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 ……行きたくない。まだぼんやりした意識の中でもそう思う程行きたくないけれど、青春時代を俺の世話に費やしてくれた姉の為と思うと重い腰を上げるしかない。あと数日頑張れば解放されることは長年の経験から分かっている。(もう何回やらされた事か……) 売れっ子BL漫画家なのになぜかアパートで黙々と一人で作業するのが好きらしい。リモートでアシスタントさんには背景などをお願いしているらしく、煮詰まると俺と広志さんが呼ばれて昨日みたいな自体になる。(思い出しただけて身体が震える……)

 起こさないように軽く美桜の頬にキスを落としベッドから降りた。今日も出掛けないといけない事をまだ美桜に言えていない。また実家に行くと言ったら不思議がられるだろうか、それとも何も気にせずいってらっしゃい、と言われるだろうか。朝ご飯は美桜の担当だが昨日の夜が遅かったからかだろう、まだ眠っているので代わりに作っておく。冷蔵庫を開けるとお皿に乗ったハンバーグがラップされている。


「もしかして美桜が作ってくれたのか……?」


 自分は料理が苦手だと言っていた美桜がこんなにも美味しそうなハンバーグを作って俺の帰りを昨日は待っていてくれていたなんて思いもしなかった。申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになった。

 電子レンジで温めて一口食べる。……美味しい。あの黒焦げのお肉を焼いた美桜とは思えない。どれだけ時間をかけて作ってくれたのか、嬉しくて箸が止まらない。ペロリと平げてしまった。

 

(……やっぱり今日は断ろう)


 昨日一緒に過ごせなかった分、今日はとびきり美桜を甘やかして、美桜の好きなご馳走をいっぱい作ってお酒を飲みながらのんびりしよう。俺が一緒に美桜とイチャイチャして過ごしたいだけだが。


 スマホを開き【姫咲】に電話をかける。


(……頼むから出てくれ)


 姫咲は自分の電話は出るまでかけ続けてくるくせに自分はなかなか電話に出ない。何度かけても気付かないことが多い。本当に連絡が取れない時は広志さんに電話して中を繋いでもらう事が多いくらいだ。

 ププルル、プルル、と電話の着信音が耳に残る。やはりなかなか出ない。三度目の電話でやっと出た。


『朝早くになに? もう来るの?』


 いつもより少しトーンの低く、イラッとした声質の姫咲に少し怖気吐きそうになる。


「いや、今日は行けない。昨日は姫咲を優先して予定をドタキャンしたから今日は彼女と一緒に過ごしたい」


『……あんたそれ本気で言ってるの?』


「本気以外の何もないけど」


『ふーん。じゃあ今日は来なくていいけど明日から仕事終わったら来なさい、いいわね?』


「明日からって毎日か!?」


『じゃあそれで決定ってことで、明日はスーツ着て来なさいね』


 ツーツーっと電話の切れた音。ブチっと要件だけ言われて切られた。いや、いつもの事だけど、明日から毎日!? それは勘弁してほしい。けれど今日は一日フリーになった。明日からの事は一旦忘れよう。気分はすっかり晴れてルンルンで鮭と卵焼きを美桜の朝ごはん用に焼く。


「んん〜隆ちゃんおはよぉ」


 目を擦りながら寝室から顔を出す美桜。ちょっと乱れた髪の毛とパジャマがエロくて朝からムラッとしてしまう。持っていた菜箸を置き美桜の元に近づく。「どうしたの?」と俺を覗き込むように見つめてくる仕草が可愛すぎて、彼女の腰に手を回しグイッと引き寄せた。


「隆ちゃん?」


「昨日ハンバーグ作って待っててくれたんだな、さっき冷蔵庫で見つけて食べた。凄い美味しかったよ、美桜急に料理の腕上がった?」


 嬉しそうな顔。その顔が毎日見たくて結婚したんだ。


「ふふ、二時間かけて作った甲斐があった」


「二時間!? 凄い。また作ってくれるか?」


「勿論だよっ! 次は付け合わせも作れるように頑張るね」


 美桜の髪を梳かしながら、頭を撫でた。普段サラサラの髪の毛が寝起きだから少し絡まる。


「朝ご飯作ったから食べようか、顔洗っておいで」


「え!? 私の担当なのに〜、でもありがとう。顔洗ってくるっ」


 スッと俺の腕の中から抜け洗面所に向かう美桜。目の前にいるのに、手の届く場所にいるのに、なんだか少し寂しくなった。


(……俺、重症じゃね?)


 二人で向かい合い朝ご飯を食べる。黙々とご飯を頬張る姿がハムスターみたいだ。


(美桜って小動物に例えやすいんだよな、小柄だからかな)


「ど、どうしたの?」


「ん、別に。可愛いなぁって見てただけ」


「なっ……」


「照れてんの? それも可愛い」


 見る見るうちに耳まで真っ赤に染め上がる。


「今日は美桜と一日ゆっくり過ごしたいなって思ってるんだけど、美桜予定ある?」


「本当っ!? なーんの予定もありません! また一人だったら漫画読もうと思ってたくらいだもん」


「よかった。昨日のお詫びと言ってはあれだけど今日は美桜の好きな料理いっぱい作ってゴロゴロイチャイチャしような?」


「い、イチャイチャ!?」


 目をまん丸に見開き驚いている。そんなに驚く事か? 俺は常に美桜とイチャイチャしたいと思っているけど。


「そう、イチャイチャ」


 更に顔を赤くして、俯向く美桜。美桜は言葉にすると反応がいい。(生粋のドMなのかな)だからついわざと言葉にして彼女の反応を楽しんでいる自分がいる。

俺の妻は腐女子ですがなんら問題ありません〜交際0日婚で腐女子の私は甘々に溺愛されてます〜

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