてくんない、?w」
我慢の限界を迎えた彼。
今思えば、この気温に耐えられる無線機を作り出したら民も相当優秀な人材だろう。
その無線機から『えぇ〜?』と気の抜けた返事が聞こえると同時に、壁が1cm程、彼に迫る。
『じゃあ、助けたら過去教えてくれるぅ?』
「嫌やねそれは」
『じゃあ無理』
落ちていく地面。
いや、”奈落の底に吸い込まれていく地面”と言った方が正しいだろうか。
踏み場の無くなる地面に、体力が削られていく。
「コンちゃんが前に欲しいって言ってた薬草、生えてる場所知ってんだけどねぇ!」
無線越しでも分かる程に震えた声。
『…本当?』
ゴクリと両方の喉が鳴る。
青色はニヤリと笑みを浮かべた瞬間、彼の体に青色に近いヌルヌルとしたモノが巻き付き、温度だけで人間を溶かすエリアに入る。
額の汗が蒸発し、気を失いそうになる暑さが全身を襲う。
その間、僅か25秒。
エリアを抜けると、スーツ姿のスラッとした男が立っていた。
「おかえり〜」
ニコニコと貼り付けられたような笑みを向ける男。
彼の背中から生成された”触手”は収納されていき、青色が地面に腰を着く。
「なんでこっち、」
汗だくの青色が言うと、真剣な顔で少しの考える素振りを挟みまた笑顔に戻る紫色。
「”あのエリアには出口がなかったから”、とでも言ったらわかる?」
彼の答えを聞いた青色は「あれ?」と首を傾げる。
「なんでコンちゃんが知ってるの…?」
目の前の紫色が”アスレが苦手”ということは周知の事実。
現実、この部屋に出るまでアスレを実際にしないと分からない位置にブロックが設置されており、青色自身何か違和感を感じていた。
紫色の彼は、唇にそっと人差し指を当てて言う。
「内緒」
いつもの笑みが、さらに濃く貼り付けられる顔。
その顔に青色の背筋がゾクリと震えた気がした。
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ここは運営国。ら民と呼ばれる国民が集い、アスレ、館など娯楽エリアは沢山。
毎日世界に現れては建築をして消えていく、また、なにか物資を集めては消えていくなどが出来るこの国でも当然、事件や事故は多発する。
それを解決するのがこの国の上層部に座る4人の精鋭。
総統本人が片付けなければならない仕事も、このうちの誰かが片付けていることなどザラ…そんな、国のトップまでもが自由な国、運営国。
晴れた日の午前7時、会議室に3つの影が集まっていた。
大々的に置かれた机を挟み、何やらこそこそと話している。
「確かに、”今世の”らっだぁの過去は知らないなぁ」
赤色の瞳を持つ彼は”レウクラウド”。上層部の1人。
その整った容姿から、国に来訪する旅人には女だと勘違いされることが多々あり、最近ではガイド役として立ち回るときの悩みにもなっているらしい。
尚、仕事内容には含まれていないので彼の独断でする行動なのだが…
「らっだぁ本人に聞いては?」
「みたよ」
黄色の豚のフードを被った彼は”金豚きょー”。上層部の1人。
一般的には「きょーさん」と呼ばれているが、総統は「ばど」と呼んでいる事が多い。
尚、アスレエリア、青鬼の館などエリア担当が基本だが、逃げ出す総統の尻拭いの為、ら民内で発生するトラブルを空いている時間に片付けている。
最近の悩みは”睡眠時間が減ってきていること”。
そして受け答えをした紫色の彼の名は”コンタミ”。上層部の1人。
担当は薬品関連を主にしており、時間があれば他メンバーの手伝いに回る、いい奴のように見えて少しヤバい奴。
というのも、彼のセンスは独特の域を越しており、運営のメンバーからも「頭冷やしすぎたな」「ヤバァ」などの言葉が飛び交うほど。
「そういえば”どりみー”は?」
黄色い彼が言葉をこぼすと、赤色の彼が一番に反応する。
「あ、みどりくんならまだ寝てたよ」
紫色の彼が手を挙げる。
「ねぇ、提案なんだけどさ…」
他のメンバーが耳を揃えて彼に近づけた。
心做しか、提案する彼もまた、それらに自身の口を近づける。
「皆でらっだぁの過去、調べてみない?」
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