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運営国の最端にある森の中の蔵。
隣には一本の大きな木が存在しており、季節関係なく秋の葉を散らせ、桜を満開にする。
誰がなんのために植えたのか、未だ不明な、気分屋な大樹。
そこへ、枯葉の山に足をかける人物が1人。
「ここならワンチャンあるか、?」
黄色の彼は額に汗を浮かべる。
会議室、寝室、ら民の家々など、様々な場所を探し、聞いて回ったもののなんの手がかりも無いまま時間だけが過ぎていった。
未だ手に入った情報は0。
晴れた日には必ずと言って良い程、外を散歩している青色にバレるのも時間の問題だと捜索しなければならない。
彼等全員、どこか背徳感を感じながらも、表情には余裕が見られなかった。
ギギ__
唸り声を上げる鉄扉。
けれど、何年も前から開かれることのなかったそれは、口が錆びているのかうまく動かず開く気配を見せない。
黄色が全身の力を使い、やっとの思いで扉が開く。
「よっし、!」
額の汗を拭いながら、扉の先にある物資たちの前に立つ。
本部から持参したランプをかざすと、古びた剣や壺、端の切れた資料などが、今にも崩れ落ちそうな棚に丁寧に陳列されていた。
流石「AB型だから」と豪語するも同じAB型の血を持つ運営に考えを否定される男。
黄色い彼は蔵の中へ足を進める。
しかし、近くで見るとそれらは乱雑に置かれた様子で、所詮は”端に寄せられただけ”。
そんな中、古びた木箱がひとつ。
ランプの取っ手部分を歯で噛み、埃の被った箱の蓋を慎重に開けると生臭い匂いが鼻につく。
「うわ、何これ…ッ」
中には大量の血痕が付着した紙…と、ナイフ。
他にも砂時計型のネックレス、チェスの駒、オセロの石などが箱の中に散乱していた。
「…とりあえず持ってくか、」
黄色い彼は箱を持ち、扉を閉め蔵を出る。
静まり返る森の中。
蔵の上に赤い瞳が光る事を、彼は知らない。
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空いていた会議室に、再度集まる3人+1人の影。
机には生臭い香りを漂わせている空になった木箱と、並べられた資料、玩具たち。
「裏に蔵があることは知ってたけど、確かに誰も入ったことはなかったな…」
と赤色の彼が顎に手を当て、探偵のように呟く。
「…どりみー?」
黄色い彼が声をかけたのは、体に見合っていない大きい尻尾を揺らす緑色の瞳を持つ青年。
この国の情報担当であり、基本はその日の朝から昼まで睡眠、それ以外は国外の情報や国周りのセキュリティーなどを管理し、前回の会議には参加することが出来ずにいた上層部の1人。
緑色の彼が資料を手に取り、口を開く。
「コレ、日記ダ」
その一言に、一人ひとりが資料を手に取り読み上げる。
『◉月?日
今日は森に送られた村人を20人■した。』
『眠い。お腹が空いた。今日も助けは来ない。』
『コルクで塞がれた小瓶を見つけた。
中には仲間の手紙と一緒にネックレスが入っていた。』
「それって、これ?」
赤毛の彼が手にとって見せるネックレス。
ペンダントトップには砂時計の形を模したモノがぶら下がっていた。
「ねぇ」
眠そうな声が、会議室に響く。
「何楽しそうなことしてんの?」
普段より明らかにトーンが下がった声が、確実にその場にいた全員を萎縮させた。
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コメント
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あのタイミングでの「ねぇ」はらっだぁなのか、それとも違うヒトなのかな、一つ一つの表現力マジで神超えてます。😇次はどうなるのかな、休みつつ頑張ってください❤